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三毛田
2025-05-06 18:52:51
1071文字
Public
1000字3
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84 04. その背中を追い掛けて
84日目
でも、触れてはいけないその背中
触れたくても、必要以上に触れてはいけないと自制。
彼は、一処に縛られていい人間ではない。
それすなわち、一人の人間に執着されるのもよしとはされないだろう。
色々な景色を見て、たくさんの人と触れ合い、いつかは
……
道標となるべきだ。
それはただのエゴ。理想の押しつけ。
罪を償えと、押し付けてくる人たちから逃れるための、現実逃避のようなもの。
「丹恒! 姫子がキッチンに!」
「コーヒーを淹れているんじゃないのか?」
「なんかよくわかんない材料の名前を口にしてた! なのが足止めしてるけど、助けて!」
穹に呼ばれ、資料室を出てラウンジへを通る際に、手紙があるのに気づく。 これなら、姫子さんの気を引けるだろう。
「ふ、二人とも〜」
今にも泣きそうな三月を穹に任せ、
「姫子さん、手紙だ。速達の印が押してあるから、早めに中身を改めたほうがいい」
と、ラウンジから持ってきた手紙を渡す。
「あら、本当ね。ごめんなさい、三月ちゃん。後はお願いできる?」
「うんうん! 手紙の返事も書かないとだろうから、ゆっくりしてて!」
「それじゃあお言葉に甘えて」
手紙を手に去っていく背を見送り、三人でため息。
「丹恒、ありがとう」
「これで俺たちの胃は救われた」
「食べられる料理の開拓ならいいけど、そうじゃないのは遠慮したいね!」
と頷き合う二人に、思わず手が出そうになった。でも、我慢した。
「ところで、パムはどうしたんだ」
「入浴中。掃除直後のバケツの水を、頭から被ったんだ」
「漫画みたいだったよ。落ち込むのをなだめるほうが大変だったんだから」
「何を作るとか言っていたか? 下拵えくらいなら、俺でも出来るはずだ」
「聞いてくるよ」
ウチも〜。と、二人は穹の部屋へと向かう。
その背中を追いかけて、行かないでくれと言えたら。どれだけよかっだろうか。
素直に一緒にいて欲しいと言えたなら。
だが、それはきっと俺ではない。
そんなことを口にするのは俺らしくない。
「丹恒。今日はグラタンだって」
「材料は冷蔵庫にあるから、ホワイトソースを作ってくれると嬉しいって言ってたよ」
「なるほど。それなら、お前たちは食材のカットを頼もう」
「「はーい」」
キッチンへ移動し、俺はコンロの前へ。
「丹恒、隣でいい?」
「ぶつからないようにしろ。お前は刃物を、俺は火を扱うからな」
「うん!」
嬉しそうに笑う穹に、自然と笑みがこぼれ。
「丹恒、嬉しそうじゃん」
「三月、さっさとやれ」
「はーい」
わざわざ人を揶揄うなとしか。
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