三毛田
2025-05-02 20:08:29
1072文字
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80 20. 虹が見えたら

80日目
君をデートに誘おう

「穹?」
 足を止めた俺を、丹恒は不思議そうに振り返る。
「丹恒、あっちを見て」
「っ」
 俺の指さす方を見て、驚きに瞳を丸くして。
 まだまだ俺たちがいる場所は雨が降っている。でも、別の方角ではすでに晴れ間が。
 そうなると、くっきりはっきりとした虹が見え。
「ここまで濃い色をしたものは、初めて見たな」
「な! 写真撮ろう!」
「ああ」
 二人でスマホのカメラを、虹の方へと向け。
 気の済むまで写真に収めてから、少し移動してまた撮る。
 虹を撮る丹恒も撮った。きっと、彼も俺を撮っているだろうからおあいこ。
「虹の根元には、何があると思う?」
「何もないだろうな」
「少しくらいはロマンチックなことを言ってよ〜」
「お前さえいれば、俺はそれで構わない。こうして、二人で虹を見ることができたんだ。それだけで、夢のようで、ロマンチックで……かけがえのないものだから」
「丹恒〜!」
「こら」
 嬉しくて、感動して抱きつくと、口では叱るけれど抱きしめ返してくれる。
 小雨になってきたとはいえ、まだ降っている中、傘を放り出して抱き合う。
 丹恒が好きだ。きっと彼も、俺を好きでいてくれている。
 そうでなければ、隣にいることも、こうして抱きしめることも許してくれない人だから。
「デートしよう」
「唐突だな」
「そうかもしれないけど、ずっと思っていたことなんだ」
 なかなか口に出す機会がなかったから、言わなかっただけ。
 了承してもらえたら、告白しよう。
 その前にしろって? デートの約束をしてるのに、フラれたら立ち直れないしデートなのにずっと気まずい空気の中、丹恒と居なくちゃいけなくなるじゃん。
 耐えられない。
 大好きな人の隣にいるのに! って気持ちになるしさ。
「いいぞ。何処に行こう」
 俺から手を離し、傘を拾って渡してくれる。
「遊園地でも、動物園でも、水族館でも! 丹恒が、人が多いところが嫌なら、図書館だっていい」
「図書館だと、お前は途中で飽きるだろう?」
「丹恒が本を読んでいる姿を見るのが好きだし、たまには俺も本を読むかな」「絵本か?」
「絵本でもいいと思う! 面白いのもあるし、教訓が書かれたものもあるしさ」
 丹恒にしては珍しく、からかったつもりなのだろう。
 でも、彼と一緒にいられるのであれば、例え絵本を読むのだとしても苦痛にならない。
 俺の気持ちを舐めてもらっては困る。
 丹恒に一目惚れしたその日から、ずっとずっと。
「なあ丹恒」
「わかった。だが、お前の行きたい所に行けばいい」
「だから~!」