溶けかけ。
2025-04-29 20:36:13
2296文字
Public ほぼ日刊
 

誘惑

昨日のリバ、えっちな音声を売るフリーナとリスナーヌヴィの幼馴染設定な現パロです。


「んっ……ふっ……は、あ……フフッ……気持ちよかった?」
 次いで響く卑猥な水音。その合間に挟まる女性の艶を帯びた、少し苦しそうな嬌声。ぶわり、とヌヴィレットの体温が上昇し、剛直がズボンのチャックを持ち上げる。
「はぁ……あ、んッ……もう……せっかちだなぁ……あっ……でも、んっ……! はあ……乱暴なのも……嫌いじゃ……ない、よ?」
 ヌヴィレットの手がマウスに伸びて、ページを捲る。画面に映るのは可愛らしい小柄の女性が男性の陰茎をその身に納めている、所謂、アダルトなイラストだ。
「フリーナ……
 はぁ……とヌヴィレットが熱っぽい吐息を吐き出した。スラックスを押し上げる剛直はますます大きくなったようで、限界まで膨れ上がり、空気を入れすぎた風船のように張り詰めている。ヌヴィレットは剛直を取り出すと握りしめ、搾精を促すように、上下にしごく。
「あ、やっ……! それ、はげしっ……! あんッ……!」
 耳孔に直接流し込まれる嬌声と徐々に激しさを増していく卑猥な水音。幼さを含んだ女性の艶めかしい声に呼応するようにヌヴィレットの体温が上昇していく。それと同時に陰茎に添えた手も早くなっていく。
「っ……フリーナ……!」
 上下に激しく揺さぶられる女性のアニメーションに幼馴染の姿が重なった。黒い長髪は淡い青銀の髪に。メリハリのついた完璧なプロポーションはほっそりとしたシルエットに。
 あと少し──。上り詰める直前の浮遊感に頭が揺さぶられたその時──。
 ピンポーン
……
 ピンポーン
……
 ピンポーン 
……はぁ」
 ヌヴィレットはすっかり興を削がれて項垂れる陰茎から手を離すとズボンを履き直して、洗面所に向かい、手を洗う。開いていたノートパソコンの上画面を閉じる。その間にもチャイムの音はけたたましく鳴り響いて、止まることはなかった。
「遅い!」
 玄関を開けて、開口一番、フリーナがそう言った。
「ちゃんとアポイントは取っていただろう? それなのに出迎えが遅いとはどういうことだい!?」
 フリーナの手にはタッパーの入ったビニール袋が握られている。そういえば、作り過ぎたと言っていたな、とヌヴィレットはぼんやりとフリーナの言葉を怒りごと聞き流す。
「ちょっと聞いているのかい!?」
……それより、入ったらどうかね? 立ち話をするには些か目立ちすぎると思うのだが」
 ヌヴィレットの言葉にフリーナが辺りを見回して顔を赤く染めた。マンションの住人らしい中年女性が「若いっていいわねぇ」と言いながら微笑ましそうな顔をして二人の後ろを通り過ぎていく。
「そ、それもそうだね……ふん。これ、一個貸しだから」
「ああ。それで構わない」
 ヌヴィレットはビニール袋を受け取るとフリーナに手を差し出した。フリーナも当たり前のように大きな手に己の手を重ねて家の中へと入っていく。
 他人の家とはいえ、勝手知ったる幼馴染の家。フリーナはリビングにたどり着くと、いつもの定位置であるソファの上に寝転がり、ネッシーもどきのぬいぐるみを抱きしめて、携帯端末を開くと、ぱたぱたと足でリズムを取り始めた。行儀が悪い、と咎める代わりに、ヌヴィレットが諦めたように溜息をついた。
 ヌヴィレットはキッチンに立つと袋からタッパーを取り出して蓋を開けて、電磁調理器に入れる。
「うーん……。ヌヴィレットー。パソコン借りていいかい?」
 フリーナの声に夕飯の準備をしていたヌヴィレットはおざなりな返事を返す。それから、パソコンのページを消し忘れていたことを思い出して顔を青くさせた。
「待て、フリーナ殿。それは……!」
「うえぇ!? な、なに……?」
 ヌヴィレットの静止も虚しく、パソコンから卑猥な音声が流れる。淫猥な水音に混ざるその声は──。
「こ、これ、ヌヴィレット! 〜〜〜〜っ!」
 フリーナが声に鳴らない悲鳴を上げる。
 あんッ! と画面の中からフリーナの嬌声が上がった。

「つまり……キミは僕の声だと気づいていた、と」
「ああ……初めは本当に興味本位だったのだ。知り合いがストレス発散にいい、と勧めてきて……
 それからヌヴィレットは訥々と今回の経緯について、話出す。仕事の先輩にストレス発散にするといいと言われたこと、そのときに勧められたのがフリーナが売る音声であったこと。
「あぁ……なんということだ……
 フリーナが頭を抱えてくらりと身体を揺らす。小遣い稼ぎに始めた成人向けの音声のダウンロード販売。演技派のフリーナの音声はあっという間に飛ぶように売れ、新作を出せば、その日のうちにサイト内のトップページに上がるほどになった。
「それで……君に聞きたかったのだが……
 ヌヴィレットが歯に物が詰まったような微妙な顔をしてフリーナを見た。
「君は……あのような性経験があるのかね?」
 性経験、と言われてフリーナがポカンと口を開けた。ややあって、椅子から転げ落ちた。どしん、と大きな音がしてヌヴィレットが慌てて駆け寄ってくる。
「大丈夫か……? すまない。いくら幼馴染とはいえ、プライベートなことにまで踏み込むべきでは──」
 手を差し出しながらヌヴィレットが謝罪の言葉を口にする。言葉の途中で不意に差し出していた手が強く引かれ、ヌヴィレットはフリーナの腕の中にいた。
……試してみる? 答えが知りたいんだろう?」
 艶っぽい声はヌヴィレットがいつも聞いていたものと相違なく。誘うような声とともに耳たぶに、ふぅ、と熱い吐息が吹きかけられた。
「さあ、キミはどうしたい?」