とある街に訪れたリコとロイとウルト。街行く人々が中央の大きなスタジアムへ向かっていくのを見て、三人もその後を追う。すると、スタジアムの壁にはバトル大会のポスターが貼られていた。
「お、いいじゃねえか。ロイ、もちろん参加するよな?」
「うーん…そうしたいけどラクリウムについても調べないとだし…」
「いいんじゃないかな。たまには息抜きも大事だよ」
「リコがいいなら…よし、じゃあ目指すは優勝だ!」
三人は拳を空に突き上げておー!と声を揃えた。早速エントリーを行い、一時間ほど待つと大会が始まった。参加者は全部で十六人。ルールは一対一、トーナメント形式で決勝となる四回戦まで行われる。
第一回戦…ロイの対戦相手は…
「まさか初っ端から当たるとはなあロイ」
「だな。最初から全力でいくぞ、ウルト!」
ロイはルカリオ、ウルトはヤミラミを繰り出してバトルが開幕。そしてロイの言葉通り、二人はメガリングを構えてキーストーンに触れる。放たれた光はポケモンたちのもつメガストーンと繋がり輝くと、彼らの姿をたくましく、強力に変化させていく。メガシンカしたルカリオとヤミラミは互いに睨みを利かせる。限られた者たちしか使うことのできないメガシンカの登場に会場は大盛り上がりだ。大歓声の中、ロイとウルトは指示を出す。
「ルカリオ、ラスターカノン!」
「ヤミラミ!かげうち!」
壮絶な攻防の始まり。しかし決着は早く、十分と経たぬ間に第一回戦は終わった。フィールドに立っているのはルカリオだ。
「ルカリオ、お疲れ様」
ロイがそう言うと、ルカリオは笑顔で頷きボールに戻った。ヤミラミをボールに戻したウルトの元へ近づいていく。
「今日は僕の勝ちだな」
「ふんっ!次は俺が勝つからな!」
そうして大会は進んでいく。リコとロイは順調に勝利を重ね、ついに決勝へと駒を進めた。バトルフィールドに立った二人は笑みを向け合う。
「リコ、やっぱりここまで来たね」
「うん。トーナメント表を見た時からロイと決勝で戦いたいって思ってた」
「よーし…思いっきりやろう!」
ロイはアチゲータ、リコはマスカーニャをボールから出した。決勝戦開幕のアナウンスと共に上がる歓声に囲まれながら、最初の攻撃が飛び出す。
「アチゲータかえんほうしゃ!!」
「マスカーニャ、マジカルリーフ!!」
アチゲータの口から飛び出た焔とマスカーニャが撃ち出した緑葉が激しくぶつかり合って爆発する。煙が舞う中、アチゲータの頭上に四つの花が出現した。
「トリックフラワー!」
リコの指示に合わせてマスカーニャが指を鳴らすと、四つの花が次々に爆発してアチゲータにダメージを与える。煙を応用した奇襲は大成功だ。さらに、トリックフラワーの爆発で再び発生した煙がアチゲータの周囲を取り囲んで視界を遮る。
「やるな…だったら、アチゲータ、ぐるぐる回ってチャームボイス!」
指示を受けてアチゲータは軽快なステップを踏みながら体を回し、甘い歌声を響かせる。しかし、中心となるアチゲータめがけて、空からマスカーニャが飛び出す。
「アクロバット!」
「かかった…!今だ!空へ向かってニトロチャージ!!」
マスカーニャが蹴りの体勢に入るより早く、アチゲータは足をずしんと地面に置いて炎を纏い跳び上がる。直撃した攻撃はマスカーニャにこうかばつぐんだ。
「やられた…でもまだ!マスカーニャ、トリックフラワーいっぱい!」
マスカーニャは大量の花をフィールド上に転がす。花畑という名の地雷原の誕生だ。下手に身動きが取れなくなったアチゲータの元へ、一気に襲いかかる。
「アクロバット!」
「アチゲータ、跳んでから下にかえんほうしゃ!!」
アチゲータがジャンプするのに合わせてマスカーニャも跳ねる。上下正面に顔を合わせたところでリコが再び指示を出す。
「ツタで捕まえてふいうち!」
「アチゲータ、炎を溜めろ!」
マスカーニャは蹴りのフォームを解いてツタを伸ばし、アチゲータを拘束する。そのままアチゲータの隣まで浮かび上がり、強烈な蹴りを入れた。しかし、アチゲータは腹に熱を溜め込んでいた。マスカーニャのキックと共に大火力のかえんほうしゃが地面へと放たれる。転がっていた花々に触れ、次々に大爆発を起こしていく。アチゲータとマスカーニャ双方にダメージが入り、フィールド上は爆発の熱気、黒煙に包まれて誰の目にも状況が分からなくなる。リコとロイも汗を流す中、次第に煙が晴れていく。アチゲータとマスカーニャは向かい合い、傷を負いながらも立ち続けている。そして、まだまだこれからと言わんばかりの雄叫びを上げる。
「リコ!もっともっとできるよね!」
「もちろん!ロイとなら限界なんてない!」
二人はテラスタルオーブを構えた。青く光る結晶はそれぞれのパートナーの元で輝き、煌めく力を与える。
「アチゲータ、かえんほうしゃ!!全力でいけ!!」
「マスカーニャ、大きいトリックフラワー!!」
二人の声が重なる中、マスカーニャは指を鳴らして二匹の距離の中間に巨大な花を発生させる。一方アチゲータは精一杯の炎を吐き出した。お互いの特性によって強化された絶大な技。爆炎は大花に当たると共に、大きな爆発を生む。
そう、観客もロイも思った。しかし、花は風船のごとくあっけなく破裂し、爆発は通常のトリックフラワーのように小規模に収まって、いつの間にかマスカーニャが姿を消していた。
「まさか…!アチゲータ、気をつけ——」
「ふいうち!」
突如としてアチゲータの背後に姿を現したマスカーニャが連続で蹴りを入れる。吹き飛ばされたアチゲータはスタジアムの壁にぶつかると共にテラスタルが解け、その場に倒れ込んだ。
「アチゲータ…!…お疲れ様」
すぐに駆け寄ったロイが頭を撫でながらアチゲータをボールに戻した。フィールドに目を向けると、テラスタルを解いてぐったりと座り込んだマスカーニャの元にリコが駆け寄って抱きつき、喜びを分かち合っている。
「リコ、勝負ありがとう。まさかあの大きいトリックフラワーがダミーだなんて…」
「きっとロイは正面からかえんほうしゃを撃つと思って…それでこの作戦が浮かんだんだ」
「してやられたよ。やっぱりリコはすごい戦い方を思いつくね」
「ありがとう。でも、相手がロイだったからこそだよ。ロイと戦っていると、どんどん作戦が閃くんだ」
「僕もそうだな。リコとの勝負は楽しくて、熱くなって、次々にやりたいことが浮かんでくる」
二人は顔を見合わせて笑い、互いの手を交わす。勝負の後の握手にまた大きな歓声が上がる。
「こんなに燃えるバトルができる相手と出会えるなんて…きっと奇跡だよね!」
「うん!ロイと出会えてほんとうによかった。これからも、いっぱいバトルを重ねて、もっと強くなろう!」
「ああ!」
終わってなお、熱く滾る二人の闘志。そして心に光る信頼と絆。互いを映す瞳だけが、それを示し合っていた。
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