ぽふむん
2025-05-03 22:50:00
1560文字
Public ワンドロ
 

電車に揺られて

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「行先」
狛恋います

ダブルデートでお出かけ中のハプニングです。

童磨 電車だと確実に頭つっかえますよね。


本当は行先のひとつの島の都市伝説について、童磨に一言言わせたかった(そのための設定でした)
さすがに時間足りないw

爽やかな初夏の風が、鮮やかな緑色に飾られた木々をゆらめかせる。
暑くも寒くもなく心地よいいい時期だ。
そんな、絶好の行楽日和に童磨、しのぶは狛治、恋雪と電車に乗ってダブルデートの計画を立てた。
行先は
まずは、島そのものが神域である神社にお参りに行く。
そして、海沿いの水族館。
水族館と言ってもおしゃれな大型の水族館では無い。
浅瀬に生息する、身近な海の生物ばかりを展示した小規模な水族館だ。
そして、隣接する貝を素材にした展示物を飾ったアミューズメント施設に行き、そのまま海鮮丼を食し、午後は近代作家達が定宿にしたという場所を利用した施設を周り、明治に創業したという絶景の海を展望できるホテルで宿泊

こういうプランだ。

GWということもあり、車移動では時間の予測がつかない。
少し混雑しても、電車移動の方が良いだろう。
そういう見立てで、電車に乗った。
狛治は正直不機嫌の絶頂だ。
よりにもよって、こんなバカップルとダブルデートだなんて、まっぴらごめん蒙りたい。
本当は恋雪と二人っきりでデートしたかった。
なのに、最愛の恋雪は、なんら疑うことすらしない。
純真な目で「楽しそう」なんて言うものだから、思わず頷いてしまった。
今はものすごく後悔している。

今、狛治の目の前には、件のバカップルが居る。
童磨という巨体には、電車の天井は低すぎる。
背中を丸めしのぶを抱きしめ、イチャイチャ。
狛治ですら、頭が天井についてしまいそうなのだから、それはそうだろう。
混雑で座ることは出来ないことは予想通りだが、そんなにぎゅう詰め電車でなかったのが幸いだ。

(暑っ苦しいな真夏でなくて良かった)
心の中で 狛治は悪態をついた。
その時恋雪が小声で

「ねぇ……あの人、何かおかしくない」
と囁いた。
目線の先を見ると、確かに座ることはできないが、立っている乗客はまばら。

そんな車内で、女性客にわざわざ寄り添う見た目キモイおっさん。
明らかに他人だ。
女性客は迷惑そうに離れようとするが、近づく。
それを何度も繰り返す。
なんだか体に触れている。
不自然に。

痴漢だ。

乗客の誰もが、見て見ぬ振りを決め込んでいる。
巻き込まれたくないのだろう。

たまりかね、狛治としのぶがその男に声をかけようとしたその時

さわさわ~

童磨が件のおっさんに不自然なくらいに寄り添い、その尻を撫でた。
戸惑うおっさんに、童磨はニヤニヤ笑いながら囁いた。

「いきなり見知らぬ人からこんなことされたら嫌じゃなぁい?だめだよねぇ」

いきなり巨体の男に迫られたおっさんは顔を青ざめさせ、反論することも無く黙ってこくこく頷くと、バツが悪そうに逃げて行った。
一同呆気に取られていたら、ケロりとして童磨は笑った。

「行っちゃった。ダメでしょしのぶちゃん。あんな変な奴、どんな反撃してくるかわかったもんじゃない」
どうやら、しのぶの性格を熟知している童磨は、しのぶが正義感から何かしでかすと即座に判断し、動いたようだ。
しのぶのこと以外でこんな正義感を発動するような男では無い。
そりゃそうだろうと、納得する狛治の耳に、バカップルに会話が突き抜ける。
「本当はこの後家庭とか、職場のことをほのめか……しのぶちゃん?何してんの?」
無言でしのぶが童磨の手を掴み、自分の胸に押し当てた。

「消毒です。あなたこそダメでしょう。あんなばっちいもの触って」

「人前……!やめなさい」
「じゃぁお尻!」
今度は尻に手を誘導した。
「ちょ!だから、人前。やめなさいってば」

しのぶの体裁を気にする童磨はすっかりあたふたし、恋雪はそんな二人に笑っている。
対照的に、狛治はガックリ肩を落とした。

(もうヤダ……このバカップル)