ortensia
2025-04-21 22:50:52
654文字
Public 傭リ
 

現パロ寄りボクサー傭×芸術家リ

ボクシング知識皆無です。

 自分が試合に出て居ない時でも、自分が試合をして居るビデオを見て居る。
「ナルシストか?」
 リングを下りて、休みの日に自宅のソファで寛ぎながらボクシング観戦をして居たボクサーが、背もたれ越しに振り向いた。
 手を伸ばされて、仕方無く隣に座って遣る。恋うようだったので。
 これで互いに定位置に着いた。隣の男は満足したのか、漸く口を利いた。
「自分の動作も確かに確認して居たが、相手の動きもな。」
「あら。わたし意外を熱心に見て居たの。」
「おまえはボクサーじゃ無いからな。」
 軽口には軽口を。
「おまえは誰か居無いのか、競いたい相手は?」
 確かに自分がボクサーに成ることは無いだろう。何かを握って居たほうが、拳は固く成るらしいが。そして筆を握り込んだ自分の右手を想像する。
「居ますよ……。」
 隣から視線が寄せられる。
「おれの知ってる奴か?」
「はい。」
 ボクサーは思い至ら無い顔をした。
「あるいは、いいえ。」
 ボクサーが試合のビデオを止めた。
「わたしが競って居るのは、わたし自身しか相手は居ません。」
 こちらの話を聞いて、ボクサーは少し考える素振りをした。
「相手と競って、そして勝った時、勝つ前の自分自身を超えたんだって、強く感じるんだ。」
 止まった儘の試合模様に向けて居た目を、ボクサーに移す。リングの照明が点いたように、ばちりと目が合う。
……わたしは、相手にわたしを相手自身に勝手に重ねられるなんて御免です。」
「だろうな。」
 男は笑って、ビデオの試合を再開させた。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。