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ahotootoha
2023-11-15 22:30:51
1998文字
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#司類版ワンドロワンライ お題:『ファンサ』『待ち合わせ』
司類版ワンドロワンライ事前仕込み投稿です。仕込んだうえで二時間かかった無法。
「『そうしてめいめい解決策を試しながらも、ちょっとずつ諦めかけていました
……
するとそこに、現れたのです! 伝説の杖を使いこなせるという、伝説のまほう使いが!』」
「わあっ、ペガサスがきたー!!」
恋人との待ち合わせ、広場へとたどり着き、オレを待ち受けたのはそんな歓声だった。
二十~三十の人だかり、その中心に居たのはもちろん類。取り囲む人々は彼がこちらを指さすのに合わせて振り向くと、左右に分かれて道を生んだ。そして類の傍では、数人の子供達が目をきらきらと輝かせている。彼らの足元や肩のまわりには、バルーンでできたイヌ、ウサギ、ゾウ、あらゆる動物達のキャストが集っていた。どうやら今この場で展開されている舞台は、ファンタジーな世界観らしい。
「! この騒ぎは
……
『この場で、一体何が?』」
オレはややいかめしく、わずかでも伝説たらんと声色を整えて言葉を発した。
「『魔法つかいは、村人たちにたずねます。』
……
さぁ、魔法使いさんはお願いをきいてくれるかな?」
類は語調を変えて語り部を務めていた。前半は場の全員に語り聞かせるように、後半は身近の子供達に問いかけるように。力いっぱいうなずく少年少女の頼もしさに、類はほほえみかける。そして何やらバルーンリスに見つめられていた傘を取り、彼らのうちの一人に手渡した。
大人達に見守られながら、子供達はオレの立つ元へと駆け寄ると、口々に状況説明をしてくれた。
「あのねっドーブツムラでお花がかれちゃってね!」
「ミーちゃんもワーちゃんもがんばったんだけど、生えなかったの!」
「ええと、言い伝えがあって、すごい人がすごいツエをふると、すごいことがおきて」
「ちゃんとお願いしなきゃー! あの、まほう使いさん、これを使って、お花をいっぱい出してください!」
最中にも手を引かれながら、オレは舞台と化していた広場の中央へと歩みを進める。オレに場を譲るように、類は下手にあたる方角へとさりげなく移動した。
オレは、導いてくれた子供達に笑いかけつつ、後の展開を模索する。
「『教えてくれてありがとう。その杖、手に取ってもいいだろうか?』」
「はいっどうぞー!」
神妙に受け取った杖の真贋を確かめる素振りで、杖
……
の小道具となっている傘、そして傘越しに発端の類に視線をやる。
(話のテイスト上ここから魔法使いが悪役になる事は無さそうだし、このままオレが花を出せばいいんだろうが
……
出せるのか⁈『出したように見せろ』ということか⁈)
杖の質に確信を持つような表情を作りつつ、オレの脳内はなかなかに切羽詰まっていた。花を贈る時のカッコいいポーズは持っているが、今回は杖に見立てている傘を花束に見立てて
……
? そんな風に考え出した頃、オレは類が何やらパントマイムじみた動作をしているのに気がついた。
(ん? 長い棒
……
傘か。根本、いや持ち手あたりの
……
三? 三ってなんだ?)
客席にあたる角度からは見えない、せいぜい見えても服や髪の乱れを整えている程度に見えるモーションでの伝言ゲームから、オレはハッと傘の取っ手に目を向け直す。
…………
ある。本来、閉じた傘を開くためのボタンが一つあればいいところを、五つもあった。
(これは
……
上から見ても下から見ても三番目で幸いだったな)
安堵もこもった心からの笑みを子供達、いいや観客全員へと向けながら、オレは傘の一部に空いていた不自然な穴が人に直に向かないよう持ち替える。カッコよく杖を掲げるポーズもオレにとってはお手のものだ。
「『よし、この杖はたしかに本物のようだ。では、村人たちの願いをかなえよう! 咲かせてみせよう、花を!』」
***
「バルーンはもはや何も言わんが、仕込み傘までよく持ってたな」
「フフフ、いつ何時も観客の笑顔は守りたいものだろう? 僕らのファンとあれば、なおさらね」
キャストを務めたバルーンアート達が一体一体貰われていったのを眺めながら、オレは残りの片付け物を見渡す。
「この花や花びら、全部紙か。ホウキの用意もあったりするのか?」
「そこは抜かりがないよ。なんとこの紙、水溶性なんだ」
……
類の言わんとすることを、分かってしまう己がうっすらおそろしい。
「ちなみに
……
ここでショーをする許可は?」
「僕らはたまたまショーを話題に盛り上がり、成り行きで即興の物語を紡いだだけだよ」
……
オレ達の取るべき行動が、たった今決定した。
「だ~~~~回収するぞ!! 少しでも! ご迷惑をおかけする訳には」
「おやおや言ってる間に警備員の方が」
「な~~~~申し訳ありません!!!! この度は!! うちの類とご迷惑を」
「あの、男性二名と報告を受けたんですけどももう一方に心当たりは」
「ぎゃ~~~~どこ行った!!!!!! 捕まえ! ます! オレが責任持って!!」
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