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のたり
2025-05-20 08:00:26
1284文字
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hrsz
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はじめて知ったこと
一応マイセカイの台詞とか初期のエリア会話が元ネタ。
雫とは何度か一緒に仕事をしたことがある。
雫はいつも緊張の糸を張り詰めさせていた。最初のうちは初めて会った時みたいにふとしたことでまた糸が切れてしまうんじゃないかと思っていたけれど、雫は私の想像よりずっと強かった。
いつだって誰よりも努力していて、責任感が強くて、誰よりも輝いている。
だから知らなかった。雫がこんなふうに笑うなんて。
「遥ちゃん」
渡り廊下で声をかけられて振り返る。
「どうしたの? 雫」
「これからお昼でしょう?」
そう言った雫の手にはお弁当袋。
「今日は私もお弁当なの。よかったら中庭で一緒に食べない?」
「ごめん、私、教室にまだお弁当置いたままなんだ」
「あ
……
、そうなのね」
雫の表情が一瞬曇る。
「
……
取ってくるから、待っててくれる?」
「え、ええ!」
ぱあっと満面の笑みが広がって、私もつられて微笑んだ。
「じゃあ先に行って席を取っておくわね」
「うん。ありがとう」
駆け出した雫の背中を見送ってから、私も心持ち早足で教室に向かった。
そう言えば雫とふたりでご飯なんて初めてだな。この間食堂に誘われたけれど、私はお弁当だったから断ったし。
「
……
」
もしかして、雫、それでお弁当持ってきてくれたのかな。
私と一緒に食べるために?
思わず足が止まってしまった。いや、そんなまさかね、と否定して歩き出す。
いくらなんでも。たまたまお弁当だった日にたまたま私を見かけたから声をかけただけだろう。だからそんなに気にすることない。
ーーそう思うのにどうして私はドキドキしちゃってるんだろう。
ステンレスの水筒を頬に当てる。冷たい。中庭に着く前に少しは火照りが冷めてくれればいい。
中庭が見えたら、雫の姿もすぐに見つかった。左側の木の下のベンチにお弁当を置いて、立ったまま木を見上げていた。
何してるんだろう。
「雫」
近付いて声をかけたら、雫はパッと私の方を振り返った。
「遥ちゃん」
雫が私の名前を口にしたのと同時に、ザッと上の方から音がした。
「きゃっ」
思わず雫が声を上げる。上を見たら小鳥が飛んでいくのが見えた。
「あ」
「飛んでいっちゃったわ」
「小鳥、見てたの?」
「ええ、とっても可愛かったのよ」
「そっか」
ふわりと雫が笑う。
「お弁当、食べようか」
「ええ」
落ちていた木の葉を軽く払って雫がベンチに座る。私もその隣に座った。
「いい天気ね」
「そうだね」
「眠くなっちゃうくらいだわ」
そう言って雫は目を細める。本当に眠っちゃうんじゃないかと思うくらいのんびりと。
知らなかったんだ、雫がこんなふうに笑うなんて。
見ているだけで肩の力が抜けるような、柔らかな笑顔と穏やかな空気。ふわふわ、ぽやぽや、そんな擬音を纏う雫の空気はいつも心地いい。それは同じグループになって初めて知った雫だったから、知らなかったんだ、自分がこんなに穏やかな時間を感じることができるなんて。
「遥ちゃん、卵焼き交換しない? 卵焼きってお家によって味が違うって言うでしょう?」
「うん」
雫からもらった卵焼きは、お出汁が効いていてほんのり甘かった。
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