キリカ
2022-07-07 22:05:20
951文字
Public しんご
 

Beyond to ​the Milky Way

ワンドロクオリティくらいの七夕ネタ(謎時空)。
一応アオ主前提なんですが、あんまりCP的な話にはなってない気がしましましま

「あ、今日って七夕か……
 帰り道、通った店先に揺れている笹と七夕飾りを見て、少年は思い出したように呟いた。
「七夕……日本にも古くから馴染んでいる行事か」
 知識としてインプットされている情報を浚うようなアオガミの言葉に頷く。
「でも、名物にしている地域とか、小さい子のいる施設でもないとそんなに気にしないかな」
 かく言う自分も、もう短冊に願いを書いてはしゃぐような年頃は過ぎていた。
「そういうものなのか」
「そういうもんだよ」

 建物の大きさに対して、何人の人が残っているのかという静まり返った寮に帰り自分の部屋に戻ると、少年は窓を開けて乗り出すように夜空を見上げた。
「ああ、やっぱり曇ってる」
 昼間は晴れていたのにな。
 凡そ少年の、例年の記憶通り。
「七夕の日ってね、大体天気が悪いんだよ」
 じっとこちらを見ているアオガミの視線に向き直り、説明する。
「折角天の川や夏の大三角形がよく見える時期なのにね」
 従って、残念ながら七夕の日は天体観測には向いていないのだと。
 言ってから、肩を竦める少年。
「といっても、雲があるのは地球だけだから、その向こうには関係のない話だけど」
「成層圏の向こう、ということか」
「うん、もっと広く言えば宇宙かな」
 地に足を付けて生きている自分たちには、随分遠い場所の話だ。
 そこにある星々に、人は思いを馳せ、或いは法則を見出して物語や活用術を生み出してきた。
 七夕に纏わる織姫と彦星の話もまた、そのひとつ。
「それならば」
 とアオガミは口にする。
「織姫と彦星は、誰に見咎められることなく会うことが叶うのか」
 続いた言葉が以外すぎて、少年は目を丸くした後クスリと笑った。
「いつの間に、そんなロマンチックな発想が出来るようになったの?」
「そのような内容だったろうか」
 当の本人はよく分かっていない様子だ。少年はおかしくて肩を揺らす。
「うん……結構、そういう話を理解したり考えたりするのが得意なのかも知れないよ」
 もしかしたら、これまでにない発想の何かを生み出せるかも知れない。
 そう告げて、本棚を漁る。確か、星に纏わる本が何冊かあった筈だ。
「一緒に読もう」
 目当ての本を見付けた少年は、アオガミに座るように促した。