Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ぐるさん
2025-04-26 22:56:40
3273文字
Public
Clear cache
4.26 ふみりかワンドロ【お風呂】
ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2025.4.26お題をお借りしました。
ある日のバスタイム。頭を洗うために、シャワーから出るお湯でしっかりと頭を濡らす。
「ん?」
しかしながら眼鏡の無い、ぼやけた視界で異変に気がつく
「シャンプーが無い
……
」
カリスマハウスは、部屋数の割に風呂が少ない。元々大使館の別荘である事や最大で十人が住める事を踏まえれば、それぞれの部屋にシャワーがあったりメインの風呂場と別にゲスト用としてもう一つくらいありそうなものだが、生憎この屋敷には風呂場が一つしか無い。
しかしながら、風呂場のスペースには限りがある。それこそ、今この家に住む全員が風呂場で使用する物を全て置けば、あっという間にそこは物で溢れかえるだろう。
よって現在この家では、風呂に入る際には各々が部屋から必要な物を持ち込み出る時に回収する、銭湯などと同じルールを敷いている。
そんなルールを確認した上でもう一度辺りを見回すも、現状は変わらない。
「シャンプーが無い
……
」
ついで言うとリンスもボディーソープも無い。私とあろう者が、お風呂に必要な物を全て部屋に忘れてしまうなんて!
……
いやでも待てよ?部屋から出る時には、確かにお風呂セット一式を腕に抱えていたはずだ。では、私のシャンプー達は一体どこに?
濡れた前髪をかき上げ、目を凝らしながら周囲を見渡すと、あるボトルが目に入る。
「これ、ふみやさんのシャンプー
……
?あっ!!」
同居人が風呂場に忘れた持ち物を見て思い出す。そもそも、私がシャンプーを忘れたのはふみやさんのせいじゃないか!
部屋から着替えとお風呂セットを持ち出し風呂場に向かう途中、バケツみたいな大きさの容器に入ったアイスを持ったお風呂上がりのふみやさんを見つけ、それを冷凍庫に戻させるために手を引きリビングに連れて行き、両手に抱えた荷物を降ろしてアイスを回収した。
その後、再度風呂場に向かう際にお風呂セットだけ忘れてしまったのだ!草薙理解、一生の不覚!
原因が分かった所で、私は一体どうするべきか。本来なら風呂場から出てお風呂セットを取りに行ってもう一度入り直す所だが、ここで自分が戻って入り直せば、大幅なタイムロスにより後からお風呂に入る皆さんの就寝時間に影響が出てしまう!それは良くない!
だが、取りに行けないとなると誰かを呼ぶしか
——
。
「あ、天彦さ〜ん
……
」
いや駄目だ。あの人は今、WSA会議だかサミットだかパーティだかで、アイルランドのボイン川に向かっていた筈だ。
しかしながら、こうして解決策を考えている間にも、どんどん時間は経っていく。
私は一体どうすればいいんだ!頭を抱える私の視界に、またふみやさんのシャンプーが目に入る。
……
もしや、頭を洗うだけならこれを使えば良いのでは?
いや、人の物を勝手に使うなんて泥棒の始まりだ。それに、シャンプーだけあっても仕方が無
——
いや、よく見たら全部あるな。というか、あの人全部風呂場に自分の物忘れていったの?それはそれでどうなんだ伊藤ふみや。
呆れた気持ちが湧き上がるが、ここまで来たら仕方がない。そもそも、ふみやさんのせいで忘れたのだから、ふみやさん物をお借りする権利が私にはある!私は正しい!秩序is all green!
それならば早速ふみやさんのシャンプーを手に取ると、ふわりとオレンジの匂いが漂う。決してキツくは無いが、印象的な香りだ。
こうした香りが好きなのかと尋ねたが、本人曰く特に好きも嫌いも無いらしく、選んだ理由は何となく、と言っていたのは記憶に新しい。
ハッ!つい考え事をしてしまった!これ以上のタイムロスは我が家の秩序に関わる!
オレンジの香りと泡を流すため、慌ててシャワーの蛇口をひねった。
◇◇
「おはよう、理解くん」
「おはようございます、依央利さん」
昨晩のお風呂事件を乗り越えた翌朝、同じタイミングで洗面所に依央利さんがやって来た。
依央利さんが私の口に歯ブラシを突っ込むのを警戒しながらコップに水を入れていると、意外な事に依央利さんは私を見つめたまま動かない。
「どうかしました?依央利さん」
「
……
ハッ!何でもないよ理解くん!あ、せっかく歯磨いてあげる!はい口開いて〜〜」
「あっ、ちょっ、やめ、オエッてなっちゃうから!」
何処か様子がおかしいと思ったのは気のせいだったのだろうか。いつも通りのやり取りをしていると、視界の端に見慣れた桃色が現れる。
「あっ、おはよう猿ちゃん!」
「おー
……
」
まだ眠いのか、猿の奴は適当な返事をしては目を擦りながらノロノロと入ってくる。
「おはよう、猿」
「んん
……
」
「お!は!よ!う!」
「うわぁっ!!」
ようやくちゃんと目を開けた猿は、余程驚いたのか大きな声を上げて後ずさる。
「ちゃんと目を開けて歩かないからだ!大体、昨日は一体何時に寝たんだ?」
「えっ?は?何で理解がここに居るんだ?」
「まだ寝ぼけているのか?仕方の無い奴め」
「いやでも確かにふみやの奴の匂いが
……
」
「わぁーー!!猿ちゃん待ってーー!!」
妙な事を言いながら辺りを見渡す猿を、依央利さんが何故か必死に止める。
「はぁっ!?何すんだよいお!」
「ストップストップ!本当それ以上は駄目なんだって!」
「何が駄目なの?」
「あっ、ふみやさん」
バタバタと暴れる猿と依央利さんに気を取られていると、今度はふみやさんがのっそりと洗面所にやって来た。
「どうしたの?喧嘩?」
「喧嘩というか、突如依央利さんが猿を止めた?というか
……
」
二人に視線を向けると、相変わらず依央利さんは猿を止めようとしがみついているが、力の差のせいか猿は依央利さんの腕を抜け出し、グイッとふみやさんに近づく。
「やっぱこれだよコレ!」
「慧?」
「オイ、理解。ちょっとこっち来い!」
「猿?」
猿はふみやさんと私の周りをウロウロとしながら、何やら一人で勝手に納得している。
「一体お前は何をしているんだ?猿よ」
「いやぁ、ふみやが居るかと思ったらお前が居たからよ、何でかと思ったら今日のお前ら、同じ匂いしてんだわ!」
「わあーーーーっ!!!!」
猿が楽しそうに話した直後、依央利さんが真っ赤な顔で絶叫する。
「バカバカバカ猿ちゃんのバカ!何で言っちゃうのバカ!」
「何だよバカバカ言いやがってバカって言った方がバカだよバーカ!っていうか何でそんなに
……
あっ」
「ほらぁ〜〜〜〜!!」
立ち尽くす私とふみやさんに、改めて猿が向かい直る。
「あー
……
、何だ、その、昨晩はお熱い事で
……
?」
「違うでしょーー!!もう見てらんない!ほら行くよ猿ちゃん!」
「えっ、俺まだ歯ァ磨いて無い
……
」
「いいから行くの!!」
依央利さんが猿の手を引いて洗面所を出ていく。騒がしかった洗面所が突如静寂を取り戻す。
え、何?どういう状況?何で二人は慌てて出ていったの?というか昨晩はお熱い事で、って何
……
?
「なぁ、理解。お前、昨日の俺のシャンプー借りたよな」
「えぇ、貴方のせいで忘れてたしまったので、置きっぱなしだった物を拝借したと話しましたね」
「なぁ、理解。俺とお前が付き合ってるって話、皆にしたよな」
「えぇ。隠し事は良くないので、お付き合いを始めた際にお伝えしましたね。何で今この話を?」
「なぁ、理解。一般的に付き合ってる二人が、同じシャンプーの匂いをさせていたら、どういう事を想像する?」
「どういう事って、一緒にお風呂に入ったとか
……
ん?あれ?ちょっと待って嫌な予感がしますふみやさん!」
「多分依央利と慧は、昨日の夜、俺と理解がヤッたと勘違いしたんじゃないかな?正確には一昨日なんだけど」
「わあーーーーっ!!!!」
結局この後誤解は解けず、むしろ二人によってあらぬ噂が広まり、他の皆にも謎に気を遣われたり、身体を労られたりしてしまった。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内