イト
2025-04-19 22:58:11
764文字
Public
 

復活節

武新ワンドロ・ワンライ
お題は 再開 イースター
田中君の戊辰聖杯戦争召喚時妄想

 周囲は人集り。おお、と感嘆の吐息かそこかしこから上がる。
「サーヴァント・アサシン。召喚に応じ参上した。」
 薄暗い部屋、土蔵か。足元に魔方陣がある。周囲は薩摩藩の者どもだろう、馴染みのあるお国言葉が聞こえる。正面には紅毛の夷狄。
「汝がマスターか。」
 この異人が私を召喚したのだろう。魔術の技などくににはなかったはずだ。
「──人斬り新兵衛。」
 マスターの肯定の声の影に誰かが呟いたのが聞こえた。顔見知りがここに居るのか、真名を名乗る必要も無かったようだ。
「如何にも。」
 周囲の顔を確認する。薩摩の重鎮などは居ない。私の死から時はそれほど経過しては居ないようだ。見知った顔はそれほど老けてはいない。
「我が名は人斬り新兵衛。御国のため、勤王のために力を振るいましょうぞ。」
 人垣からおお、と安堵したような声が聞こえる。ざわめきがさざ波のようにうねる。
──やったぞ──いやしかし──同盟が──貴様に命じる──これが英霊とは──これで──では長州と──下僕よ──土佐は──
「武市瑞山を召喚したと──」
 では、これは不要だ。
 ポン! と小気味良い音を立てて夷狄の素っ首は上へ飛んで行った。早速刀が穢れてしまった。
 異人の他は放っておいて蔵から飛び出す。英霊の身とはいい、生身よりはるかに速く駆けることができ、生前には知ることすら無かった魔力の気配を感じられた。
 塀に上り、屋根の上へ。見えたのは京の街並みだ、目を閉じても歩ける程に見知って覚えた景色だ。
 闇夜に甍がうねりさながら荒れた海の様相に、血が沸き立ち猛り立つ心地すらする。
「祭りだ。」
 この何処かにあの人が居る。
 我らは再び京の地に降り立った。七人の死者が踊る大祭りの役者として。
 皆んな殺してやらなければ。蘇るのは一人でいい。