三毛田
2025-04-25 16:11:45
1069文字
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73 13. 掌に受け止めて

73日目
この愛も

「ん」
「なんだ」
「手、出して」
「お、おいっ」
 ザラザラと、袋から出したお菓子に慌てたような声を出す。
「一時受け止めありがとう。ここに置いて」
 お皿を差し出すと、俺を睨みながらそこに乗せてくれる。
「俺の手が汚かったら、どうするつもりだ」
「ちゃんと丹恒が手を洗ったのを確認してからやったから」
「そういう問題じゃない」
「わかってる。ほら、一つだけ味見して」
 一つつまんで口元まで持っていくと、渋々口を開いて。
……まあ、悪くない味だ」
「だろ? 食べられる分だけ好きにつまんでよ。俺はこれからゲームするからさ」
 そう言って、椅子に座ってパソコンに向き直る。
 今日は、銀狼からマルチに誘われているのだ。
 ログインすると、彼女はすでにロビーに居て。二言三言交わした後、二人でクエストをこなす。
 そんな俺を、丹恒がずっと見つめていたのは知っている。でも、手が離せなかったので、放置してしまったのは間違いない。
「ふう。やっぱりプロレベルについていくのは難しいな〜」
「時折画面を見ていたが、お前の動きもよかったように思える」
「本当? 銀狼にはまだまだって言われたけど」
「彼女と比べたら、誰だって素人同然だろう」
「ま、それもそうだよな。これでも、なんだかんだゲーム初心者だし」
「なら、気負う必要はないだろう」
「うん。丹恒、待っててくれてありがとう」
 頬にキスすると、キスを返してくれた。
「本音を言うと」
「うん」
「同じ部屋にいるのに、隣にお前がいないのは……嫌だった」
「丹恒〜!」
 ぎゅっと抱きしめると、優しく背中に腕が回って。
 あの丹恒先生が、嫉妬したということだ。
 お菓子の数は、あまり減っていない。まあ、そこは想定内。
「ちゅ〜する?」
「したいと言ったら、してくれるのか?」
「いっぱいしてあげる。丹恒がとろとろになるまで、たくさん。ね」
 唇を軽く重ね、ちゅっちゅと音を立てつつ。
 歯を立てないよう気をつけながら、俺の唇で彼の唇を挟む。
 それだけでも気持ちいいのか、きゅっと俺のシャツに添えた手を握り。
「は……ん、ふ……
 気持ちいいんだなと思いながら、耳の裏を撫でるとドンッと少し強めに胸を叩かれた。
「丹恒、痛い」
「耳の、裏はやめろ」
「耳の裏、弱かった? 今度から、耳も愛してあげるから覚悟しておい……ゴフッ」
 今度はお腹に肘が入る。痛い。
「やったら、咥えた時に強く噛むからな」
「え〜。可愛い丹恒の、新しい表情見られると思ったのに」
「可愛い顔しても駄目だ」