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キリカ
2015-03-03 05:13:50
1313文字
Public
とうらぶ
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やきいもしてただけ(いちんばみたいなもの)
めいこさんのお話で思い付いたネタの片鱗を、ちょろっと書いてみたやつです。
驚きと感動が微妙に足りない気が
助けて鶴さん
******************
人の身は時として、不可解だ。
燃え盛る炎を目にすると、考えるよりも先に反応する。
勝手に脈が上がり、息は轟々と、取り込んでいる筈の酸素は、脳に届かないのか眩暈に襲われて、炎が炎がと、とぐろを巻いて何もかもを焼き尽くしたあの日のように、心臓を食い破られそうに
――
ふぁさり。
柔らかな感触が、頭からすっぽりと視界を覆う。
「
……
っ!?」
それだけで、一期一振の頭の中に、僅かながら余裕が生まれた。
「あんたも、火がダメだったんだな」
掛けられた布越しに、聞き覚えのある声。
遠巻きに、弟たちのはしゃぐ声と、何かが焦げるような匂いがする。
「ひとまずここを離れる。あいつらには気取られない方が、いいだろう?」
言うが早いか、声の主は一期一振の腕を掴み歩き出した。
掌が、温かかった。
「少しは落ち着いたか」
「
……
面目ない」
「気にする必要はない。ここには、火が苦手な奴は他にもいるからな」
被さっていた布を引き上げ、渡された井戸水で満たされた柄杓で喉を潤した一期一振は、やっと人心地ついて相手を見た。
瞬間、息を呑む。
この城に、こんなにうつくしい刀はいただろうか?
……
と一期一振が固まっている間に、彼の青とも緑ともつかない澄んだ瞳が気まずそうに逸らされた。
「
……
それを」
「え?」
「もう大丈夫なら、布を返してくれないか」
「あ、ああ
……
」
小さく、素っ気なく言われて、一期一振は何か合点がいったように被っていた布を外した。
裾のボロけた薄汚れたそれは、よく見なくても誰のものか判別がついた。
灯台下暗しとはこのことか。
自らが新参な方だとはいえ、それなりに同じ屋根の下に暮らしていて今まで気付かなんだとは。
ひとたびボロを纏ってしまえば、目深な布と金糸に目元を隠された、見慣れた山姥切国広の出来上がり。
それじゃ、と言葉少なに立ち去ろうとする背に、一期一振は声を発することも出来なかった。
建物の角に差し掛かった山姥切の前に、これまた見慣れた黒い尾を棚引かせて一期一振の弟の一刀が姿を現す。
「ごめん、いち兄さん! 俺が気付けばよかったのに
……
」
山姥切と二言三言交わして頭を下げ、別れた鯰尾藤四郎はまだ縁側に座り込んでいる一期一振に駆け寄った。
彼は覚えていなかったから、火を見てもなんともなかったのだろう。
大きく息をついて、心配顔の弟にもう大丈夫だと笑みを向ける。
正直なところ、親切を施してくれた相手に受けた衝撃で、ぶり返したものの大半を吹き飛ばされたようなものかも知れないが。
「あ、いち兄ここにいたのか!」
「いち兄、お芋焼けましたよ
……
!」
程なくして、彼を探していた弟たちがやって来た。
「大丈夫、もう火は消えてるから」
今度から自分も気を付ける、という鯰尾に少々申し訳なさも感じつつ頷いて、腰を上げる。
「では、御相伴に預かりますか」
いつもの笑顔で、彼は弟たちの許へ向かった。
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