まほろ
2025-05-15 13:41:32
1236文字
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目覚めるのは

無双の面影が本家の面影の精神を乗っ取る話。ひたすら暗いし救いなどない。設定とかガバガバなのでそれでもいい人のみどうぞ。

水面が揺れる。

その小さな漣は微かに震え、また消えていく。



その僅かな揺らめきを感じ、面影はゆっくりと目を開けた。

「ここは

目の前にはどこまでも広がる美しい青空。
少し首を巡らせると、空と同様どこまでも広がる美しい水面。

見覚えのあるようなないような景色をぼんやり眺めているうちに、面影の意識は少しずつクリアになっていく。

(そうだ、出陣で重傷を負って手入れ部屋に)

面影を部隊長として出陣した戦場でのこと。
まだ初である面影をサポートするために修行を終えた練度の高い男士で固めての出陣だったのだが、それが災いし強い検非違使に遭遇してしまった。
面影が取りこぼした敵はそのまま彼に襲いかかり、一撃で重傷を負わせた。

部隊長の重傷により強制帰還となり、面影は直ぐに手入れ部屋に入れられた。
「​───────」
眠る前に呟いた言葉は、本人も認識できぬまま面影は眠らされ─



(そうだ、ここにいてはいけない、本丸に戻らなければ)

急いで身を起こそうとする、が

「!?」

手足が水面に縛り付けられたかのように動くことができない。
なんとか動こうともがけばもがくほど、水面に沈み込むかのように動きが鈍くなるばかり。

これではいけない、このままでは


「こんにちは」


は、と声のするほうを見ると、そこには白い戦装束の男。

「貴方は

「私は面影。来太郎国行作の太刀として顕現した貴方の原型試作」

「っ!!!!」

その瞬間、面影の頭の中に記憶が流れ込んでくる。
知らないはずの本丸、知らないはずの敵、知らないはずの仲間
知らないはずの記憶は、彼の思考を侵食するかの如く次々と侵入してくる。

「い、嫌だ、やめ

自分が自分でなくなるような感覚に彼は必死で抵抗する、が


「私も『面影』、貴方も「面影」。貴方も私を構成する一部。故に、貴方は私です」

「あ

赤緑の目を大きく見開いていた「面影」だったが、やがてその目がゆっくりと閉じられる。

そして白い戦闘服を纏った『面影』は、そのまま美しい水面へと、ゆっくりと沈んでいった。



「さて、」

その様子をじっと眺めていた「面影」は、やがて軍服の上に羽織った黒いマントを翻し、軍帽を整えながらひとり呟く。

「そろそろ戻らないといけませんね、皆心配しているでしょう」





「あ、面影!やっと起きたな!」
「良かった、なかなか目覚めないから心配したんだよ」

うっすらと目を開けると、同派の蛍丸と愛染国俊が心配そうにこちらを覗き込んでいた。

「すみませんもう大丈夫です。主は
「オレ知らせてくる!面影はもう少し寝てろよな!」
「そうだね、重傷だったんだし、しっかり休んだ方がいいよ」
「すみません、そうさせてもらいますね」

仲間たちの優しい言葉に再び眠気に誘われた「面影」は、黄緑色の目をそっと閉じてまた眠りにつくのだった