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三毛田
2025-05-11 09:46:34
1057文字
Public
1000字3
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89 09. 刺さった棘
89日目
彼のおかげで気づけば消えていた
幼馴染とは、便利な言葉だ。
己が隣にいるのがふさわしくないと思っていても、隣にいることを許される立場。
「俺、お前と幼馴染とか思ったことないけど」
彼にしては棘のある言葉。
人当たりのいい笑顔と、優しく明るい声で話す姿しか見たことのない人からしたら、驚くものなのだろう。
「で、でも」
「そりゃあ、小学校中学校から一緒だったけどさ。それなら、他にも一緒だった奴らもいるし」
「なら」
「俺、大切な人を傷つけた人間が、平気な顔して近くにいるのが不快なんだ」
低く、明確に人を傷つけようとしている声。直接向けられたわけじゃないのに、肩が跳ねる。
「な、何のこと?」
「知られてないと思った? 残念。お前が丹恒に暴言はいたの知ってるよ」
思わず物陰から飛び出しそうになる。しかし、誰かの手が伸びてきて、口を塞がれてしまう。
「静かに」
耳に馴染む、少女の声。その正体に気づき、強張っていた体から力が抜けていく。
あの日、そこで穹に追い詰められている少女から向けられた言葉の棘は、深く刺さったまま抜けないでいる。
その事に、彼ら姉弟は気付いている。というよりも、彼女
――
星がたまたま聞いてしまったのだ。
話さないで欲しいと頼んでも、俺のことが好きすぎる彼らがそれを共有しないはずがなく。
「お前が先に言ったんだろ。〝幼馴染だからって当たり前のように傍にいるな〟ってさ。逆なんだよ」
「逆?」
「そう。俺が、丹恒のことが好きだから、無理矢理傍にいる。そうでもしないと、あいつは逃げるから」
彼から、彼らから好かれている自覚はきちんとある。最近、穹から向けられるものが、ただの好意にとどまらないことも、気づいていた。
「お前のせいで逃げられたらどうするんだよ。俺の十年以上の努力がパーになる」
どういうことだと星へ視線をけど、
「諦めて、穹に落ちたほうが丹恒は幸せになれる。ごめん。私はそれしか言えない」
と、小さな声で返されるだけ。
そんな昔から、俺を?
驚きばかりが胸を占めていく。
「穹の執着は、怖いよ。他のものは、手に入らないってわかったらすぐに諦めるのに、丹恒の事だけは絶対に諦めないんだ」
ずっと一緒にいるからこそ、彼女の言葉は嘘ではないとわかってしまう。
「俺にも丹恒にも近寄るな」
冷たく告げ、こちらへ歩いてくる。
マズいと思っていると、星に背中を突き飛ばされ。
「え。たん、こう?」
驚いたように、黄金が大きくなって。それから、顔を真っ赤にして俺の手を引いていく。
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