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roku
2025-04-30 10:49:31
2148文字
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SD夢💤
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花言葉は永遠の愛【松本夢】
・夢主が大切にしているプランターの贈り主は…そしてその花言葉は…という話
・2025.4.26〜29に開催されたWebオンリー『青春ダブルクラッチ』にて別名義で出した作品です
夢子
夢子
残業続きの毎日に疲れと苛立ちが限界を迎えベランダへ出た。取り出した煙草に火をつけふぅと煙を吐き出す。笠木に腕を乗せ空を見上げれば満月が明るくこちらを照らしている。ふと視線を下げれば同棲を始めるときに彼女が持ってきたプランターが目に入った。一緒に暮らすために必要じゃないものはほとんど処分してきた彼女だがこれだけは大切に持ってきた。このプランターが同棲に必要なものだのはどうしても思えなかったが理由を聞いたことはない。もし『昔付き合ってた人からもらったものだよ』などと笑顔で言われてしまえば正気ではいられなくなる。“物に罪はない”彼女はそういうタイプだからありえないとは言えなかった。くだらない考えを振り払うように煙草をふかしたところでガラガラと窓が開いた。
『あ、いた』
「おう。いるぞ」
『ストレス溜まってるね』
「もう落ち着いた」
『そしたら私のぎゅういらない?』
軽く小首をかしげにこっと微笑み両腕を広げた彼女。
「いるに決まってる」
煙草の火を消し彼女を包み込めば、『ふふっ。知ってた』と抱きしめ返してくれる細い腕。風呂上がりの彼女からふんわり香るシャンプーの香りが鼻孔をくすぐり若い頃のように胸が高鳴る。
『最近忙しかったもんね。お疲れさま』
顔を下げ、労いの言葉をかけてくれた彼女を捉えれば自然と視界に入ってきたプランター。
「あ」
『ん?どうかした?』
「芽が出てる」
オレの言葉に彼女は後ろを振り返る。
『あ、本当だ!』
顔を綻ばせオレの腕からすり抜けた彼女は、こちらに背を向けしゃがみ込む。以前、年に2回花を咲かすと教えてくれたプランターのそれは確かキキョウだ。余程大切なのか、普段は面倒くさがりの彼女がこの花の水やりだけは欠かさない。
誰からもらったんだ?
そんなに大切なのか?
オレよりも?
そんな下らない問いを飲み込んで、彼女の背を見つめたまま次の一本に火をつけた。吐き出した煙は変わった風向きにより彼女の元へ流れていく。『もしかして怒ってる?』と新しい顔を覗かせたキキョウを愛でている。
「あ?」
『違うなら
…
拗ねてる?』
ゆっくり立ち上がりくるりと振り返った彼女。咥えていた煙草と唇が奪われる。
「
…………
」
『私さ、だいぶ稔のことわかるようになってきたけど、言ってくれなきゃわかんないこともたくさんあるの。だからさ、今の素直な気持ち聞かせて?』
月の明かりに照らされた彼女は年下とは思えない落ち着いた雰囲気を纏っていて、ますます自分が小さく見え情けなくなる。
『言いたくなければ
――
』
「それ、誰からもらったんだ?」
プランターへ視線を移せば察した彼女。
『キキョウ?』
「ああ。それは
夢子
の生活に必要なのか?」
眉根を寄せて唇をキュッと結んだ彼女を見て、さすがに言い方が悪かったかもしれないと後悔するも口にしてしまったものは戻らない。
『
…………
』
「昔の男からか?」
無言の彼女に耐えきれず、そっちが言わないならとイエスかノーで答えられる質問にする。
『違うよ!それは違う!』
灰とともに彼女の手から落ちた煙草を拾い灰皿に捨てる。
「じゃあ何だよ?」
それならなおさら口を噤む理由がわからない。
『もらったの。
……
諸星さんに』
「
……
あ?なぜここで諸星が出てくる?」
確かに諸星とは
夢子
も一緒に何度か飯に行っているし、ノリが近いのかふたりで盛り上がっていることも多い。だが花をもらったなど聞いてない。
『あのね、これ、諸星さんが時間潰しで訪れたお城でもらったんだって。でも花とか育てないからやるって』
彼女が嘘をつくとは思えないし、諸星ならやりかねない。だがそこまで大切に育てる理由があるのだろうか。黙り込んでしまったオレに彼女は続ける。
『それでね、本当は引っ越す時に捨てるつもりだったの。でもふと毎年枯れては芽を出し花を咲かせる姿が強かだなって。何より花言葉が素敵だなって』
「花言葉?」
『うん。キキョウの花言葉は〈永遠の愛〉〈変わらぬ愛〉なんだって』
ふわりと表情を柔らかくして胸に飛び込んできた彼女を受け止める。
『生活になくても困らないけど、稔との愛が永遠だったらいいな、変わらなければいいなって
…
そういう願いと一緒に持ってきちゃった。重たくてごめんね』
「
……
重たくねぇよ」
まさかの理由に緩む口元を手で押さえた。
『いつも言ってるけど稔しか見てないからね?』
「あぁ」
『だから、
しよ
・・
?』
腕の隙間から向けてくる上目遣い。
する
・・
?ではなく
しよ
・・
?という誘い文句はいつになくあざとい。ベランダから寝室までの短い距離すら我慢できずその場で唇を奪う。
『
……
ん、さすがに、外はダメ
……
っんん』
「だな」
とろんと蕩けた瞳の彼女を抱きかかえ寝室へと向かった。いつもよりも優しく丁寧に愛を注げば『今日はいつもと違うね』と笑みを向けてくる。
「どっちが好きだ?」
『ん?稔に抱かれるなら優しいのも激しいのも好きだよ』
照れることなく言葉にしたあと、誘うように首と腰に絡めてくる腕と足。こういう大胆なところがオレの欲情を煽り我慢がきかなくなる。
結局空が白みだすまで求め溶け合って、少しは加減してといつものように怒られてしまった。
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