三毛田
2025-05-13 22:16:33
1076文字
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91 01. あなたに触れる

91日目
いつでもあなたに触れたい

「丹恒、いい?」
「ああ」
「ありがとう」
 触れた指は、思っていたよりも冷たい。それは、彼が人ではないことを示しているかのようで。
 まあ、実際に種族は違うけども。
 指先に触れたら、もっとその先に触れたくなる。
 そんな傲慢で欲ばかりを孕んだ甘い考えは、もしかしたらお見通しなのかもしれない。
「くすぐったいな」
「なんで」
「体温の差と、普段他者との接触が乏しいからかもしれないな」
 口元にも、目元にも笑みを浮かべ。少し嬉しそうに。
 好きだなぁ。って思ってしまう。
 だからこそ、邪な思いも抱く。
「俺と触れ合うのは、嫌?」
 この問いかけ方は、我ながらズルい。でも、丹恒なら。
「お前と触れ合うのは、嫌ではない。ただ」
「ただ?」
「ずっと触れていると、火傷しそうだ」
 そうなったら大変なはずなのに、やっぱりそう口にする彼はどこか嬉しそう。
「穹?」
 俺が見惚れていると、不思議そうな表情でこちらを見てくる。
「丹恒」
「どうした?」
「明日も、その先も、お前に触れていいか?」
「お前が望むのなら、好きなだけ」
 俺の手を持ち上げ、頬ずりして。
 そんなことされたら、俺のこと好きなんじゃ? って、勘違いしてしまうじゃん。
「丹恒、それ、他の奴にはやるなよ」
「そもそもお前以外には触れさせないし、触れて欲しいとは思わない」
 頬ずりをやめ、俺の手に自分の手を重ねてこちらを見上げ。
「す……
「す?」
「すき焼きっていうの、あるじゃん。あれって、パムに頼めば作ってくれるかな?」
「この間見つけた料理だったな。鍋の一種だったか」
「そうそう。添付されていた写真が美味しそうだったから、どうかなって」
「食材を集める方が大変かもしれないな。だが、通販で探せばどうにかなりそうか」
 手から頬を離したけれど、握ったままで。
 何とか誤魔化せたと思いたい。
 俺に好きだって言われたって、丹恒も困るだろう。
 誰かに好きだと言われるのを、好かれるのを、怖がっているようにも思え。
 深呼吸して、彼の手を握ってから軽く引く。
「穹、どうした」
「これからパムに相談に行こう。今日明日だと無理かもしれないけれど、数日後とか、一週間後とか日を決めることも出来るからさ」
「そうだな。俺たちも手伝おう」
「うん! 自分で作った方が、美味しいもんな」
 手を繋いだまま、パムの元へ向かう。
 すき焼きのことを説明し、パムもまた乗り気になってくれたので食材を注文。
「丹恒」
「なんだ」
「お前が好きだ」
「知っている」
「ありが……え!?」