キリカ
2015-07-01 23:49:09
1235文字
Public とうらぶ
 

ちびちか

ある方のイラストに添えさせて頂いたもの。
三日月さんがおちび化しています。

――で、原因はわかったのか」
 自らの前に正座する山姥切に、主は申し訳なさそうに首を振る。
 こちらでも更に色々調べてみるから、もう少し様子を見て欲しい。
 そう言われて主の居室を出た山姥切は、後ろ手に障子を閉めて小さく息をついた。

「はい、でっきあがり♪」
「おお、なかなか悪くないではないか!」
「えへへ、ちいさいこのふくをみつくろうのも、たのしいですねぇ」
 刀剣部屋の一角、その縁側に、今剣が自分より背の小さい子供の手を引いて現れた。
 それを見て、巨躯に見合った大きな笑い声を上げているのは岩融だ。
「始めは何事かと思ったが、こうして見ると今剣が兄らしいな」
「そうですねぇ~、いまはぼくがおにいさんです」
 岩融に頭をわしわしと撫でられ、幼子は嬉しそうな顔で二刀の遣り取りを見上げている。
「ではぬしさまの調べでも、今は原因も解決方法もわからないと……
「俺も書庫でそれらしい資料を漁ってみたんだが……力になれなくてすまないな」
「隊長殿が気に病むことではありませんよ」
 庭先の、少し離れた場所で彼らの様子を眺めていた小狐丸は、何処か消沈した風の山姥切に「それに」と笑って見せた。
「何やら楽しげではありませんか。流石にあのままでは戦にも出られませんが……今しばらくは、ああして童心に返るのも悪くはないと、私は思うのですが」
 そういうものだろうか、と小狐丸の視線を追って、山姥切も彼らの姿を見遣った。
「まあ……あんたのように一歩離れて状況を静観出来る奴がいるから、そう心配もないか」
「信頼を頂けているようで何より」
 穏やかに話していると、彼らの姿を見付けた幼子がテテテと走ってきた。
「くにひろー」
 子供は勢いに任せてぎゅっと、山姥切に抱きつく。
 その小ささに、力の弱さに、わかってはいても驚いた。
 背丈が山姥切の腰くらいまでしかない。
 普段の姿からは考えられないほど、小さく頼りない。
「記憶がおぼろげでも、隊長殿のことは覚えているようですよ」
 山姥切が受けている衝撃は他所に、小狐丸は小さく笑い声を立てた。
 困ったように彼に視線を向けた山姥切の腕を、幼子はくいくいと引っ張りながら、もう一度名を呼んだ。
 身体のつくりが小さいせいか、いつもより大きく見える澄んだ瞳には、変わらず月が浮かんでいる。
「一緒に遊んで欲しいようですよ?」
「遊ぶ、といっても……
「おにごっこですか、かくれんぼですか?」
 山姥切が困惑していると、今剣が口を出してきた。
「がははは、この小さいナリであらぬところへ隠れられたら、見付けられぬではないか!」
 何がウケたのかはわからないが、岩融は笑っている。
「ええ~、じゃあおへやでできるのにしましょう。いろいろあるんですよ、すごろくとか、ぼーどげーむとか」
 楽しげに今剣が言葉を並べるのを聞きながら、山姥切は子供に手を引かれて歩くのだった。
 この事態が、いずれ解決することを願いつつ。