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遠藤晃
2025-05-17 18:49:34
7093文字
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政府の遊廓にいるひぜんのむつひぜまとめ
Twitterに投稿した、政府の遊廓にいるそれ用に顕現されたひぜんと、そこに通ってくるむつ(自本丸のひぜんには他に相手がいる)の話のまとめです。
政府の遊廓にいるそれ用に顕現されたひぜんと、そこに通ってくるむつ(自本丸のひぜんには他に相手がいる)のむつひぜの話(薄暗い)。
政府が運営してるだんし向けの遊廓には、そこで働くこと専門で戦闘能力はない状態に調整されて顕現された子たちがいる。衣食住とか給金とかはちゃんと与えられてて
そこ所属の従業員みたいな感じ。
そこにいるひぜんのとこに、ある日客でむつが来る。ひぜんの客ではむつは割と多くて珍しくもないが、そのむつは「嫌がって抵抗して欲しい」と頼んでくる。そういう趣味なのか、と普通に応じてそんな反応してたが、むつは喜ぶどころかずっと泣きそうな顔をしていてあまりに悲しそうなので、ひぜんはつい「大丈夫だ、嫌じゃねえから
…
」とそっと頭を撫でて優しく抱きしめてしまう。するとむつはほろほろ涙をこぼしながら、ひぜんの名を繰り返し呼びながらすがりつくように抱いてきた。
事が終わったあとに「訳有りか」と話を聞くと、むつはまだ付喪だった頃からひぜんに思慕の念を抱いていて、それが恋情にまで育っていた個体だった。特命でひぜんと再会し、自分の本丸に来てくれたら思いのたけを伝え、恋仲になれるよう頑張ろうと思っていた。むつとしてはよくある話で、珍しいことではない。けれど違ったのは、むつのところに来たひぜんには、もう既に恋仲の相手がいた。むつに再会するまでの間に既にそれなりの時間をだんしとして過ごしていて、その間に心を通わせてしまっていた。
むつは、ひぜんに自分の気持ちを言えなかった。あまりに幸せそうで、そこに割って入ることなどできなかった。恋仲の相手がいるとはいえ、ひぜんは別にむつをないがしろにするとかではなく、むしろ兄のような気質が強めな個体で、むつのことを何かと気にかけてくれている。だから、切なく悲しくなってしまうのはただの我儘だ。勝手に期待してしまった自分が悪いのだ。そう思うようにしていたが、どうにも耐えきれなくて、話に聞いた遊廓に来たのだそうだ。嫌がるひぜんに無体を働くような真似をすれば、自分の身勝手な想いが嫌になって葬ることができるかもしれない。そう思ったのだそうだ。
「馬鹿だな、言っちまえばいいのに。おまえの本気の気持ちに、向き合うくらいはしてくれるだろ」
そうひぜんは言ったが、むつは「そうじゃなあ
…
」と切なそうに笑うだけだった。あまりに大切すぎて困らせたくない、そう想っているのが伝わってきて、ひぜんはまたむつの頭を撫でながら優しく抱きしめてやった。むつは泣き笑いのような吐息を漏らしながら、ひぜんを宝物みたいに抱き返してきた。ここまで想われるそのひぜんのことが、ひぜんは少し羨ましかった。
それからむつはひぜんのところに通ってくるようになった。もう「嫌がってくれ」などとは言わず、ただ優しく愛しそうに抱いて、穏やかに話をして、別れ際に「また、来る」と静かな笑みを浮かべて帰ってゆく。むつが来るのを、ひぜんは心待ちにするようになった。他のむつも客として来るが、あのむつだけが特別になっていた。あのむつの優しい恋心が、とても美しく愛しかった。それは自分に向けられたものではないとわかっているけれど、代わりに抱きしめてやれることに幸福を覚えていた。
定期的に通ってきていたむつだが、いつもより少し間が空いての来訪になったことがあった。「何かあったのか?」と尋ねると、「お恥ずかしい話やけんど、ここに払う金が足りんくなってしもうて
…
」と言うむつ。政府運営の慰安施設みたいなものなので法外な値ではないが、頻繁に通っていれば確かに金は尽きてくるだろう。むつのところはまだベテランとも言い難いくらいのところで、貧乏ではないが裕福ともいえない状況だそうだ。やりくりしてまた通ってくるから、というむつに、ひぜんはパスのようなものを渡した。
「お得意様用の割引になるやつだ、3分の1の料金になる」
「もろうてえいの?」
「ああ。おまえが一番来てくれるし、
…
おれも、おまえに会いたい」
実際のところ、それは割引パスではなくて、常連向けのツケ払いができるようになるだけのものなのだが、ひぜんはツケになっている分を自分の給金から払った。そんなに使い途もなく、貯まっているだけの金だ。本当は全額ひぜんが支払ってもよかったが、そんなことをしたら逆に来なくなってしまいそうで、一部だけにとどめておいた。もう明らかに客に対する対応ではないことは、自覚していた。
ある日、むつが「外で会うことはできるのか」と訊いてきた。遠出は細かい届け出がいるが、近辺なら簡単に出かけられる。そう言うと、「買い物や食事や、それから見せたいものもある」と嬉しそうに誘ってきた。
店外デートのようなものをしてそのあと遊廓に来る、ということもできたが、ひぜんは休みの日に出かける約束をした。普通の恋仲のふたりのように、出かけてみたかった。
当日、むつの隣にいて不自然でないくらいの加減で精一杯めかしこんできたひぜんを見てむつは「綺麗じゃ」と嬉しそうにしてくれた。明るくて賑わいのある店で楽しい食事を割勘でして、小物やなんかを見て回ったりして、楽しく時間は過ぎてゆく。むつが「見せたいものがある」と言っていたのは、見事な夕焼けが見れる場所だった。遊廓からさほど離れていないが、こんなところがあるとは知らなかった。夕焼けに見惚れているひぜんを見ながらむつは嬉しそうに笑い、ひぜんに小箱を差し出してきた。中身は先程ひぜんが見ていた耳飾りだ。いつの間に買っていたのか、気づかなかった。
「つけて欲しい」とひぜんが言うと、むつは微笑んでそっとひぜんの耳につけてくれた。
「よう似合う、別嬪さんじゃ」とむつは笑い、耳から離れた手はそのままひぜんの頬を包むようにそっと触れた。
「わしは、おんしのこと好きになってしもうた」
告げられた言葉に、ひぜんは驚いた。むつが好きなのは、むつのところのひぜんなはずだ。そう問い質したが、むつは静かに首を振る。
「うちんくのひぜんには、昔の想いを重ねちゅうだけでちゃんと見とらんかった。自分の理想を当てはめて、勝手に悲しがってただけじゃった。それに気づかせてくれたのは、おんしじゃ。おんしがわしの気持ちに寄り添ってくれたから、わしはちゃんと前を向けるようになった。わしは、おんしが愛しい。これからも、一緒におって欲しい」
むつのまっすぐな想いが伝わってきて、胸がつまるような気持ちになりながら、ひぜんは「おれも、おまえが、好きだ」と想いをこめて頷いた。
美しい夕焼けに照らされながら、ふたりはまるで普通の恋仲同士のように唇を重ねた。
けれど想いは通じ合ったけれど、ひぜんは遊廓から出られない。身請け制度みたいなのはあるけれどそれなりの金額がかかるし、そこまで裕福ではないむつが出せる額でもない。そもそも戦闘能力がない状態のだんしをただ引き受けるということができる状態の本丸を想定しての額だ。むつのところでは到底そんなことはできない。そもそもむつは初期刀でもないし本丸では他の皆と同様に平等に信頼されてる感じで、特別扱いが許されているとかいう訳でもない。ひぜんを連れ帰って一緒に暮らしたいなんてことを言い出せる訳もない。
そんなわけでここで詰んでます
(ハッピーへの道)
いつかお金をためて身請けすると約束してくれたむつ、それがどれだけ先だろうと待てるとひぜんは言ってくれた。愛しくてたまらなくて、なるべく早く夢を叶えたいとむつは思う。でもそうそう金は貯まるものではない。貯めている間ももちろんひぜんに会いに通うし、花一輪などのささやかな贈り物もあげたりしている。ひぜんに寂しい思いはさせたくないし、何より自分が会いたい。日々の他の楽しみはなるべき切り詰め、ほんの少しずつだが貯めるようにした。金だけではなく、本丸に迎えるためには自分が皆の信頼を得なくてはならない。むつはとにかく率先して戦に出て内番にも励んだ。むつのところはまだ初期刀が修行に出たくらいで、むつを含め全体的な練度はまだまだだ。強くなり、本丸を支えられるようにならなくてはいけない。鍛練を積み続けている中、ある日ひぜんのところに行くと、早く着きすぎてまだ前の客がいると言われた。ひぜんの客は自分だけではないのは承知している。一旦店を出て近くを所在なげにうろうろしていると、極の自分が出てくるのを見た。おそらくあれが、ひぜんの客だろう。強そうで堂々としていて、むつは気後れした。まだ鍛えきれていない自分よりも、ああいう強そうな極の方が魅力的ではないだろうか。そんな気弱がのぞいてしまう。予約の時間になり店に行くと、ひぜんは嬉しそうにむつを迎えてくれた。けれどどうにも気弱が晴れなくて、「前の客は極のわしか」などとつい尋ねてしまう。するとひぜんは顔を曇らせて、「他のやつの相手したおれは、嫌か
…
?」と不安そうにうつむいてしまう。そんなつもりではなかったむつはあわてた。そうではなくて、自分が見劣りするのではと不安だったのだと伝えると、ひぜんはほっとした顔をした。
「おれは、おまえの優しいところが好きだし、極とか特とか関係ねえよ。それに、
…
おれは、むつのかみの中でおまえが一番格好いいと思ってる
…
」とはにかみながら言ってくれて、むつの不安は消えた
そうやって気持ちを確かめ合い愛を深めあっていくふたり、一方むつの本丸では「むつの様子がおかしい」と噂になっていた。やたら根をつめて出陣などに励んでいるし、遊びの誘いはほとんど断るようになった。休みの日にはひとりで頻繁に出かけてゆく。どう考えても妙だ。皆気にしているし、特に兄気質のひぜんはむつが厄介ごとに巻き込まれているのではと気が気でない。政府時代のつても使いむつの行動を探って、むつが遊廓のひぜんのところに足繁く通っていることを突き止めた。さては性悪な商売ものに騙されて弄ばれているのか、と思った兄気質ひぜんは、むつが遠征で不在の隙に遊廓に向かった
客として店に入り、さてどんな婀娜花がお出ましかと思ったら、遊廓らしく小綺麗にはしているものの特に崩れた様子もないひぜんがやってきた。少しばかり拍子抜けしながら「うちのむつとどういうつもりだ」と問い質すと、逆に「なんでむつの気持ちに気づいてやらなかった」と責められた。
むつが昔の淡い気持ちを大事にしたままだったなんて、兄気質ひぜんは全然知らなかった。うっすら涙を浮かべてまでむつの想いを訴え、そして「
……
もし、今からでもあんたがむつに向き合うっていうなら、おれはそれでいい
…
」とまで言い出したひぜんに、どうやらこの子はむつのことを本気で愛しているとわかった。そしてむつも、この子に本気であるだろうことも。ふたりの間を引き裂くつもりはない、悪かった、と謝罪し、兄気質ひぜんは店を出た。帰り際に受付の従業員固体に「ひぜんからむつには内緒にしろと言われているが、むつが払う料金のほとんどを割引のふりでひぜんが肩代わりしている」ことと「身請けに必要な金額をむつに訊かれた」ということをそっと告げられた。それで最近のむつの妙な様子に腑が落ちた。今度はむつと話をしなくては、と思いながら、兄気質ひぜんは本丸へと戻った。兄気質ひぜんはむつの部屋へ行き、「遊廓にいるおれに入れ込んでるらしいな」と話を切り出した。
「あんなとこにいるやつ、適当な甘いこと言って金を搾り取ってくるだけだろ。通ったところで何にもならねえ、もうやめろ」
「そがなことない!あのひぜんは、わしから何か取ろうとしたり物をねだったりしたこと一度もない。わしの気持ちにそっと寄り添うてくれる、優しいおかたじゃ」
わざと悪い風に言った兄気質ひぜんの言葉をむつはきっぱりと否定して、こちらをしっかりと見据えてくる。本気の強い想いが確かにそこにあった。
「それにしても、遊廓にいるんならもうどうしようもねえだろ。あそこで働いてるなら他には行けねえ。このままずっと通い続けんのか?」
「
…
いつか、身請けする。そう、約束した」
「身請けって結構な額だぞ、払えんのか?」
「今すぐは無理やけんど、絶対に貯めてみせる。どれだけかかろうと、必ず迎えにいく。そう、約束したき。どんなに長くとも、わしが迎えにくるのずうっと待っちょるって言うてくれた。約束は違えん。わしは、本気であのひぜんのことを、愛しちゅう」
むつの曇りのない目には、一欠片の嘘もない。兄気質ひぜんは頷くと、むつの目の前に通帳をふたつ放り出した。兄気質ひぜんとお相手の名義のものだ。どちらもかなりの額があり、合わせればひぜんの身請けの金額に届く。
「政府時代の給金を貯めてたやつだ、おまえにやる。気がひけるなら、ちびちび返してくれりゃあいい」
そう言ってやってもまだ躊躇しているむつの肩を、兄気質ひぜんは強く叩いた。
「本気で惚れてんだろ、待たしてやるな。おれがしてやれるのはここまでだ。あとはおまえ次第だ。男を見せろよ、むつ」
そう発破をかけると、むつは「おん
…
!ありがとう、兄やん
…
!」と強く頷き頭を下げた。
むつは主のところへ赴き、「添い遂げたい相手がいる」と告げ、頭を下げた。戦ができないものを入れる程この本丸にはまだ余裕がないことは承知の上でお願いする、今後は今まで以上に励み本丸の力となれるよう精進し身を尽くす、どんな任務だろうと必ず成し遂げてみせる、どうか、迎え入れることを許して欲しい。誠心誠意をこめ、そう主に願った。
それを聞いた主は近侍の初期刀と顔を見合わせたあと、「俺の一存だけでは決められないな。皆にも、同じことを告げて欲しい。できるか?」と言った。むつは迷いなく頷いた。
大広間に集められた皆の前で、むつは同じことを告げ、深々と頭を下げて許しを請うた。
「いいじゃねえか」
最初に口を開いたのは、いずみのかみだ。
「むつのかみがここまで言うんだ、一世一代の恋ってやつだろ。どうこう言うのは野暮ってもんだぜ。喜んで迎え入れてやろうじゃねえか!」
それを口火に、
「戦以外にもやらねばならないことはあるからね、人手は必要だ」
「厨にも興味がある子だと嬉しいな、ひぜんくんなら美味しいものが好きかな?」
「一体どんなロマンスがあったんだ、酒の肴に聞かせろよ」
「人妻が増える
…
!」
と皆口々に歓迎の言葉を述べ始める。
「と、いうことだそうだ」と主はむつににっこり笑ってみせた。むつは「ありがとう
…
!」と主と皆にこれ以上ないくらいの感謝を告げた。賑やかな祝いの騒ぎの中で、兄気質ひぜんとお相手は優しい目でむつを見守っていた。
そしてよく晴れた午後に、本丸の玄関に「わしの嫁さん、連れて来たがよ!」と明るい声が響き渡り、あたたかな笑い声に迎えられ、ふたりの新しい日々は晴れやかに幕を開けたのだった。
ひぜんは遊廓育ちで料理とか洗濯とか畑仕事とかは一切やったことないけれど、迎え入れてくれた感謝とむつに恥をかかせられないという気持ちで何事にもせっせと取り組みよく働きます。ひぜんなのですぐ上達する。お互いが作った酒の肴を持ち寄って静かに晩酌するのが今のふたりのささやかな楽しみ。
そして遊廓育ちなので三味線ひいたり歌を歌ったり舞を踊ったりするのが得意。兄気質ひぜんは大業物気質でもあるので、ひぜんの舞を見ながら酒を飲むのがお気に入り、「きれいどころ眺めながら呑む酒は美味いな」とか言ってる(遊廓ひぜんは小綺麗にしてるので自分とは別物の感覚になってる)
三味線とか歌とか舞とか「そんなんわし見せてもろうたことないぜよ!?」ってむつは驚いてたけど、いちゃつくのに忙しくて見せる時間がなかったからです
ひぜんの客の極むつもひぜんの三味線と歌を聴きながら酒を呑むのが好きで、それ目当てでちょいちょい通ってた感じ(それはそれとして抱くことは抱く)
遊廓のひぜんくんは小綺麗だし純情そうな見かけしてるけど、遊廓なのであっちの方は何でもできるし何でもしてくれます、酒の席でそんな話題ふられて「どうなんだ?」と訊かれたむつはいつも「エッヘヘヘヘ」みたいな笑いして何も教えてくれない
こんな時間に目が覚めたのでこそっと、遊廓のひぜんの客の極むつはひぜんの三味線と歌聴きながら酒飲んだあとは、上に乗っけて「ほれ、えい声で歌いや」とかするのがお気に入りだった
遊廓むつひぜの兄気質ひぜんはあんな感じだけどお相手には尽くすタイプの良妻賢母な感じだし、遊廓ひぜんは初々しい若奥様な感じなので、ほうちょうくんがそれはもう毎日大喜びしてる
遊廓ひぜんの客の極むつについて考えてたけど、特定の相手はいなくてあっちこっちでその場限りでつまんでて、遊廓ひぜんのこともお気に入りだけど特別になりたいとかいう気持ちは特にない、ってとこまで考えて「こいつ間違いなく忘れられないひぜんがいるな
…
」となった
極むつ堂々としたいい男ぶりなんでたまに「良ければこのまま付き合いたい」みたいなこと言われるけど「は? お互い割り切った遊びや言うたじゃろ、去ね」って冷たい目で言う、
遊びでつまむ相手には素人のひぜんは選ばない、客商売の遊廓ひぜんだけ
極むつ目を惹く感じなのでたまにフリーの普通のひぜんが知り合いになりたい感じで声かけてくることもあるけど、「やめちょけ、わしよりもっとえい男のむつのかみおるぜよ。わしはだめじゃ、どうしようもない」って笑って断る
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