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いを
2025-04-19 21:06:26
1894文字
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タグ、掌編、その他
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タグまとめ17
刀神
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。
生めども生めども後の祭り(橙輔さんと政親)
立霧橙輔という男が壱段だということは知っていた。朗らかな性格だということも表情を見ていれば分かった。それが本心かどうかは彼ではないから分からない。本心だろうとなかろうと、表面上に現れているものを見てほしいのが人間だと、そう考えているので政親もそうしている。
「なにを考えてるのって聞かれたもんだから、正直に言ったら苦虫をかみつぶしたような顔してもうてなぁ」
ぼくそんなに分かりづらい顔してるんやろうか、と問うと、橙輔はふと笑った。壱段がデスクワークなんて信じられんと思っているが、壱段だからこそ融通がきくのかもしれない。彼は「それは、お前の本心を知りたかったんじゃないのか」といった。「本心」。胸中でくりかえす。
「人の本心知りたいなんて、なかなかけったいな人や思いませんか」
「その人を正しく理解したいということは、ひとつの愛情表現だと思うが?」
「立霧先輩。人の心をまさぐることって、気持ちええことなんですか?」
彼はくちびるをそっとゆがめ、肩をすくめながら「どうだろうな」と応えた。
うまれてこのかた冴え知らず(祭さんと月草、政親)
「はじめまして。ぼく比売政親いいます」
「はじめまして。東祭といいます」
「新人やさかい、お手柔らかに」
東祭という男性は、鬼のような刀神を連れていた。視線を上げると、「俺は雪魄月草刀・肆号。祭のバディ」と犬歯の目立つ歯を見せた。笑ったようだった。少々青白い肌に突き出た角。紛れもなく刀神であろうけれども、背負っているものがずいぶん赤黒い。赤鬼などと言うのだろうか。
「おっかない刀神さん連れてはる。東先輩」
「? 神様は怖くは
……
」
「あんまり見てたら連れてかれちまうぞ」
月草がそういうので、「仰せのままに」と笑う。つづけて彼は「俺は鬼だからな」ともいった。
「ぼくはまだ未熟やから。そういうもんも対処できん」
「
……
下緒院に言付けしておこうか」
祭のいった言葉に曖昧に笑う。が、情報戦において、〝あいまい〟というものはよくない。そう、とてもよくない。
「にっちもさっちもいかなくなったらお願いします」
日和を穿つ瞬間(逸夜さんと政親)
無所属の天照職員がふだんなにをしているのか、知らないわけではない。あちこち手伝いに駆り出されて端から見ても大変そうだ。覚えることも多いのではないだろうか。
――
と、逸夜を見て思った。
「お疲れさまです」
食堂の座席の斜め向かいに座ると、彼は視線をあげて「お疲れさま」と応えた。彼はすでに食べ終わっていて、なにを食べていたのかは分からない。自分の今日の昼食はきつねうどんだった。学ランを脱いで膝に載せる。
「あ、きつねうどん。おいしいよね、食堂の麺類も」
「ええ。ぼく、自分でも一応つくるんやけど、やっぱ食堂のほうが好きで」
ゆっくり啜ると出汁の甘塩っぱい匂いが湯気とともにのぼってくる。関西のうどんとやはり味は違うけれど関東のうどんも好きだ。
「あの、絃識さん。ちょっとお伺いしてもいいですか」
「うん。なに?」
「前ナビしたとき、ぼく方言やったじゃないですか」
「ああ
……
そういえば、そうだね」
「ナビのときくらい共通語、喋った方がいいんでしょうか」
共通語も喋れるんです。本当は。と言いたかったが呑み込んでおいた。
音の無い暴論(酔仙さんと政親)
「ぼくこの世界に呪いがなかったらどうなるんやろうと思ったことあるんです」
どうです、とっても人間くさいでしょうと笑ってから、ペットボトルの水を飲んだ。生ぬるい。となりにいる酔仙は片眉をあげて、それだけだった。
「呪いがなかったら祝福もない。ずーっと平坦で、この水みたいに生ぬるくて凹凸がない。そんな世界があったら、どう思います?」
彼女は金髪の毛先を揺らしながら外を見上げる。空を飛ぶ鳥でも見つけたかのように、自然に、そしてその一瞬を考えるように。
「凹凸がない世界なんてないと私は思うけど」
手の中にあるペットボトルを揺らすと、水もかたちをかえる。そして、また真っ直ぐな水平線のようになる。
「人間がいる世界なら必ず諍いは起きる。でしょ」
「
……
そうやな。もしもの話をしたってどうしようもない。どうしたって呪いなんていうけったいなものはあるし
呪いと祝福は表裏一体である。〝生きろ〟というありきたりなことばも、呪いにも祝福にもなるのだという持論を政親は持っている。
「
……
」
白い大きな鳥が羽ばたいた。重たそうな翼を必死に動かしながら。
「鳥はええなぁ。綺麗や」
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