三毛田
2025-04-19 17:56:27
1079文字
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67 07. 濡れた前髪


……
「げっ」
「なの、謝りなって」
「コラー!」
「パムも来ちゃった!!」
「だから言ったじゃん」
 ラウンジの大掃除。丹恒に雲吟の術で水をバケツに入れてもらい、モップで床掃除。
 まではよかった。
『なの?』
 丹恒が汚れた水を捨てに行っている間、どうしてかなのはそわそわしていて。
『穹、これなーんだ』
 と、見せてきたのは水色のプラスチックのおもちゃ。
『おもちゃだろ?』
『おもちゃはおもちゃでも、水を入れて遊ぶおもちゃなんです!』
 そう言いながら、水の中に沈めて。
『わっ』
『ふふん。隙アリ!』
 ぴゅっと出てきた水は、俺の顔に当たり。
『水鉄砲って言うんだ。穹と丹恒の分も買ってあるから、後で遊ぼう!』
『掃除が終わってからだろ』
 なんてやり取りをして。
 なのが思いつきのように、ちょっと汚れが落ちにくいところに水鉄砲から勢いよく出た水を当てると、その汚れを取りやすくなることに気づき。
 だけど、途中で飽きてまた俺に向かって水を当てようとしてきた。
 ところで、丹恒が戻ってきて。彼の顔面へ水が。
「三月」
「ご、ごめん。で、でも、わざとじゃな……
「お前たち、なんで遊んでいる」
「あ、そんでたわけじゃ……
 言い訳が思いつかないのか、目をあちこちに向けてそっと水鉄砲を後ろに隠し。
「穹。お前も、なんで止めなかった」
「一応一回止めました」
「そうか」
 裏切り者〜! って顔でこちらを見ている気がするが、知らない。
 濡れた前髪をあげ、それから大きくため息。
 その前髪を上げる仕草も、どすけべです。ありがとうございます。
「三月ちゃんは、デザートの量半分じゃな」
「そんなぁ〜」
「それから、それは没収だ」
「ああ〜。ウチの水鉄砲が〜」
 丹恒は後ろ手に隠した水鉄砲を取り上げ、中の水をバケツの中へ捨てパムへ手渡し。
 なのは、水鉄砲を没収された上、デザートの量を減らされたことでショックを受けたようにうずくまる。
 そこはまだ洗ってないから汚いけど、いいのだろうか。
「穹。お前にも後で話がある」
「はーい」
 まあ、少しくらいの小言なら甘んじて受けよう。
 掃除を終え、お疲れ様の小さなパーティ。
 なのはしょんぼりしながら食べていた。
「丹恒、いらっしゃい」
「ああ」
 お風呂にも入ってきたのか、ちょっと濡れた前髪が張り付いていて。
「お前も、三月と一緒になって遊んでいるのかと思った」
「後でなら怒られないと思ってたけど」
「なるほどな」
「濡れた丹恒もすごく素敵だった」
「褒められている気がしない」