三毛田
2025-05-01 13:49:03
1065文字
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79 19. 窓の水滴

79日目
掃除の手伝い

「パム〜。窓に水滴が付いてるんだけど、どうしたらいい?」
「窓用の雑巾で拭いてくれて。水滴がつかないようにする対策は、オレがやる」
「はーい」
「優しくじゃぞ」
「わかってる」
「お前が丹恒に触れるときみたいにな」
 まさかそんなことを言われるとは思っておらず、軽く拭いたばかりの窓に激突しそうになる。パムの方を向くと、
「なんじゃ。バレてないと思っておったのか」
 と、腰に手を当て呆れたような顔で見上げてくる。
「だってぇ」
 思わず拗ねた声が出たが、仕方ない。許してほしい。
「昨日も、丹恒を寝かしつけておったじゃろ?」
「あれは丹恒が悪い。ちゃんと寝ろって言っておいたのに、俺が寝て起きても起きてるどころか徹夜だよ?」
「オレも叱ったんじゃが、あれはだめじゃ。習慣として、体に染みついてしまったから、矯正するのは難しい」
「だよなあ」
「じゃが、穹に頭を撫でられると眠そうな顔をしておる」
「俺の手の温度、丹恒にはちょうどいいんだってさ」
「なるほど。安心できるとういうことか」
 パムは納得したように頷く。
「あの丹恒がのう。ようやく心を許せる相手が出来たということか。よかった」
 もしかしたら……。とは思っていたが、改めて他の人から言われると照れる。
 パムもホッとした表情を浮かべ、俺の太ももを叩く。
 俺の知らない、列車に乗ったばかりの頃の丹恒を知っているから余計なのだろう。
「穹、よくやった」
「はい!」
 胸に手を添え、軽く腰を折って挨拶。
「掃除を終えたら、おやつの時間じゃ。丹恒に持って行ってくれ」
「うん。今日のおやつはなんだろな〜」
 俄然楽しみになってきた。
 パムの指示に従い、窓拭きや床のモップがけをこなしていく。
「オレはお茶の準備をしてくる。片付けは任せたぞ」
「お任せください!」
 パムがキッチンの方へ消えたのを確認し、掃除道具を少しずつ片付けていく。
 そして手を洗い、戻ってくるのを待って。
「穹。これがお前と丹恒の分じゃ。仲良く食べるんじゃぞ」
「は〜い!」
 渡されたバスケットには、スコーン、キッシュ、パイ。サンドイッチに水筒二本。
 一つを手に取ると、カラカラ音がした。ので、こっちは丹恒用だな。
「丹恒、起きた〜?」
「穹。起きている」
 ノックしてから入ると、椅子に座って読書をしていた。
「パムからおやつ貰ったから、一緒に食べよう。ここでいい? 移動する?」
「お前となら、何処ででも」
 口にしながら、柔らかく微笑む。
 嬉しくて胸がきゅっと締め付けられる。