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ahotootoha
2020-10-18 17:00:27
2070文字
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千秋の落日に
あー尻叩き うゆ二次でこんな感じの序章のSS書き上げる予定です!ラストまでの展開構想上はマツキリ含有・Notハピエン STAGE何軸かは文章内で彼が説明してくれますが、全ネタバレ前提の内容です
「そう! 決勝に勝ち進むのは、たった1人!
決勝で生き残るのも、たった1人」
……
進行通りの発言をしていた彼女には悪いが、毎度神経を逆なでされるタイミングで、何十回と同じ文句を聞かされると、舌打ちの一つくらいは許してほしい。
俺は弓を握る手を少し緩め、階下の光景を見下ろした。
一人の男を現実世界に引き戻すためのヒールユープロジェクトは、端的に言って、難航していた。
円果
……
いいや門マツリは、すっかりこの世界を周回プレイ前提のゲームだと思い込んでいるらしい。
本人も、多少はゲーム内の無駄なやり取り・行程を短縮する動きをとってはいるものの、
当初4時間程度を想定していたプレイ時間は大幅に超え、専用MODの発動から幾日も経過していた。
プロジェクトに関わる人々は、大なり小なり疲弊している。
俺自身も例外ではなく、スタッフに何度かミト役引継ぎの話を持ち掛けられたが、俺はその度に断っている。
(もはや、これは意地だ)
マツリと俺の、根比べだ。
第5ステージ終盤、下ではノゾミによるストーリー連動の種明かしが繰り広げられている。
シナリオ上ではこの後、たった1人の生存者の存在を匂わせたところを、キリオに撃ち抜かれる。
初めてこのシーンを迎えた時は遠目でよく分からなかったが、近くで見るとなかなか衝撃的な姿になる予定だ。
「誰が生き残る?」
予定通り、キリオがしゃがみ込んだまま尋ねる。
それに答えるのが、ノゾミが撃たれる合図だ。
「オーディションとコンペと連動していますからね。
その内、嫌でもわかりますよ」
「そっか
……
」
バシュッ!
キリオが放った銛は、ノゾミの頭蓋を貫通
……
しなかった。
カツン、と金属音が鳴る。
銛の勢いで、床の溝に彼のフードが縫い付けられる結果にこそなったが、銛の刺さる位置は大幅に右に寄っている。
ノゾミ側の座標がずれた?
キリオ側の腕の角度が逸れた?
何十回と同じシーンを繰り返した今になって、そんなバグが生じるのだろうか。
「
……
どうし、て?」
ノゾミの台本通りの台詞は、いまだかつてない実感をもって空間に響いた。
(何が、起きている?)
ゴーグルを外して現場の面々を見回すが、どうやら彼らも同様に不測の事態を感じ取っているようだ。
『
…………
ねぇ、マツリ』
その間にも、キリオが、誰のアドリブでもない言葉を発した。
スピーカー越しにそれを聞いた俺は改めて装置を被りなおし、直に動向を確認することにした。
一際背の高い青年は、ゆら、とマツリの方を向き直る。
どこか自嘲するような、けれど縋るような笑みを浮かべて、その口を開いた。
「俺達、友達だよね?」
(
――
まずいッ!)
火炎瓶をフロアに投げつけた。
台本の段取りを気にしてはいられなかった。
ぞわりと、嫌な予感に支配された俺は、炎がじわりと包むフロアに降り立ってマツリに駆けよる。
「逃げよう、マツリ
……
、ッ」
片腕を引っ張るが、相手は思うように引きずられてはくれなかった。
今のマツリの目には俺も、ノゾミも、ヒロインも、周囲で燃え盛る炎も見えちゃいなかった。
キリオしか、見えていない。
「~ッ、走れ!」
俺がたまらず彼に足払いをかけると、予想に反してあっけなくスッ転んだ。
「っ痛てて
……
なぁ、見たか? 聞いたか?」
視線をキリオ本人から逸らすことには成功したが、マツリは俺を見上げると興奮した口調で問いかけてくる。
「あのキリオが、ノゾミへの狙いをずらした、殺さなかったんだ。
手を汚していない、まだ『卑近な人殺し』じゃないんだよ!」
いくら現実の炎じゃないとはいえ、温度を感じるようにはできているし、長居しすぎるとゲーム上の焼死だってあり得る。
だのに、それを理解していないのか、あるいはそれらが意識の範疇外なのか。
「キリオはシナリオに抗えてる。そりゃそうさ、生きてるんだから。
別のルートは生み出せるんだ、お前も、分かるだろ?」
あぁ、分かってるさ。
今の状況はどう考えたってシナリオから外れていて、イレギュラーな事態だ。
だからって、"それ"を"ミト"に語りかけるのは、おかしいだろ。
俺は今、得も言われぬ恐怖を抱いていた。
門マツリに。
引きつりそうな喉から、なんとか言葉を絞り出す。
「
……
出よう、ここから」
「誰のために?」
お前のためだ、とは、言えなかった。
膝立ちのままのマツリは、前髪越しの瞳を覗き込むと
……
微笑んだ。
「な? ミトも、"ミト自身が動きたいように"動けばいいんだ」
そうして、マツリくんはミトの頬を包み込むように両手を掲げて、俺の目を見据える。
(くん?違う、今僕は和歌で、俺は俺の、? ミトはぼく、の?)
脳が混ぜ込まれて、剥がされていくような感覚。
気持ち悪い、さむい、いたくはない、苦しい。
自分が床に崩れ落ちるのを、どこか遠くの出来事のように感じていた。
周囲の光景が白んでいく。
(マツリ
……
いいや、お前は、やっぱり
……
)
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