Adaps_A
2025-04-26 00:05:00
1240文字
Public ダングリのはなし
 

ダングリと光が「ともだち」してるはなし


「なあ、おれたちって、ともだちだよな?」

目の前の「ともだち」が開口一番そういうものだから、たっぷり数秒考えてから、返答した。

「連帯保証人には、ならねェぞ」
「あ、そういうのじゃないです、そこは安心して」
「ええ? じゃあ何だよォ」
「んにゃ、ちょっとお願い……そこまで負担でもない、詐欺でもないお願いがあってね」

聞くだけでも、と彼は手を合わせて首を傾げてみせる。
そこまで頼まれたら仕方ない、聞くだけということで聞いてやることにした。

彼との付き合いは案外浅い。
外から来たゲームチェンジャー、生身の挑戦者。
彗星のごとく現れた彼はあっという間にクルーザー級王者となり、なんやかんやでたまにお茶をしばく仲だ。
ダンシング・グリーンとしてではなく、単なるシャトナの青年として。

「えっとねえ、お願いっていうのはねえ」
「うんうん」
「おれのことを庇わないでほしいんだよね」
「おん?」

両肘をついて手を組み、その上に頬を乗せる。
薄く笑む彼に困惑した。
庇うなって、なにから?

「おれねえ、ともだちがねえ、あんまいなくてさあ」
「あ、そうなん?」

オレを通して遠くを見て、懐かしそうに目を細めている。
人当たりも良さそうなのに、意外な一面かもしれない。

「おれのこと、ともだちって言ってくれた人、おれを庇って死んじゃったからさ」

彼は薄く口角を上げたまま、ぼんやりと呟く。
オレは薄く口を開けたまま、何も言えなくなった。

「だからねえ、おれを庇うなよな〜」
「や……むしろ……庇われる側じゃね? オレ」
……そうかも!」

どうにか絞り出した一言に、彼は目を輝かせて立ち上がる。
そのままオレの手を握って、満面の笑みを浮かべた。

「いっぱい庇うね! いっぱい庇って、全部生還するから! おれ!」

心の底から嬉しそうに、握った手を上下に振り回す。
衝撃でズレたサングラスを直しながら、オレは「おお、任せた」としか言えなかった。
だって、コイツのこと、全然知らない。

「あ〜、よかった。安心安心〜」

やっとオレの手を離した彼は、ようやく座ってココアをストローで吸い上げた。
一緒に頼んだマフィンをつまみながら、何事もなかったかのように行き交う人を眺めている。
いつも通り。会話も特になく、何となく同じテーブルで、別々のものを飲食している。
それだってのに、さっきのは一体何なんだ?

「一応、言っとくけどよォ」
「ん〜?」

いつも通り、彼は目線だけをよこした。

「そういうのは、オレよかレザラに言ったほうがいいぜ。オレ、戦闘沙汰にはそんな関わんねェしさあ」
……それは……確かに、そうかも」

二つに割ったマフィンの片方を皿の上に取り落として、彼はぽかんと口を開けた。
にや、と口角を上げて、ストローでコーラをかき混ぜる。
コイツのことはわからんだらけだが、まあ、これから知っていけばいい。
「ともだち」ってのは、そういうモンだろうし。