Adaps_A
2025-05-05 21:04:34
615文字
Public ダングリのはなし
 

ダングリと光でパーティ抜け出すはなし


細かい話は聞いていないのだが、何かしらの違法な取引があるらしい。
「いるだけで助かります」とのことで、フォーマルな格好で放り込まれたのが、このパーティ会場であった。
名前も知らない酒のグラスを片手に、壁際でぼんやりと会場を見渡す。
オブリビオンのひとが、知らないひとを連れてどこかへ去っていく。
しばらくして最後のオブリビオンのひとがこちらをちらりと見てから退出し、どうやら仕事は終わったらしい。
あとはいい感じのタイミングで、いい感じに退出すればよい。
最高難度ミッションだけが残されており、どうしようかとグラスを煽った。

「あれ、珍し~ね」

ふと、隣から声がかけられる。
目を向けると、そこにはシャトナ族の青年がいた。
こんな知り合いはいただろうか、と首をひねっていると、彼は少し笑って懐からサングラスを取り出した。

「ああ、きみかあ」

ダンシング・グリーンであった。
彼はサングラスを戻すと、隣でグラスを傾ける。

「アンタもこういうトコ、来るんだ?」
「仕事でね」
「オレも」

オソロじゃんね、と笑う彼に、なんだか変な気持ちがした。
見慣れないフォーマルなスーツのせいだろう。

「で、だ」

グラスを給仕に預けて、真剣な顔で向き直る。
壁に腕をついて、顔を近づけ、静かに言う。

「こんなつまんね~パーティ抜け出して、どっか行かね?」

ぱち、と閉じられた片目に逆らう術を、今のところは持っていなかった。