せいたろ(sitr)
2025-04-28 23:59:58
17371文字
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薬酒

惚れ薬の素材を得てはしゃぐ伊作が、仙蔵を治験に付き合わせる。翌日は休日で予定もなく、流れで晩酌をしようと約束し、い部屋に集合する。

伊仙 仙伊 文仙
伊仙伊リバ 文仙伊3P 成人向

※7割濡れ場
※楽しい感じで進みます
※誰とも交際せず事が進みます
※未成年の飲酒は法律で禁止されています

転載・改変禁止

「惚れ薬……?」
「そう!その材料が手に入ってね!」
薬効の話となると急に饒舌になる、その癖が丸出しの伊作が部屋を訪ねてきた。最近も一年生と薬草を取りに行って、べらべらと夢中で喋っている間に採集が済んでいたらしい。
「早速焼いてみたんだ。」
「草なんか焼いたらすぐ灰になってしまうだろう。」
「ううん、イモリだよ。繁殖期のが効くって言われてて、ちゃんとその特徴のあるのを捕まえたんだ!」
水場にぴたぴたと這い回っているアレか……、と、気分が落ちる。伊作が手の中に収まるくらいの器に、布を被せて大切そうに持っているそれは、多分その『焼いてみた』ものだろう。
この男のことだから、試してみたいとか、もはやもう食べてきたとか言い出すのだろう。面白そうではあるが、あのチョロチョロして湿ったものを焼いて食うのは……『それしか無い』ぐらいの時に留めたい。
「口に入れるのは気乗りせんな……
「大丈夫、食べないよ。頭にかけるんだって。」
それもそれでどうなんだ。私の髪に、イモリの死骸を乗せるのか?あれこれ考えながら伊作が差し出したものを見ると、乳鉢に入ったさらさらの黒い粉だった。
「見てくれは黒色火薬だな。炭になるまで燃やして作るのか?」
「惚れ薬に使うイモリは竹筒に入れて、時間をかけて黒焼きにするんだよ。」
その後もしばらく蘊蓄を語っていたが、要約すると『節で分断した竹筒の上と下に1匹づつオスとメスのイモリを入れて焼く』と言うものだった。医療書に書かれているらしい。
「しかし惚れ薬か。医者に恋愛を工面させるのか?」
「勿論薬効もあるよ!咳と腎虚だから、……血流改善とか、強精にもいいかな。」
へえ、と伊作の目を見る。
「冷えにも良いか?」
「そうなるね。」
思ったよりも現実的な効果があって、ふうん、と聞き入れる。そしてそこで、あまり想像したくない疑念も湧いてくる。
……時に伊作。」
目線を私にあげて、なんだろう、という顔を伊作が見せる。
「私がお前や保健委員から与えられた薬には、虫だのトカゲだのというのは入っているのか?」
「勿論、入ってるよ。生薬って薬草だけじゃないもの。怪我が膿んだ時はハブ酒を元にした液薬で拭いたし、肌荒れがそのまま湿疹になったときの薬にはセミの抜け殻が……
心当たりのある既往にスラスラと原料が添えられて、なんともはや、知らぬが仏とはこのことか……
「もういい。ではイモリも、飲むでも塗るでも構わん。面白そうだ、付き合ってやる。」
ぱっと瞳がきらめいて、楽しそうに伊作が表情を綻ばせる。
「いいのかい?本当に?」
「これを私に言ってくるというのは、酷い毒気は無くて、ものは試しというところなんだろう?」
えへへ、と悪びれず伊作は笑って白状する。
「そうなんだよ。僕は昨日服用してみたんだけど全く効果無しで、留三郎には『色恋をそんなことに任せるか』と気味悪がられて、……同学年で面白がってくれそうなのは仙蔵かなぁって。」
……留三郎、そういうところはマトモだな。いつもなら同室どうのとホイホイ言うことを訊くのに。」
「それが……話すうち真っ赤になってしまって。ちょっと純情なところあるし、大事にしてあげなきゃ!って思ったんだ。」
可哀想に。そうは思うものの、想定通りのやりとりだ。
さて、どう効果を遊ぶかと気を向けてみる。仮に効いて酩酊などした場合……と予定を思い返してみると、何もない。試験も授業も、締切の近い忍務もなかった。
「伊作は明日、何かあるか?」
「何もないよ。委員のみんなは実家が近い子は帰るみたいだし……医務室には顔を出そうかな。」
「ならば夜食でもつまんで、この部屋で試さないか。効かなければ晩酌をして喋ろう。私も明日は身体が空いている。」
ぱっと表情が明るくなった伊作だったが、いや?と思い直す。
……文次郎はこういうの、ダメじゃない?」
少し不安そうに言う伊作だが、私や伊作の戯れに文次郎が本気で怒るような男でないと私は知っている。
「どうせ算盤弾いてウダウダ書き物をするばかりだ。休前日くらい遊んでやろう。」
はっきり言い切ると、やや流されたきらいはあるが伊作がワクワクした顔に戻る。
「じゃあ、頂き物のお酒と珍味も持ってくるよ!」
伊作の持ってくる頂き物は、その多くがタソガレドキ忍軍からの仕入れで、お殿様が飽きたようなものも多々ある。急に風向きが変わった気分だ。安酒をワイワイ飲むのも悪くはないが、個人的な好みで言えば、上等な香りのいい酒で気持ちよく酔いたい。
こうして私と伊作に加え、何も知らない文次郎の三人で、夜半に晩酌をすることになった。


・ ・ ・


万が一調子が悪くなった場合を考え、寝てしまえるように支度を早めに整える。伊作と一緒に風呂を済ませて、六年長屋と炊事場に別れる。炊事場へ向かった私は濡れ髪を拭きながら、飲み水を沸かす。鉄瓶を持って六い部屋に帰ると、私と同じく半纏を羽織った伊作が既にいて、髪を乾かしながら火鉢の炭を整えていた。
皿盛りの煎餅や乾物も持ち込まれており、つまみも万全。円座に置かれた三つの座布団の真ん中には蓋をかけられた四〜五合ほどの大徳利がごろごろと置かれていた。色や形、大きさは様々に、四つもある。
「一人一本飲んでも余るな。」
伊作はわくわくと楽しそうな表情で、一本取って見せてくる。
「これだけ、僕が漬けた薬酒。ほかは未開封だからどんなものかわからないんだけど、……たぶん、いいものだと思う。溜め込んじゃった。」
酒の器の装飾はどう見ても上等な贈答品で、期待が高まる。
「一人足りんが、まあ始めておこう。先ずは件の惚れ薬か。」
湯呑みを三つ出して、円座の真ん中におく。奥側の座布団に腰を下ろして、湯呑みの一つに沸かしてきた鉄瓶の湯を注いでおく。肌寒い室温だしすぐ冷めるだろう。
期待の表情で伊作が差し出してきた紙包を開く。中には先ほど見た黒い粉……よりも、少し茶けた粉が収まっていた。
……何か、調合したか?」
「うん!イモリ単体もあるけど、僕が昨日飲んだものの余りを持ってきたよ。」
目の前の伊作は健康そのものだ。だが、この男は趣味の毒慣らしで肝が強いというのも知っている。同じものを口にして……大丈夫だろうか?
期待に満ちた瞳で伊作がこちらを見ている。
飲み頃のお茶程度に冷めたお湯を口に含む。上を向いて粉薬の全量をサーッと口に入れる。舌へ薬が沈んできたあたりで飲み下す。
湯温が喉を、食道を流れ落ちてゆく。移動する熱の感触が腹の中に広がってゆく。溶け出したらしい甘苦い味が舌の根に残っている。効果を待とう、と、それぞれの委員会にいる下級生自慢を話の種に、私たちは呑気に雑談を始めた。

しかし、話しても話しても、私の体調と精神は何も変わらなかった。

「惚れ薬とは、本当に惚れるのか?お前に愛を囁く私を想像したが、変化は感じないぞ。」
伊作が灯明台の油の減りを見る。
「結構経ったよね。……作り方がよくなかったのか、それとも仙蔵には効かないのかな?」
「お前にもさっぱり効かなかったのだし、迷信だった可能性もあるだろう。今夜はこの辺りで呑み始めないか?」
少し残念そうながら、そうだねと頷いた伊作が酒器を広げ始める。目についた大徳利の酒を一合徳利に分けて、それぞれ酌み交わした。舐めるように飲む。
「!……美味い。」
「すごいいい匂い……
火鉢で海苔を炙って、さくさく噛み、酒を飲む。塩を舐める。飲む。美味い。
「凝った薬より、酒の方が私を饒舌にしてくれそうだ。愛してるぞ伊作♡」
「シラフの冗談じゃないかぁ」
笑い合ってまた酌み交わす。米の味と水の味、キレの良さ、香り、どれをとっても美味い。よく磨かれた酒の味を、つい求めてしまう。つまみもそこそこにくっと呷っては、伊作が注いでくれる。お返しに私も注いで、早々に2合ほどを呑み終えた。
「違うのも開けてみようか。」
「お前のところには本当に……質のいい貢ぎ物がくるな。」
「雑渡さんは僕に貢いでるわけじゃないよぉ」
伊作の口調がほんの僅か、浮ついて聞こえる。
「私が横にいるのに、他の男の話をするのか?」
面倒な女じみた投げかけをして、二人で笑い出す。狂いそうな手元で何とか酒を一合徳利に分ける伊作は、ほんのり頬が上気している。
「仙ぞぉ、言いがかりだよぉ、僕だってお前が一番可愛いと思ってるのにぃ」
ほらほら、と、新しい酒を注がれて、私も伊作の手から徳利を取る。注いでやって、呑み交わす。この酒も、目が醒めるほど美味い。
「ん!」
つっと口の端から酒を垂らしてしまう伊作にまたひと笑いして、衿を掴んで引き寄せる。
ぺっと舐めると、まだ楽しそうに笑う伊作が私の頬を遠慮なく撫でる。
「仙ぞぉ、猫ちゃん〜」
あはは!と伊作は楽しげで、私も戯れつく。伊作の首筋をさりっと舐めて、腕を絡めてしなだれかかる。
「お前は私に愛を囁かないのか?」
のしっと体重をかけると私たちの身体は傾いてしまって、溢れそうなお猪口の酒を伊作があわあわ飲み干す。
「んもう……好きだよ、大好き。」
「足りん!」
「愛してるっ♡」
はむっと口付ける。もう箸が転がっても可笑しい。酩酊している自覚があれど、美味い酒、気兼ねしない相手、空っぽの明日と揃っては、もう楽しみたい。さっき飲んだ惚れ薬も、気分が良くなるとかそのくらいの効果はあるのやもしれない。
笑い合って、啄み合う。伊作も私の唇を吸いながら楽しそうだ。そこで、すらっと引き戸が開いた。
「何を騒いどるんだ、お前ら。」
呆れ返った文次郎がやっと帰ってきて、可笑しいような、くすぐったいような気持ちで笑い出す。一雫残ったお猪口を呷って、文次郎に手招きする。
「おい、上等な酒だぞ。タソガレドキからの貢ぎ物だ。本当に美味い。」
……ご機嫌だな、何か変なものでも食べたのか?」
むっ、と顔で怒って見せる。そこに伊作が、ぴとっと頬を触れ合わせてくる。頬同士がくっついたことがくすぐったくて、うりうりくっついて、伊作の頬に唇をつけて見せる。
「すっかり出来上がってるじゃあないか。」
「本当に美味しいよぉ?一緒に飲もうよ。たまには三人っていいかなと思って、帰ってくるの待ってたんだよ。」
委員会のあとに風呂を済ませたのだろう、文次郎は寝巻きを着て、髪は毛先がまだ濡れそぼっている。衿合わせが弛んでいて、そこについ目が行ってしまう。
「もんじ。付き合え。」
「わかったわかった。おひいさんよ。」
空いている座布団に座る文次郎に、伊作が新しいお猪口を渡す。そこに酒を注いでやる。文次郎はきゅっと一口で呷り、顔を下げた時には表情が感動に満ちていた。
「!……美味い。」
すかさずまた注いでやる。
「これはこの大徳利のお酒。まだまだあるから、楽しく飲もう!」

・ ・ ・

三人がかりではあっという間に大徳利が空き、最初に少し手をつけた大徳利も空にし、三つ目の大徳利もなんだかんだ煎餅を齧りながら空けてしまった。文次郎も頬を赤くして気分がよさそうだ。
ぷしゅん、とくしゃみをすると、文次郎が手招く。先刻脱ぎ捨てた私の半纏を羽織って、胡座を示す。
「あたたかそうな座椅子だな。」
早く来いと急かすように手招く文次郎に背を預ける格好で、胡座の上に収まる。
「もんじろー座椅子だぁ」
ぽやぽやと酩酊した伊作が、私たちを見て楽しげに笑っている。
「伊作、最後の一つはまだ開けんのか?」
文次郎が残った大徳利を示す。あれは僕の……と言いかけた伊作の唇を指で押さえて、
「私も興味がある。」
その声がけに、ぱっと嬉しそうに瞳が輝く。
「早く言ってよぉ、ちょっと待ってね。」
すぐに一合徳利に分け始める伊作の手元を注視する。茶色く黒ずんだ色合いだ。さっきの申し出通り、清酒ではない。
文次郎は特段疑わずお猪口を差し出して、伊作はそこに酒を注いだ。濃い色の酒を見て「ん?」と反応したのは聞こえたが、文次郎は注がれた酒は断らない。
くぴっと飲んで、もにもに確かめているようだ。
……薬酒か?これも味がいいな。」
次いで私も伊作に酒を注がれて、一口飲む。確かに美味い。
「肉桂と、生姜は入っているな。」
「正解!あったまる処方にしたんだ。心にも身体にも効くように……
もう一杯お猪口に薬酒を注がれながら、へえ、と文次郎が興味を示す。
「心に効く薬酒は珍しいな。どの素材がどんな時に効果があるんだ?」
「他にも色々入れたけど、イモリが恋愛に効くんだよ。」
ごほっ、げほっと咽せる文次郎の驚いた態度と本気の咳込みに声をあげて笑ってしまう。文次郎の胸に背中を預けて、首筋に額を擦り付ける。
「どうだ、もんじ?私や伊作が可愛く見えてきたか?恋しそうか?」
どうせ、さして効かない。慌てた文次郎が何だか可愛い。むちゅっと首筋に唇を押し付ける。びくっ!と驚いた犬のように反応する。
「バカタレぇ、酩酊だろう。薬酒の一口二口で恋だ愛だなど……
「ああっ……伊作は私を綺麗だ美人だと褒めそやすのに。好きだ愛してるとはっきり言うのに。なあ伊作、私を慰めてはくれまいか。」
大袈裟に言いながら両腕を開いて差し伸べると、伊作は迷わず私に抱きついてくる。私も伊作も気持ち良く酔っている。うりうりと頬を付け合わせて、ちゅっと口付け合った。
ぐ、と文次郎が言葉に詰まっている。
私が伊作と課題で交わっていることを、この男は知っている。無性に揶揄ってやりたい。互いにまあまあ酩酊している。文次郎は私が乱れてしまうと信じて、伊作に対抗して、私を抱きたくなるだろうか?
「仙ぞぉ、大好き♡愛してるっ」
「ふふん♡私もだ、愛してる……
楽しく酩酊した伊作も、ふわふわ笑って甘えた仕草で身体を寄せてきて、口付けに舌が這わせられる。私は特に抗わず迎えて、濡れ音を立てながら深く舌を絡め合う。
「ばっ、こら、仙蔵、伊作っ……
「薬酒……ちょっと甘すぎたかな……
私の口から薬酒の風味に気付いて感想を言う伊作は、軽い酩酊こそしていれど、薬が効いてしまっているような様子は無い。挙動不審な文次郎が可笑しくて、私は感じ入った雰囲気を演じる。
「いさく、気持ちいぃ……、もう一口飲んだら、どうなる……?」
……壊れちゃう、かも?」
伊作もなんとなく私に合わせて、ふっと得意げな顔を演じてくれる。つっと自分のお猪口に薬酒を注ぎ、口に含んで私に移す。
「ん、う、  っはぁ……
飲み下して、大袈裟に息をする。私の唇を伊作が舐める。
私の尻に、ぴく、と反応した気配が当たる。
文次郎の息が詰まる。
「わたしが、……壊れてしまったら、お前に世話が務まるか?」
座椅子を決め込む文次郎に半分振り向いて、笑って見せる。
…………俺が看る。」
「保健委員長殿の方が、私を悦く看られるやも……
文次郎の右手が、節榑立った親指と人差し指が、私の顎を摘んで捕らえた。
獣が噛み付くような速度で、文次郎は私の唇を奪った。
「ん! ……ん、う」
舌をぬろっと入れられたが僅かな時間だった。くちゅ、と唇が離れて、まだ気の立った様子で、文次郎はそっぽを向いた。文次郎の下腹と私の尻の間に、むくむくと反応したものが窮屈そうにおさまっている。心臓が早鐘を打っていて、呼吸が浅くしかできない。
「僕も看る。」
……ん、……、二人で、看るのか?」
少し身じろぎをして、膨れた魔羅を密かに尻で押してやる。文次郎はぴくりと震えて俯き、私の肩に顔を埋める。
「こんな仙蔵、ほっとけないよ。」
私の頬を伊作が撫でる。そのままつっと指で耳をなぞる。ぞくぞくとくすぐったい甘さで、身体が震えてしまう。
文次郎の両腕が腹に回されて、少し強めに身体の前側を撫でられる。胸を通った時、身体が反るように跳ねてしまった。
「ひぁ」
文次郎が、膨れたものを押し付けてくる。
「肌、真っ赤……、ちょっと仙蔵看せて……文次郎。」
やや前傾していた文次郎が私ごと体を起こす。文次郎に撫で回されて弛んだ衿を、伊作に開かれる。寝巻きが肩から二の腕へずり落ちる。寄りかかった背中に、文次郎の心臓の鼓動を感じる。早くて、大きい。
どうして伊作は文次郎に言うんだろう、と思うも、ぽうっとして、心地良くて、されるままになってしまう。体重を文次郎の胸に預けて、首筋に擦り寄る。太い首筋からも脈を感じる。文次郎は私に興奮している。
この男が私にこうなるのが久しくて、なんだか嬉しい。惚れ薬は効いているのだろうか。確かめたい。伊作の前で、どんな風に私に猛るのか。伊作も伊作で、この男の前で、私へ性欲を向けてくれるのだろうか。
「わたしの、からだ……おかしいか?」
息をするのが難しい。フリではなくなってしまった。二人に観察されて、視線だけなのにむずむずと腹がくすぐったい。
伊作の両手が、私の脇腹をそうっと撫でる。肋骨を確かめるように親指でなぞる。肉がつかない薄い胸筋をなぞる。乳輪をくすぐる。乳首を撫でる。
呼吸に鳴くような声が混ざってしまう。まだ軽い触れ方がもどかしくて身を捩る。性感がもっと欲しくて、はだけた胸をされるままいじらせる。
「少し、紅潮してて……、体温が上がったかも?それから……
くにゅっと胸を摘まれて
「ぅあ!」
びくんと反応してしまう。
文次郎が私の手を握る。尻には相変わらず膨れた魔羅が当たっている。
「視線……ぼうっとしてるかも……
上手く言えない。恥ずかしい。身体が疼いていることを、伊作に説明できない。私の心が読めるなら、お前は私を犯すのに。
「気分は、悪くない?」
保健委員長の顔をするな。
「具合 わる く……ない、吐き気もない。」
声に出すと辿々しい。もっと触られたいと言いたい。会陰に気が行くと、きゅうっと括約筋が動く。抱かれる妄想が止まらない。
「いさく」
伊作はすぐ私に目線を向けて、何か言うのを待っている。
「わたしを、すきか?」
……僕、…………仙蔵としたい。」
驚いて瞬く。文次郎が息を飲むのにも気がつく。い組には、私と文次郎には、そういう夜にもこんなやりとりは無い。照れたようにはにかんで、私と目を合わせる。私の肋骨を両手で触れる。花束を抱えるように、優しい手つきだ。
「こんな酩酊してる時に性欲を向けてることがすまないとも思う……
すまなくない。私だって、お前が、文次郎が、酩酊した私に欲情したらいいと思ったのだ。首を横に振る。
誰も止めようと、解散だと言わないのだから、そういうことなのに。状況だけで分かり合えて、なし崩しに交わってしまえるのに。伊作は申し訳なさそうに、そろっと私を見て、意を決した瞳で言う。
素直な可愛い、私の仔犬。
「好きかって聞かれて、したいって、最低だね。」
眉尻を下げて笑って言う伊作の衿に手を伸ばして、掴んだ。ぐっと引き寄せて、伊作が抵抗なく私の胸元に顔を埋める。
……うれしぃ……
「好き。大好きだよ。ほんとうに……愛してる。」
伊作が『好き』を繰り返し唱えてくれる。まだ恥ずかしい。こんなに抱かれる妄想でいっぱいなのに、まだこれしか言えない。驕りと拘りが絡んで、言葉を遮っている。
けれど伊作が私に欲を向けていると言葉にしてくれたことが、じくじくと甘く浸透してゆく。
伊作と寝るのが好きだ。私と伊作はお互いに友愛で睦み合えている。友人へ向ける愛情のまま、口付け合って、抱き合える。お互いにそうだという、妙な確信がある。
「しよう。……ふふ、お前ばかりこれを言うな……
「もんじろに見てもらおっか。」
寝巻きの腰紐が解かれて、下帯も寛げられて、私がとっくに興奮していたことが晒される。上反りに勃起した私の魔羅を、文次郎が見ている。私は脚を開いて、その間に伊作が来るように導く。
伊作も腰紐を解いて、下帯を取る。むちっと勃起して揺れている。二竿をまとめて扱かれる。ゆるゆると泳がすような触り方が気持ち良くて、小さく声を上げる。
お前は?
私は愛してると言って
伊作は、好き、大好き、愛してると言った。
文次郎、お前は?

「おまえは、わたしをあいしていないか?」

「愛してるよ。あほたれ。」

どっと感情が乱れる。
愛していると、言ったのか?
どこに隠していたのか、見覚えのある一味入れほどの小さな油壺が伊作の手元に見える。
甘い匂いと滑らかに扱く手に、ぞくんと背が震える。伊作が使う油の匂い。予感してしまう。行為が始まる。惚れ薬の所為ではないだろうか、私がこんなにも、はしたなくて、ときめいて、愚かなのは、外的要因の所為ではないか?
伊作が私の窄まりをいじって、油を塗りつけただけで、
もうそこに魔羅を押し付けて、
挿入ってくる。
「あっ、あ いさ ……ん、んぅ……
待っていた、欲しかった、嵌めたかった。
「はいっ、ちゃう、仙ぞぉ……
身体がびくびくと、あられもなく跳ねる。快感が強くて、どうにもできない。耐えられない。きもちいい。はやく、もっと、強く求められたい。
ぬるる、と伊作が私に根元まで収まる。ひ、と高くか細く声を上げて、文次郎を探して彷徨って、手を握る。
見ている。
ぬーっと抜けて、ぬーっと根元まで収まる、その繰り返しを、私の穴が伊作に混ぜられているのを、文次郎が見ている。私の腰に当たっている文次郎の勃起はびきびきと硬い。
「ふぁ ……♡いさ、 奥ぅ……
「仙ぞぉ……、おなか、きもちい……
ゆっくり往復する。均等に寄せて返す、穏やかな波のような目合い。吐息に声が漏れて、口が閉じられない。もっと奥を掻いて欲しくて、膝を抱えるように胸へ引き寄せる。こうすれば、私のひくついて物欲しそうな肉が、文次郎にもっと良く見える。
身を捩って、文次郎の中心から体をずらす。文次郎の胸からずり降りて、膝枕の側臥位に体位をよじる。伊作も抽送しやすくなって、滑らかに抜き挿ししてくれる。
伊作に揺すられながら、文次郎の勃起を鼻先でつつく。
「んふ…………もん じ……
横目に見上げる。
「これみせろ
「!……お前、こんなこと……
唇で布越しに竿を喰んで見せる。ふしだらな私の横顔に、文次郎も伊作も見入っている。
私はこの男のこれを咥えたことは、多分、無い。私にこんな抽斗があることを、きっと驚いている。
色仕掛けを女役で仕掛けることのないお前にはわかるまい。
気の立った顔をしながら、文次郎自ら褌の結び目を解く。硬く太く勃起しきって、私の眼前で露わになる。
「もんじろ、ふとぉ……
抽送を止めて伊作がぽやっと言う。私は文次郎のそこにねろっと舌を這わせて、伊作に視線をやる。私の中で伊作はぴくりと反応する。
むちゅ、ちゅう、と音を立てて、舌全体で魔羅の左側を舐った。文次郎の息が乱れる。すぐに汁が滲んできた。粘度のある透明の露が舌にとろっと馴染む。
不意に、伊作がここに屈んできて、私に口付ける。文次郎の雁首ごと、私の唇を吸う。
「ばっ、伊作!」
文次郎の相当驚いた声が聞こえたが、抗う余地は無かった。私と伊作で文次郎の魔羅を左右からしゃぶる。亀頭ごしに口付け合う。かすめる伊作の舌がくすぐったい。文次郎の裏筋がびくびく跳ねる。何も言えずされるまま、時折震える太腿が、良さを表している。
「いさ、これ……わたしの。」
「取らないよぉ、でも……いいなぁ」
私と交わるとき、私に伊作が挿入するときは、その様を見ていつも羨ましがる。伊作もまた、私の身体を好んでくれている。
「次……抱いてやる。」
「うん。うれしぃ……
伊作は身体を起こして、私の右脚を肩に担ぐ。きっと深く犯してくれる。会陰が期待にきゅうっ……と反応する。恥骨の奥が痺れるように期待する。なるべくいやらしいことをしたくて、両手で文次郎の竿に、袋に触れて、亀頭を口に含む。竿の根本を扱く。文次郎が性感を堪える、くぐもった声が聞こえる。
強く打ち付けるような抽送が不意に始まる。
じゅっ、ちゅぶ、ぷちゅ、じゅ、じゅっ、粘着質な音が肌を打ちながら鳴って、その都度、声を上げてしまう。じんじんして快感が強い。そこからは文次郎に歯を立てないように気を遣うので精一杯で、口淫できず咥えただけだ。なのに後から後から先走りが溢れてくる。その味がする。私が犯されるのを、私に咥えられているのを見て、文次郎が興奮している。
「やらし……仙ぞぉ、上も、下もっ……
ぐりぐり奥をかき混ぜるように伊作が左右に腰を使う。伊作も私の中に我慢汁を吐いている。ぬちゃ、ぐちゃ、と濡れた音が濃くて、腰がびくびくと痙攣して、私はここで一度絶頂した。
「あ、……今僕も……仙ぞ、ちょっとだけ、我慢してっ
「や、あ、あっ、あぐ」
深く強く何度も突かれて、ぷはっと口淫を諦めて、大きく鳴く。
「も、でた、 ゔ ぁあっ」
突かれる毎にぴゅ、ぴゅっと汁が出てしまう、その度に骨盤の内側がざわざわ痺れる。
「こわ れるぅ まだ出っ あっ、あああっ」
伊作の魔羅が、雁首が、くびれがわかる。押されても引かれても気持ちいい。脈打つ感覚が止まらない。暴れそうになる手首を、文次郎に捕らわれる。
「もぉらめ あ あ あ」
さっきの絶頂が一続きに長いまま止めてもらえず犯され続けて、やっと伊作が腰を打ちつけて、奥に射精する。は、は、と短く息をして、射精が嬉しくて、震える体を硬直させて吐精し切るのを甘受する。
「ぅ♡ ゅ びゅー…… っ……♡」
怖くて、壊れそうで、やめてくれなくて、それでも射精の感触は嬉しくてくらくらした。じっと射精の感触を追って暴れ止んでからは、文次郎は手を離して、二の腕を撫でてくれる。
私の右脚をゆっくり下ろして、腰を引いて身体が離れる。伊作は幸福そうに笑って、頬に口付けをくれる。
まだ息がめちゃくちゃで、予期せず腰が跳ねる。私の汗と涙で濡れそぼって乱れた髪を、伊作の手がこめかみの方に手櫛で撫で付けてくれる。
息を吸いすぎそうで、喉が僅かにひゅっとする。それに気付いてか、口付けて、呼吸を軽く妨げてくれる。
伊作の首筋に腕を絡めて、口付け合う。
抱き合って、息が整ってゆく。
……いさ、……すぐ、するか?」
「!……
さっきまでの余裕はどこへやら、ぽっと耳を赤くして、モゴモゴする。
……いいの?」
伊作は私に問うたが、視線だけちろっと文次郎を見た。
「毎度そうしているだろう。」
文次郎はピンときていないようで、私と伊作を交互に見ている。伊作はこてんと私の隣に転がる。
ぽうっと、伊作はすぐに瞳を蕩かせる。ちゃんと期待している。私の痴態に自分を重ねるところがある。同じように惚れ薬を飲んで効いているのか、いつもよりその気配が強い気がした。
伊作は抵抗なく脚を開いて、私を抱いた事で昂った身体を晒す。桃色に、僅か膨れた乳首。伊作のしなやかな肢体に文次郎の視線がいく。私は起き上がって、正常位で伊作に向き合う。伊作の油壺を拾い、丁次油を伊作の窄まりに塗りつける。
「私のこういう姿は、お前の中には無いだろう?」
「無……いや、それより毎度って……
躊躇いなく進む展開に、文次郎の狼狽が見え始める。けれど萎えていない。さっき二人でしゃぶったのが効いているのか、伊作に色気を感じているのか、あとで聞かねばならない。
伊作は意識的に窄まりを緩めてくれて、指がすんなり潜る。ん、ん、と眉を寄せて身悶えする。
「も……したい、仙ぞぉ……
「塗っただけじゃないか。」
「はいる、よ……大丈夫……
私の衿を掴んで、くんと引っぱる。指を抜く。誘われるまま、亀頭を充てがう。愚かしいと頭では思うが、私もこのあられもない姿にはしっかり反応してしまう。先刻の絶頂続きで敏感な身体はまだ硬さを保っていて、じくじくと熱い。私を求める痴態が可愛くて仕方ない。
ゆっくり腰を沈める。弛んで、窄んでを繰り返すそこに息を合わせる。油の滑りもあって、亀頭まではすぐに埋まる。
半分ほど埋まったそこに油を塗り足して、ぐっと根元まで押し込む。はひ、はひ、と声無く息をして悩ましげに眉を寄せている伊作は、ほんの少し震えている。いつもと少し様子が違う。私の魔羅がきゅう……と絞られる。
伊作が迎え舌でゆるく口を開けて舐め真似をする。
……舐めたいのか?」
腰をゆっくり前後し始めながら性感に蕩けてゆく伊作に問うと、恥ずかしそうにもにもに唇を動かして首を横に振る。
「も……もんじ、せんのだから……
「口も欲しいのだろう?この機会だ。」
おずおず、伊作が文次郎に視線を向ける。かぱっと口を開ける。文次郎は何も言えず固まっている。
「文次郎。」
文次郎の衿を掴んで引き寄せる。ふらりと身体が前傾する。まだ血管を浮かせて硬く勃起したそれが伊作の眼前に揺れて、はぷっと伊作が喰む。そろっと手を添えて、丁寧に舐める。恍惚の表情で、亀頭を咥え込む。
ゆっくり長く抽送してやる。なるべく引いて、ぬーっと奥へ沈める。
「んぅー……♡ ぅく…… んぅ っ♡」
その度に伊作は喉で鳴いて、背をひくひく震わせて、内腿が弱く痙攣する。んちゅ、ぐちゅ、と口淫している。苦しそうに眉を寄せて、離すまいと文次郎の寝巻きを掴んで、根本を扱いて、亀頭を咥え込んでいる。
したくて交わっているのに、犯して従わせているような光景だ。上も下も、と、私を見て言っていた意味がわかる。私も伊作も、きっと被虐心がある。そうされる事で燻る性欲がある……
困った顔で、文次郎は唇を引き結んでいる。ひく、ひく、と腹を震わせて耐えている。
「伊作、駄目だ、もうならん」
じゅぽっと音がして、文次郎自ら、口淫を中断させたようだ。伊作の口から文次郎の腰は離れていて、文次郎は顔を背けて、ふー、ふー……と息を殺している。
行為を穏やかに止めて、様子を見る。伊作も甘い息を整えながら、私と文次郎を見上げる。
「お前にも、効いているか?イモリの惚れ薬酒……
「恋愛に効く、としか言わんだろうお前たちは。惚れ薬だったのか。」
少し呆れた様子で、文次郎はそれだけ言った。三禁だなんだと文句を言うと思っていたので意外だ。
「惚れ薬で……遊んでいたのか?ここ最近だろう、そういうのは。夜が明ければいつも通りだし、どういう関係になったんだと心配していたぞ。」
間が開く。伊作がちろっと文次郎を見る。
……僕、仙蔵を連れて蒸発しちゃいそう?」
「阿保、そうは思わん。ただ、……
「仙蔵が僕に惚れちゃいそう?」
ぶわっと文次郎が赤面する。どういう流れだ?さっぱり読めず、二人の顔を交互に見る。
ふはっと笑って、繋がったまま身を捩って、伊作が私を引き寄せる。引っぱられるまま身を寄せて、抱き合う。
「文次郎、仙蔵としたくないの?」
私にくっついたまま伊作は文次郎を見上げて問う。相変わらず肝が太い。文次郎は、ふー……、と、観念した顔で息を吐く。どうなんだ。気になってじっと見てしまう。
「したい。」
ぐ、と、今度は私が赤面してしまう。
「好いた男だぞ。今だってしたい。好意もそれなりに伝えた。連れ合いのようにはならんと振られたが、……な、何度かは寝た。」
「阿保っ!何をお前は」
もぐ、と私の口が伊作に塞がれる。
「愛していないかなどと、お前が問うのか。阿保。愛しとるわ。言って良いのなら遠慮もしない。バカタレ。好きだ。伊作の言うのとは種類が違うぞ。」
遠慮なく降りかかる言葉に、こっちが詰まってしまった。
私がひっついている事でこの男の将来が狭まらないように、義理堅く私に責任を持とうとしないように、断ったのだ。
それはそれとして私はこの男が可愛くて仕方ない。
愛おしい。
この男の気を惹きたい。
欲だけ向いたのなら、それがいいと思ったのに。
困った。ちゃんと諦めたのでないのか。
自分がどんな顔をしているか、
全くわからない。

「しなよぉ」
ふわっと穏やかに伊作が言う。
「やっ……、嫌だ。」
「僕、部屋帰るよ?」
「やだ!お前が帰るならしない!」
「じゃあ、このままする?」
「「はっ?!」」
ハモった私たちに、ぱちっと瞬く伊作が不思議そうに問う。
「ダメかな……。三人でって落ち着いて挑戦できる機会なさそうじゃない?」
……伊作の気が今、快楽どうのというより人体構造への興味に向いてしまっているのがわかる。こうなればもう止まらないのはわかっているので、まあ付き合うか、という気になってくる。
……うーむ。試してみるか?」
「はっ?!」
文次郎が色気なく新鮮に驚いている。
「良いだろう、初物というわけであるまいし。そのうちそういう趣味の城に忍び込むこともあるやもしれん。試すぞ、もんじ。まだ萎えていないだろう。」
……と口を噤んでいる。文次郎は変わらずおっ勃てていて、反論のしようは無い。
正常位で繋がったままの伊作が、もぞもぞ身を捩っていて、様子を見てみると座布団を引き寄せている。
「膝、痛くない?座布団足りてる?」
……気遣いに色気がなくて、なんだかな……と薄目になってしまう。
……布団でするか?」
やや面倒で聞いてしまうと、伊作と文次郎が無言で頷く。
……敷いてくる。待ってろ。」
文次郎は立ち上がり、押入れの方へ向かった。さっさと手際良く、二組布団をくっつけて敷く。足元に三つ折りで掛け布団を置く。
ぬろっと腰を引いて、身体が離れる。伊作は少しだけ息を乱したが、私たちは起き上がって、覚束ない足取りで文次郎が敷いた布団に向かった。
伊作が私の布団に転がる。本人なりの気遣いか寝巻きは脱いで、布団に敷くように拡げる。寝転がって、膝を立てて、目合うことに躊躇いがない。その様を出入り口から遮るように、文次郎が衝立を移動する。
「もんじろ……優しい」
「適当に開けて三人絡まっとるのはまずいだろう。」
成程な、と想像する。留三郎なんか、倒れるのではないか。
「聞こえてるとは思うが……
「それでもだ。」
私も寝巻きを脱いで、布団の傍らに放る。伊作を組み敷いて、くにゅくにゅ亀頭で窄まりをくすぐる。伊作はすぐにそういう顔になり、もっと脚を開いて、尻たぶを両手で左右に掴んで開く。先端が埋まり、もう一度私たちが繋がる。
瞼を重そうにした伊作が、私に手を差し伸べる。首筋に腕を絡める。私も伊作の背と首後ろに腕を回す。根元まで押し込む。ぴったりと身体を密着させる。
ふる、ふるっと伊作の手が弱く震えている。伊作の頬にうりうりと横顔をくっつける。私だけに聞こえるように、耳元に伊作が囁く。
『すきなひとだけのねや……きもちいい』
『ああ……、わかる。』
『おじゃま……ごめんね』
きゅうっと抱き締める。伊作は身じろぎして、小さく喘ぐ。
『邪魔じゃない。私にとっても、好きな人だけの閨だよ。』
文次郎が私たちを後ろから組み敷く格好で肌を合わせてくる。竿を押し付けてくる。しっかり硬いそれを、私の窄まりに擦り付ける。
どっと鼓動が強まる。
急に緊張する。
別の男なら、こんな風にならない。
ぐにゅっと先端が潜って、浅いところをゆるゆると往復する。先刻中に出された伊作の精液が、文次郎のそこに絡んで、私の中へ誘う。
ぬるぬる、滑らかに往復する。太くていっぱいだ。私の肉襞がぴっちりと拡がっている。伊作に縋る。喉が、ん音で往復の度に鳴く。
文次郎は何も言わず、根元までぴったりと魔羅を押し込んで、私の背と自分の腹を合わせて、ふー……っと息を吐いた。
短い振り幅で奥を何度か突かれる。私と伊作が同じように揺すられて、鳴いて、前も、後ろも、性感が強くて、くちびるがふるえて、
むねが
ぎゅっとして くるしい。
わたしのしたで喘いでいるいさくは
だれに抱かれている?
「なまえ、呼んで……いさ」
「ん、っん、仙ぞ、 せん……っん」
伊作は私に抱かれている。
やっと安心して、口付け合う。伊作も私に舌を出してくる。夢中で吸って、舐めて、絡めて、その間も短く突かれて、私たちは同じように喘ぐ。
内腿がひくつく。会陰が収縮する。硬くて、太くて、私の内側が外に引っ張られる。私の肉が文次郎の雁首を吸っている。もっと擦られたい。もっと絞ってやりたい。私の口にだらだらと汁を滲ませた鈴口が、今私の胎を濡らして、伊作の精液を掻き回している。
文次郎が出て、入って、往復するのにつられて私の腰が揺れる。同じように伊作の胎を私の魔羅が抽送する。伊作は赤ん坊のように膝を曲げて脚を開いて、時折胎を痙攣させる。声を堪えているようで、いつもはどこがどうなっていると懸命に訴えてくるのにそれが無い。
「んぅ、 っん、ぅ、う、ゔ、ゔう」
堪えきれない声を上げて、伊作がびくっと腕の中で痙攣する。何も言わなかったが達したようで、はぁっ、はぁっと熱い息を殺そうとしている。
少し浅いところを短く文次郎が突き続けている。きゅうきゅう伊作の胎に絞られる。射精感がじくじくと迫り上がる。
「いさ、出る、また出っ……
「ちょうだい、せんの、こだね、おなか、おく」
伊作が私を抱き締める。ぞくぞく射精感に堪える私をぎゅっと引き寄せて、伊作はぶるぶるっと震えて、私の胸へぴゅっと射精した。伊作の胎がきゅうきゅう狭まって震えて、私も達してしまう。文次郎はまだ突いてくる。私の腰を掴んで、変わらない調子で
「ぁぐ、 や、 あ、もんじ」
止まらない。快感が逃がせない。後ろも前も抱かれたまま、身動きが取れない。私は伊作に縋り付いて、ぴったりと嵌め込んだ胎の中にまたびゅっ、ぴゅっと汁を吐く。
伊作も私に縋って、か細く声を漏らして耐えている。私の首筋をかき抱いて、髪をときどき握って、腕も内腿も震えている。
後頭部に、優しい口付けの感触が一つ触れる。

心臓が跳ねる。
耳がじんじんする。鼓膜が痺れる。
首がくすぐったい。

くるしい。
きもちいい。
いとおしい。

「もんじろう
 やさしいの、やだ
 だめ

 おかして」

振り絞った言葉を聞くなり、やっとガツガツ勢いよく目合ってくれる。誰よりも強く突いてくれる。ぐちゅ、ぶちゅ、と粘り気のある濡れ音を立てて、文次郎の雁首が、先につけられていた伊作の子種を絡めて私の胎を掻く。私の好きな男が、私を組み敷いて、私のために力一杯我を忘れて腰を振っている。
「ひ ぁ、 う ゔぅ ゔ、 ぅう  」
視界に白い星がちらつく。
「もんじ、文次ろぉ」
縋り付くうち、私も伊作も指に力が入りすぎてしまって、きっとお互いの背にはみみず腫れができている。喘ぐ合間に名前を呼ぶ。
「もんじ」
伊作は私にしがみついたまま、また内腿を震わせて、細く喉を鳴らしている。
「せん…… んぅ せんぞぉ、すき」
頷く。甘えた伊作の声が稚くて、溶けてしまいそうに嬉しい。
「だいすき……きもちい」
「いさ、 んぅ、すき」

「  仙、蔵 」
突きながら吐息混じりに文次郎が呟くのを聞いてしまった。
掠れた、堪えるような、息を混ぜた声。

背中が焼けそうに熱い。
喉が震える。

そんなに夢中になって、その喉が出す音が、

私の名なのか。

どぷっとはぜるように、私の奥で文次郎が射精してくれた。
私の震える身体を伊作が抱き締めてくれて、そのおかげで私はバラバラに壊れなかったと思うぐらい、怖くて、快感が強くて、嬉しくて、満ち足りていた。
膝も腕も震えてままならない。
すぐに文次郎は私から魔羅を抜いて、私を伊作の隣に転がす。私の背後に横たわって、胴体に腕を回してくれた。私の背に腹をくっつけて、少し寄りかかるように抱いてくれた。
私は伊作を抱いたままで、伊作も私にくっついて、少しずつ息を整えてゆく。

ひととき間が空いて、感覚が落ち着いてきて、日常へ戻るための口火を切ったのは、やはり文次郎だった。
……三禁の全てを一息に破る者があるか。」
ぷはっと笑ってしまう私につられて、んふ、ふっ、と伊作も笑ってしまう。
「バカタレぇ、笑い事か?淫蕩も良いところだろう」
堪えられず声を上げて笑ってしまう。
「最後までしておいてか?」
「俺も!お前も!反省するところだというのだ!」
くふくふと伊作が笑っている。
「何を笑ってる……
文句ありげに言う文次郎に、あはは!と楽しそうに伊作が声を上げる。
「ううん。嬉しいなって。こんなめちゃくちゃになって、二人に嫌われてなくて、三禁って……
「そうだぞ、高価な酒、顔のいい男、やらしい据え膳、一つ処に揃うことがあるか。この先これ程の極楽は無いと思えよ。」
「阿保っ。自分で言うな!」
騒ぐ文次郎に、また伊作が笑い声を上げる。いつもの調子で楽しそうな伊作が可愛くて、きゅ〜っと抱き締める。
「三人でしたの、僕はよかったなぁ……
「う〜ん。ちょっと情報量が多いかな……私には。」
「前と後ろ同時だもんね。」
普通に会話する内容が文次郎には過激なようで、ぐ、と急に歯切れ悪くなる。
……やめだぁ!寝るぞ!疲れた、就寝!」
掛け布団二組を三人で被る。文次郎がべたっと背中に体重を預けてくる。伊作も私にうりうりくっついてくる。二人に挟まれて、朝まで動けなさそうだ。
「重い、もんじ。もうちょっと加減しろ。」
言ってやると、素直に腕が緩む。鍛えた骨太の腕はやはり重みがあって、伊作と抱き合って寝るのと比べると少し寝苦しい。
文次郎の号令でなんとなく静かになり、耳を澄ませる。
虫が外で鳴いているのが聞こえる。
つっと伊作が私に顔を寄せる。
……またする?』
ぽしょっと小声で囁かれて、ふっと笑ってしまう。文次郎の息がまた詰まったのも可笑しい。
『興が乗ったらな。』
「阿保っ!!!!」
文次郎の叱責にまたひと笑いして、私たちは眠る姿勢に入る。くっついて抱き合ったまま、行為の気怠さもあって次第に微睡んでゆく。
三人で一つ処で眠るのはいつぶりだろうか。もっと低学年の時にあった気がする。もっと無邪気だったけれど、今日も楽しくて、嬉しくて、幸福なのは同じだ。
うとうとしている伊作の額に口付ける。もうほとんど寝落ちていて、むぎゅっと抱き締めると唇がむにゃむにゃ動く。
そろっと身を捩ると、文次郎はまだ起きていた。どきりと胸が鳴る。文次郎がそろっと半身を起こして、私の額に口付ける。二つの瞳が私を見つめている。
触れるだけ不意打ちで文次郎に口付けをして、また元通り伊作を抱いて丸まった。
狸寝入りを決め込むと、文次郎は私のうなじに顔を埋めて眠り出す。くすぐったくて、恥ずかしくて、自惚れてしまいそうだ。

二つの寝息が愛おしい。
そのうち私にも眠気が訪れて、瞼を閉じる。
何も無い明日が、
すぐそこに来ている。