傘道
2025-04-21 23:06:43
1205文字
Public イワイト
 

カッコつけには砂糖も必要

znzrの🪛🔦小説です。
コーヒーの話です。

「やっぱりブラックで飲めた方がいいのか?」
缶コーヒー片手にアンドーは兄弟に話しかける。
持っているコーヒーの缶は無糖と書かれている。
アンドーからしてみれば、苦くてとても飲めたものではない。
ブラックコーヒーを飲んで仕事に励んでいるグレースを尊敬するレベルだ。
コーヒーは大人の飲み物というが、大人になっても飲めないものは飲めない。
ブラックコーヒーを涼しい顔で飲めたら、もしかしたらカッコいいのか?と思ってしまった自分がいる。
カッコよく見られたい。
恋人がいる身なら尚更だ。
サングラスとバイクが似合う恋人。
意気投合して告白するまでそれほど時間がかからなかった。
「カッコつけたいというかカッコよく見られたいんだよなぁ。」
コーヒーを飲んだだけでかっこいいとは限らないし、表面上のカッコつけだけが漢のかっこよさではないことはわかってる。
それでもちょっとでもいいからかっこいいって思ってもらいたい。
そう思うくらい恋人に惚れていた。
「ブラックチャレンジしてみるか。」
一気に缶コーヒーを飲み干したアンドーは思いっきり顔をしかめた。



ブラックコーヒーが飲めないまま、デート当日を迎えた。
向かいにいる恋人は注文したカフェオレを飲んでいた。
アンドーは目の前にあるブラックコーヒーと睨めっこしていた。
「どうした?アンドー飲まないのか?」
「あぁ、いや大丈夫だ。」
漢だろ、一気にいけ!
ホットのブラックコーヒーに口をつける。
口内に苦くて熱い液体が流れ込んできた。
……っ!苦っ!」
アンドーからしてみれば、思わず声に出すほどの苦さだった。
どうしてグレースはジュースでも飲むようにゴクゴク飲めるんだろう
……アンドー?」
コーヒーの苦さに咳き込んでいると恋人のライトが心配そうに見ていた。
それを見てアンドーはハッとなる。
恋人の前でカッコつけたかったのに、今の姿はどうだろう?
むしろ情けない姿を見せていないか?
もしかして幻滅された?
良くない方に考えてしまう。
ぐるぐると思考を巡らすアンドーを見ながら、ライトはアンドーに向かって手を伸ばした。
正確にはアンドーが飲んだブラックコーヒーに。
「ライト?」
ブラックコーヒーが入ったカップを持ち、ライトはコーヒーに口をつけた。
……苦っ。」
苦さで顔をしかめるライトをポカーンとアンドーは見つめた。
「実は俺もブラック飲めないんだ。なんか親近感湧いてな。」
チャンピオンとして漢らしいかっこよさを持っている恋人がブラックコーヒーを飲めないなんて
なんか恋人の可愛い一面に気づいてしまった。
「口直しに甘いものを注文しよう。フルーツタルトとかいいなぁ。」
メニューを開き始めたライトを見て、俺の恋人可愛くてかっこいいなとアンドーは再び惚れた。


さらっと間接キスをしていたことに気づき、2人が赤面するのはもう少し先の話。