三毛田
2025-04-24 13:18:12
1068文字
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72 12. 雷鳴狂詩曲

72日目
君といれば気にならない

「ぴゃっ」
「きゃっ」
 宿の近くに落ちた雷に驚いて、なのと二人手を繋いで悲鳴を上げる。
「ひぃんっ。丹恒先生〜」
「何が怖いんだ?」
「きゃうっ。大きな音と、強い光にビックリするんだよ〜」
「なるほど」
 さっきよりも近くに落ちたようで、激しい光が視界いっぱいに広がる。丹恒に助けを求めるも、どうして俺たちがこんな反応をしているのかわからないという表情。
 しかし、説明をすれば若干の納得顔へ変わり。いや。これは、理解しただけだな。
 また雷が落ち、二人で同時に丹恒に抱きつく。
「科学的に説明できても、お前たちは理解は出来ても納得はしないのだろう」
「しないできない!」
 ブンブン首を振ると、クスッと笑う。
「苦手なものを無理に克服しろとは言わない。が、それなら布団に潜って耳を塞げばいいだろう」
「そうだけど、丹恒と一緒にいるほうが安心し……ぎゃあっ」
「きゃあっ」
「ずいぶん近くに落ちたな……
 悲鳴を上げ、丹恒のお腹にしがみつく。
 彼は、外を見ながら冷静な声色。
「ほら、三月は部屋にもどれ」
「やだよ。ウチを一人にさせる気?」
「流石に駄目だ」
 丹恒に断られ、俺を恨めしそうに見ながら、半泣きのまま部屋へ戻っていく。
「丹恒、まだ雷怖いから一緒に寝よう?」
「仕方ないな。まずは窓を閉めてくる。離してくれ」
 渋々丹恒から離れる。彼が窓を閉め、ドアの鍵を閉めている間に上着を脱いで、椅子にかけてベッドへ向かう。
 たしたしベッドを叩いて、隣に寝るよう促す。
 呆れた顔だけど、少しだけ慈愛が浮かんでいて。
 丹恒って、本当俺に甘いよな。
 まあ、そういうところも含めて好きなんだけど。
「明日は朝から三月にグチグチ言われそうだな」
「仕方ないよ。俺と丹恒と性別が違うんだから」
「もう少し自覚を持ってもらいたいところだ」
「俺は、丹恒さえいればそれでいいけど」
「今回は三人での行動だ。そう言うな」
「わかってるよ」
 窓を閉めたことで、音は少しくぐもって聞こえる。でも、なんだかまだまだ怖いので丹恒の胸に顔を埋める。
「まるで子供だな」
「子供でもいいもん」
 こうして丹恒に甘やかしてもらえるならば、彼にどういう扱いをされても構わない。
「丹恒」
「どうした?」
 ぽんぽんと、背中を優しくリズミカルに叩いていた手が止まる。
「大好き」
「俺もお前が好きだ」
「ふふ。嬉しい」
 丹恒の柔らかな声色、優しい手つき、そして温もり。
 彼のおかげで雷の音も気にならなくなったみたいで、いつの間にか眠っていた。