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A4
2025-04-23 23:00:01
1108文字
Public
助手2号のお兄ちゃんのイトアキ
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見当違い/ lighterwise
煮え切らない助手2号のお兄ちゃんのイトアキを書きました。このひと、また事後の話を書いてるよ…。
アキラはライトのことをほとんど、何も知らなかった。
彼の過去についてはリンやFairyから断片的に聞いている。傭兵団の団長をしていたということ、その後、ある事件があり、彼はほとんど全てを失い、地下闘技場に身を投じたこと、そこをカリュドーンの子の先代ボスに引き抜かれたこと。
人づてに聞いたものだから、アキラには実感がない。
ライトをかたちづくるものがどこから来ているのか、知らない。
今まで気にもしなかったことが頭の隅をかすめたのは、身体を重ねた日、彼が自分の中にたっぷり欲望を吐き出して、お互い心地よい疲労の中でまどろんでいたとき、ぼんやりとした視界の中、ライトの笑顔があまりに痛々しく見えたからだった。
こんな表情で笑うひとをこれまでに見たことはない。
研究所にいたときも、居場所を失ってリンと彷徨っていたときも、プロキシになってからも、様々なひとに出会ってきたが、アキラの記憶の中に、彼を形容できる人物はいなかった。
何が積み重なったらこんな顔をするんだろう、とアキラはライトの頭を抱え込み、妹にするように、背中を撫でた。
「
……
アキラ
……
」
「ああ、ごめん。起こしちゃったかな」
「いや、ただ、驚いただけだ」
「なんだか、急にこうしたくなったんだよ」
「そうか」
「どうしてかな、自分でもわからない」
凄惨な経験をしたのだろう。だが、ここでは、誰もが同じだ。この、新エリー都で何かを失わなかった者はいない。皆、傷だらけなのだ。
アキラとリンは表面上、お悔やみを伝えることはある。心から同情して寄り添うことはない。
今、アキラがライトに抱いているのも、安っぽい感傷の類いだった。自分のことだからわかるのだ。こういうとき、自分は偽善者だと強く思う。
「ごめんね、ライトさん」
滅多にないことだったが、アキラからライトにキスをした。
親愛の情からではなく、ごまかしのための口づけで、これまたアキラの中に罪の意識が生まれる。
「謝る必要なんかない」
「うん。あなたに謝ったわけじゃなくて、自分のためなんだ」
お互い欲を発散して気持ちよくなって終わり、のはずが、湿っぽい雰囲気になってしまった。
「難しいんだな、あんたは」
離れていくアキラの頬を撫でて、ライトが目を細めた。
暗がりの部屋で翠の瞳が揺らめく。
「そう、難しいんだ、僕は」
これからもアキラからライトのことを聞くことはないだろう。
知りたいとも思わなかった。
目の前にいる彼が全てで、共にいる時間が全てで、それだけを閉じ込めて、海辺で拾った美しい石を時折光にかざすように、置いておきたかった。
こんな気持ちを抱くようになるなんて、大誤算なのだった。
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