まつり花
2025-05-09 21:43:37
3337文字
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まるで妖精みたいな【13→青KK】

こちらは宇田学様【@phs-uda.bsky.social 】が描かれている男夢主×ホークスの設定をお借りしたファンフィクションです。三次創作になります。えっちな下着のお話です。

「けぇくん」
そっと手を取られて腕を引かれた。
タカの所属するヒーローの会社のビル内部に内密で入れてもらえて、意外と普通なんやななんて感想を抱いていた時だった。でもとにかく広くて迷子になりそうな俺の手をタカはきゅっと引っ張りながら迷わずに進む。急いでいるようにも見えた。この後すぐに呼び戻されるんかな、少ししか話でけへんのかな、って思ったけど、タカはいつものヒーローの時の衣装ではなく俺らと遊ぶときみたいなパーカー姿だったから、きっとそれはないんだろうと一人頷く。
「どこ行くん?」
シンと静まり返った廊下。タカは振り返って、小さな声で「俺ん部屋」と呟いた。
招き入れられた部屋はやっぱり思っていたよりも普通で、自分の部屋と大して変わらんかった。勝手にもう少しいい部屋に住んでるのかもしれないと思っていたから拍子抜けだ。でも、どこにでもありそうな少年の部屋って感じにどこかホッとした。
それと同時にタカの部屋だと意識した途端に急に心拍数が上がる。タカはどこか様子が変だった。
意識されている。
俺と同じや。
タカは深呼吸をして俺と向かい合った。そうしてまた俺の手を取る。
「あのさ、けぇくんこの間、危ない事するなよ、なんかあったらすぐ言えよって、言ってくれたよね」
「う、うん」
「今度のお仕事……どうしても俺じゃないとだめで、でもちょっと不安で……けぇくんに相談したいなって」
「お、おう! なんや何でも言ってくれ!」
するとタカはおもむろに靴を脱ぎだした。靴下も。するするっと。タカの素足だ。足首が細くて指がちっちゃくてかわいい。
じゃなくて。
「へ? ……は?」
疑問符を浮かべる事しかできない俺を置いてけぼりにしてタカは今度はパーカーのファスナーに手をかけた。首元を見ると、そう言えば遊んでる時もいつも中に着ていたインナーを身につけていない。ジッと下ろされたファスナーの、その隙間から。
「は? ……へ?」
ピンク色の……レースが見える。
「んんん???」
ファスナーを下ろしきると、タカは今度はズボンを脱ぎ始めた。脱いだ、その衣服の中から現れたふんわりとしたシルエット。そうしてタカは最後にパーカーも脱ぎ捨てた。
……どうかな」
どう、と言われても。
まるでふんわりとしたお菓子みたいに甘いピンク。くすみがかった清楚で落ち着いた色だった。下着……下着だ。それも女の人が着るやつ。ショッピングモールのマネキンが着てるようなやつだ。
「タカ……おま、なに着て、って、これでお仕事て! は? 何しに行くん!?」
「その、潜入捜査って言うのかな。似合う?」
「似合う!!!!!! 違う!!!そやなくって!!」
「え、なに?」
「だめやろ! 行ったらあかんやつやん!! だめやって!!」
思わずタカの肩を掴む。素肌だ。ほんのり暖かくて、緊張してるのか汗で指に吸い付くような肌触り。はらりと肩に引っかかっていた紐が落ちて俺の指にかかる。
タカがこの姿で仕事?
この、この……こんな姿で……
まじまじとその姿を観察してしまう目はどうにも止められない。
胸んとこの細かい花柄のレースだとか真ん中がリボンで結んであってたぶん引っ張ったらほどけそうな感じとか、なんやスケスケの素材の布がその下からふわっとスカートみたいにひらひらしとるとにかく可愛い布だとか……。妖精やん!? あと透けて見えるんやけどパンツ……もなんか透けてるような、紐パンやしちっさいちょうちょう結びがサイドについとるん、こんなん可愛すぎて……。えっちすぎるやろ……!!そんでこんな俺を見つめ返してくる少し潤んだ飴玉みたいな瞳だとか、ふわっふわの濃い目の金のくせっ毛だとか……外国のお人形さんかなんかか???
とにかく純な幼さと大人の艶やかさが混在するあやうい雰囲気ていうん?
「けぇくん……?」
不安げな顔をしたタカが小首を傾げて見上げてくる。その背中の羽根がふぁさぁっと広がって閉じた。
天使やん!!!
「そっか……やっぱだめだよね」
俺は力いっぱい首を横に振る。そうして意味合いが違う事に気付いて今度は縦に振る。タカの姿を頭のてっぺんから足のつま先までを瞬きもせずに視界と脳みそに収めながら肩を掴む手に力を込めた。
「でもね、絶対断れないんだって。うまくやれる自信はあるんだけど、もしもってこともあるから……だからね、その前にけぇくんに……俺」
だから今日ここへ呼んだの。
まるで後頭部をガンと殴られた気分だった。タカが俺の右手を取った。そして自分の胸元へと持っていく。
「ここのリボン、解くとね、脱げるやつ」
俺の喉がひゅっと変な音を立てて空気を吸い込んだ。
「背中にもあってね……羽の下のとこ。こっちの方が解きやすいかな」
仄かに染まった頬。対して俺の顔はきっと真っ赤に違いない。
「それから」
タカは俺の手をそのままに、空いた片手でするっとスカートみたいなふんわりの裾を摘まむ。そしてゆっくりとそれをたくし上げていく。さらりと音もなく臍の辺りまで暴いていくタカの手がきゅっと鳩尾で止まる。そしてレース越しでなく晒された腰をくいっと俺に向けた。
「この紐も……解いていいよ」
あかん。
俺は無言でタカをベッドに押し倒していた。そう、そこにはベッドがあった。最初からこうなるのを知っていたかのように、タカの部屋のタカのベッドがそこに。わたあめみたいなふわふわを潰してしまわないようにぎゅっと抱きしめる。素肌となめらかな布地を撫でまくりながら必死に耳元にちゅちゅっと口付けると「あん♡」とかわいらしい声が上がった。はわわわわとてんぱりながらほんとにええんか?とタカの表情を最後の確認とばかりに見ると、上目遣いではにかみながら。
「俺も言ったよね? けぇくんのこと好きだから……なんでもできるよって」
ふふって笑う。
妖精? 天使? 砂糖菓子?
「ね、どのリボンにする?」
いや、小悪魔かもしれん。
なんでもいい。好きな奴の甘い囁きに逆らえる奴なんておらん。
俺は震える手をそっとリボンに……うん? どのリボンだっけ? 確か——



「けぇくん。ねぇ、どうしたの?」
困惑した顔のタカの目の前で俺はひたすら土下座をしていた。
変な夢見てすまん!!!
申し訳なくて申し訳なくてどうしようもなかった。本当にすまんかった!! 朝起きた時に下着の中がとんでもない事になってて本当にすまん!!理由も話せなくてすまん!とにかくすまん!!
「けぇくん、ねぇ」
よくよく考えてみればタカの仕事場に連れてってもらえるなんてあるわけないし、タカが自分からあんな破廉恥な格好してあんな、あんな……とにかくするわけないやんな。前にたまたま見てた洋画で女スパイがセクシーな下着でターゲットを誘惑するシーンが頭ん中に残ってたからきっとあんな夢夢だったんや!!あれは夢!!夢!!
俺は気が済むまで何も分からずオロオロするばかりのタカに頭をさげ続けたのだった。


「けぇくんってば、ホント、どうしたの?」


「けぇくん」


「ねぇ、けいくん」
それから数年後。
俺はまた同じ格好で額を床に擦り付けている。
「頼む」
……やだ」
「一回だけでいいから!」
あの日の夢が忘れられなかった。何度も何度も反芻したからよっく覚えている。俺はあの時見た夢の中でタカが着ていた妖精のような下着(ベビードールっていうらしい)を自力で購入し、今、タカの目の前にそれを差し出して土下座をしている。
「それ着てください!お願いします!!」
長い沈黙。
困惑している。それは当たり前だ。けど、あの時とは少し違う。
『な、なんでもできるよ……
あの言葉だけは夢じゃない。それは覚えてる。確かに言ってくれた。例の夢を見た原因はあのタカの言葉にもある。絶対に!!
俺は恐る恐る顔を上げる。すると顔を真っ赤にしたタカが眉を八の字に下げて唇を震わせていた。それでもなお、その柔らかくもふわふわのそれを手に取ってくれた。
天使だ!

「もぉ~……けいくんの変態!!」

あと一押しで夢が現実に。俺はそれを確信して拳を握った。
もうすぐ妖精に会える!!