はくう
2025-05-13 22:37:05
3860文字
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エリソーを応接室に配置して手がかりを捜索させよう

推し二人を応接室に配属して、推しCP手がかりを手に入れよう!

戦友から推しCP手がかりをもらってから「こんな遊び方もあるのね!」と、定期的に推しCPを応接室に配属して推しCP手がかりを戦友に渡す仕事をしています。タイミングが良いと御社と弊社の推しCP手がかりを並べることも出来て嬉しいです(日記)

出来てないエリソーが取ってきた手がかり、出来てる御社エリソー応接室対応ロドスにおつかいに行く弊社秘書(片想い中)、勤務後一緒に休憩する二人……夢がありますね

「どうして君が?」
「さあ……
 エリジウムが応接室に入室して、勤務のためにとりあえずパソコンを立ち上げたところで部屋に入ってきたのは、ソーンズだった。入室時に勤務開始の打刻をしていたので、エリジウムの今日のパートナーは彼らしい。ソーンズはロドスのオペレーターだ。エリジウムと同じように応接室で勤務する可能性が無いとは言えない。だけど、人には向き不向きがある。
 応接室での仕事は主に手がかりの捜索と、来客対応だ。今日は情報共有会を開いていないから、手がかりの捜索が主な業務になるだろう。オペレーターによっては情報を得るのが早い者や、外部の組織にツテがあってそこの手がかりを入手しやすい者がいる。エリジウムはロドスでの顔が広く、ロドスの手がかりを入手しやすいのでしばしば応接室で勤務している。だけど、ソーンズが情報を得るのが得意だとか、どこかにツテがあるとかは聞いたことがない。
「ライン生命に知り合いでも出来た?」
「いや」
「情報戦に強くなった?」
「いや」
「あっ、わかった。お茶入れがめちゃくちゃ上手くなった?」
「そんな採用基準なら、ルーメンの方が適任だろう」
「だよねぇ」
 手がかりを得やすいわけでもなく、客人の対応が得意でもないソーンズを、どうしてドクターは応接室に配置したのだろう?
 首を傾げるエリジウムをよそに、ソーンズはペンギン急便からの手がかりを受け取った。

 ※

「カランド貿易からの手がかりだ」
「あれ、僕もさっきカランド貿易の手がかりを譲ってもらったんだよね。他の人に譲るか、次の情報共有会用にストックしておこうか」
 エリジウムはそう言いながら、六番の枠にもらった手がかりを貼り付ける。手がかりの空きはあとひとつ。七番、ロドスの手がかりだけが抜けている。
……お前、ロドスの手がかりを入手しやすいんじゃないのか」
「言わないで! 勤務時間が確率に影響するだけだから! 今からだから!」
「確率は信用ならない」
「やめてよ、そんなこと言うの……。君が言うと変な信憑性あるんだから……
 エリジウムはロドスの手がかりを入手しやすいはずだが、今日は一つも得られていない。一つだけ枠の空いた手がかり欄を見て歯痒く思っていると、隣のソーンズが「そうか」とつぶやいた。
「ドクターは応接室に関する基地スキルがない俺を配置することで、確率の無意味さを訴えたかったのか」
「そうかなぁ?」
 ドクターの指揮は信頼しているけど、あの人の性格は結構おちゃめだ。そんな真面目な意図があるとは思えない。エリジウムはそう考えながら手がかりの譲り先を探す。ちょうど、カランド貿易の手がかりを探している戦友を見つけたので事務処理を進める。
「手がかりってさ、情報源の明確化とかの理由で、その日の勤務オペレーターの情報が乗るじゃん」
「そうだな」
「なんか、『僕たちが取ってきました』って感じでちょっと恥ずかしくない?」
「ああ、食堂メニューの『私が開発しました』みたいな」
「そうそう」
 エリジウムの脳内で、食堂メニューの隣で嬉しそうにピースする少女の写真と「グムがつくりました」の文字が並んでいる広報が思い出される。
「エリジウム、俺たちの子供が旅立って行くんだな……
「んぐっ」
 ソーンズが急にしっとりとささやいてくるものだから、エリジウムは吹き出すのを堪えるのに必死だった。堪えきれてなかったが。というか別に、今はソーンズと二人きりなのだから笑いを堪えなくても問題ないのか。エリジウムはそう判断して、ソーンズのおふざけに便乗する。
「そうだよ。僕たちの子だもん、きっと可愛がってもらえるよ」
 そうささやいた途端、入り口付近で紙が落ちる音が聞こえる。驚いて視線を向けると、扉を開けて呆然とこちらを見ているドクターがいた。その足元には、ドクターが落としたであろう書類が散らばっている。
「ドクター、大丈夫? 気分でも悪い?」
「やっぱり……
「うん?」
「やっぱりエリジウムとソーンズは付き合ってたんだ……!」
「何の話!?」
 事実無根のことを叫ばれて、エリジウムも同じ声量で聞き返した。エリジウムとソーンズは付き合ってない。「やっぱり」って何なのだろう。そんな噂が出回っているのだろうか。ドクターの手が動揺なのか過労なのか何なのかわからないが震えている。
「だって、俺たちの子供とか僕たちの子とか言ってたじゃん……。子供が産まれたなら私にも紹介してよ。出産祝い金制度があるのは知ってる?」
「待ってドクター、本当に子供がいるわけじゃないよ。ちょっとふざけただけ。あと、僕たちは男同士だから子供は出来ないし、そもそも付き合ってないよ」
「それがいつものジョークだろ?」
 ドクターの目には迷いがない。エリジウムをからかっているのではなく、本当に心からそう思っているようだった。エリジウムは密かにため息をつく。かわいそうなドクターは仕事に疲れすぎて、何が何だかわからなくなっているようだ。
「ドクター、休んだ方がいいよ。ほら、ソーンズからも何か言って」
「俺とエリジウムが付き合っているか確認するために、俺を応接室に配置したのか? まさか、俺のあのふざけた発言もドクターの計算のうちか?」
「そんなわけないでしょ! 感心しないで! もしもし医療チーム? ドクターが理性ゼロで変なこと言ってるから迎えにきてもらえる?」
 疲れて変なことを言うドクターと、ドクターのことを信頼しすぎているソーンズ。この空間はエリジウムの手に負えなくなったため、内線で医療部にヘルプを要請する。すぐにガヴィルがやってきて、ドクターを担いで去って行った。相変わらずパワフルな医者だ。
 変なことを言っていたドクターが回収されたぶん、静寂が気まずく感じるのはエリジウムだけだろうか。エリジウムは誤魔化すように、いつもの調子で口を開いた。
「疲れてたとはいえ、ドクターってあんなに大きい声出せたんだね。やっぱりエリジウムとソーンズは付き合ってたんだ、ってさぁ……ん、ちょっと待って。あのとき、部屋の扉は開いてたよね」
「そうだな。ドクターはほぼ廊下に立っていた」
「それってさ、僕たちの関係についてドクターが叫んだことが他の人に聞こえちゃったんじゃない!? どうしよう、僕たちの関係が誤解されてたら」
「別にいいだろう」
「いいの!? あ、いや、僕も不満ってわけじゃないんだけど……ほら、毎回否定するのも大変でしょ?」
 エリジウムとソーンズは仲の良い友達で、そこに恋愛感情はない。冗談混じりで「お前ら付き合ってるのか?」と聞かれることはあるけど、エリジウムは毎回否定している。もしソーンズに好きな人がいた場合、その恋路を邪魔したくない。ソーンズには幸せになって欲しいのだ。そんなエリジウムの気遣いも知らず、この自己中心男は他人にどう思われても構わない、といった顔だ。ふむ、と考えた後、ソーンズは代替案を示した。
「なら、真実にしたらいい」
「何を?」
「俺とお前が付き合えば、否定する手間も省けるだろう」
……うん?」
 これは、ソーンズにお付き合いを提案されているのだろうか? 「エリジウムとソーンズが付き合っている」という言葉を否定するのが面倒だからという理由で?
「ブラザー、あのさ。君が面倒事が嫌いなのはわかるけど、好きでもない相手と付き合うのは良くないと思うよ」
「好きだが」
「はいはい、ありがとう。でも『そういう好き』とは違うでしょ」
「お前とキスやセックスがしてみたいと思っているし、お前に抱かれる妄想で抜いたこともあるが、お前の言う『そういう好き』とは別物か?」
「え?」
 衝撃の事実を受け止められずフリーズするエリジウムの耳に、新しく手がかりが見つかったときの着信音が聞こえる。エリジウムはそれどころではないが、ソーンズはいつも通り受け取り処理をした。
「ああ、やっと七番の手がかりか。ようやく情報共有会が始められるな」
「待って、この状況でするの?」
「しない理由があるのか? 手がかりはこれ以上貯められない。すぐにでも共有会を開いた方がいいと思うが」
「え、いや、でも」
 エリジウムの反論を聞く気がないようで、ソーンズは七番の手がかりを指定の場所にセットする。全ての手がかりが揃い、情報共有会が始まる。ソーンズは茶菓子の用意でもするか、とつぶやきながら給湯室へ向かう。エリジウムのことが『そういう意味で好き』と伝えたことを恥ずかしがって避けているのだろうか。……いや、そんな可愛げがある性格ではないか。
 エリジウムはちらりと先ほど見つかったばかりの七番手がかりを見る。もう共有会が始まってしまったから、エリジウムが勝手にあの内容を見ることはできない。もしもあの手がかりの内容が、「ドクターの叫び声。エリジウムとソーンズは付き合っていた!」とかだったらどうしよう? 共有会に来た人たちが、二人の仲を誤解してしまう。
 エリジウムはドクターが叫んだ言葉を真実にするかどうか悩みながら、来客をもてなす準備をするために狭い給湯室に足を向けた。
 うん、そう、これは来客をもてなすために仕方ないことなんだ。給湯室はエリジウムとソーンズが並ぶには狭すぎるし、お茶菓子の用意なんて一人でできることは知っているけど、万が一のこともあるし。そう、断じて、エリジウムがソーンズの顔を見たいからではない。