浦山野あずま
278文字
Public お遊び
 

裁決は水の底

某所不定期企画より。「さて、そろそろ決めようか。"正義"は、俺か、お前か」で始まる作文

「さて、そろそろ決めようか。"正義"は、俺か、お前か」
向かい合う2人の男は、静かに、しかして全く同時にそう言った。
そして、2人の顔も全く同じであった。目の位置も、耳の形も、肌の色も。
表情があれば、口の端程度に違いは出たかもしれない。
しかし、2人は全くの無表情で向かい合っていた。
片方が言った。
「俺の方が先に発生した」
もう片方が言った。
「意識の確立は俺が先だった」
「沼から出たのは」
「同時だった」
「俺が正義まさよしだ」
「いいや、俺だ」
2人の沼男は、静かに睨み合う。
沼の底には、本物の羽柴正義が沈んでいる。