千聖
2025-04-19 17:47:01
9382文字
Public 腐ロセカ
 

召喚に巻き込まれた話

相互様のネタをお借りした聖女召喚に巻き込まれた司(高校生)くんとマドソ類のはなしになります。
最後蛇足です。
その土地の言葉を覚えるには愛の言葉から覚えるのがいいとか何とか聞いたことがありますので恐らくそういうことです。
雰囲気で読んでね。

「もうこの国はダメかもしれないルイくん最後の手段を

「かしこまりました、カイト王。必ずや聖女召喚を成功させてみせます」


この国を救うために賢王カイトは死力を尽くした。
魔術師長であるルイは古い文献を読み漁り過去に聖女召喚によって国を救ったという文言を発見し、そこからの解読により聖女召喚の魔法陣をようやく書き上げることができた。

「それではカイト王いきます」

何人かの部下と共に詠唱していけば眩い光とともにブルーグリーンのツインテールの少女が陣の真ん中にぺたりと座り込んでいた。

「あぁ、貴方が聖女なのですね」

皆陣の真ん中に座り込んでいる少女に目を向けたものの陣の端っこに金髪の明るい少年がぱちくりとした目で呆然と立ち尽くしているのも視界に入ってあれはなんだ誰だ?とザワザワ声が大きくなっていく。

ルイは皆を静まらせて彼の近くに寄った。
聖女と同じように変わった身なりをしており、髪色は金髪かと思いきや毛先にかけて薄い紅色になっているようだ。顔は幼いものの身長はそこそこあるなと感じた。

どうやら言葉が通じていないのかキョロキョロと周りを見やり近づいてくるルイに顔を青ざめさせていく。

『な、なんだここは!?さっきから何を言っているんだ??オレは英語はわからないんだ!!外国?外国に飛ばされた?いや、夢??夢なんだよな?』

そっと念じて翻訳魔術を自身にかけた。
そしてそのままそっと彼に近づいたルイは声をかける。

「君は

「あっ、言葉がわかる!?ここはどこなんだ!急に眩しい光に包まれたんだ!」

ザワザワと聞きなれない言葉、見たこともない所に立たされていればパニックにもなるのか、司は青ざめた顔を一転させて言葉がわかるルイに藁をも掴む思いで近寄った。

「君、名前は?僕はルイ」

「天馬、司だ

「どっちが名前なんだろう?」

「?名前司の方が名前には当たるが」

「そう、じゃあツカサくんと呼ばせてもらうね」

「あぁではオレはルイと呼ばせてもらおう」

掻い摘んで魔術師長である自分しか言葉が通じないこと、儀式に巻き込まれてしまったということを伝える。

「それにしてもまさか、巻き込まれることがあるなんてね君からはなんの魔力も感じられないのに」

聖女の持つ清らかな神聖力もこの国の人たちが持つ魔力ですらなにも感じられ無かった。


「まりょく??」
司はオウム返しするのものルイはそれに返事せず振り返ってお辞儀をし、王へと進言する。

『カイト王この少年、私が一先ず預かってもよろしいでしょうか』

『うん。僕たちは君ほど魔力を制御出来ないからね。言葉もわからないし

『ありがとうございます』
「こっちについてきて」

「え?あっ、ちょ??」

よく分からない言語を話し出し、最後の言葉だけは日本語で聞こえたと思ったら、急に手を引っ張られて司は慌てて足を動かしてついていかされた。

王宮から出てすぐ横の大きな塔、魔塔と呼ばれる魔術師達の仕事場にずんずんと入っていく。
魔術師たちは別のところに自分たちの家があるようだが、帰るのが面倒くさいという理由で仕事場兼自室にしているのがルイである。

「君にはこれから僕と共に過ごしてもらう。魔力も無いだなんてどんな影響があるかわからないからね」

階段を登りながらこの世界のこと、先程の儀式のことをツラツラと話していくのだが、あまりの階段の多さと高さに司は着いていくのが精一杯で話も半分程しか理解できなかった。

「ここが僕の部屋」

ガチャリと開けられた部屋は

「き、汚い!?なんだこれは!!!オレは今日からこんな部屋で寝なくてはならんのか!?」

「え?いや、君の部屋はべ

「んなぁ!?隣の寝室まで汚いではないか!!くそぉ、ルイ!いるものも要らないものをわけるぞ!!」

別に部屋用意させるよと言おうとしたけれど司はもうこの部屋に居座る気満々だし部屋も掃除してくれるみたいだしまぁ、いっかとルイは全部飲み込んで
「はぁ〜い」と緩い返事だけ返した。

それから司の指示通りに書類をまとめ、寝具を替え、なんとか寝ることが出来るくらいには綺麗になった。

「ふぅ流石に疲れたオレはもう寝る」

一日で色んなことがありすぎたため司はふぁぁと欠伸をしながらベットへと上がる。
もちろんその前に寝巻きをくれと催促され目の前で着替えるくらいには他に気が回っていなかったのだろう。

「うーんたまには僕もベットで寝ようかな」

普段は机かソファーで寝落ちていることがほとんどでベットはあまり使わない。それなのになぜこの部屋が汚れていたのか。それはルイにも分からず気づいたら書類が消えてることもあるんだよね〜なんて笑っていたが整理しないので執務室からはみ出たものが少しずつ寝室を汚していっているのを理解していなかった。

ベットを見れば、司は広いにもかかわらずご丁寧に右端に寄って眠りについていた。そこになんの疑問も湧かず、いや、湧く前に空いてるスペースへとルイは潜り込んだ。

翌日―――

「さて、ゆっくり眠れただろうからご飯でも食べながら今後について話していこうか」

朝起きたら背中合わせで眠ったはずなのにルイは司に抱きしめられており身動き出来ない状態で目が覚めた。

「うぐっ寝相が悪くて悪かったな」

「いやいや、とても暖かくて心地よかったさ。どうだろう?今晩は僕が抱きしめて寝るというのは」

「なっ!?他にベットはないのか!!」

どうやら疲れすぎていた事もあったのかベットが1つしかない、一緒に寝るということを失念していたようである。その為、今日からは別にベットが増えて別々に寝るのだと思っての発言である。

「あるよ?あるとも。この塔の別室だって用意が出来るし、王宮に部屋を作ることも出来るさ。だって僕たちのミスで君は巻き込まれてしまったんだからね。誠心誠意込めて尽くすよ。君が過ごしやすいように」

ルイの言葉を聞き少し考えながら用意された朝食に目を向ける。
部下が持ってきてくれた朝食は野菜と目玉焼き、それにパンだった。何故かルイの皿には野菜がなかったが。
おそらくトマトであろう赤い実を口に入れると何故かきゅうりの味がした。司は思った味ではないことに少し驚きながらも咀嚼していく。

「モグモグんっ、お、王宮はいい言葉が通じるルイが居ないと不便だ。あと他の部屋もいい何をしたらいいかわからないから」

決して嫌味でルイが勧めている訳では無いことはわかっていた。それでも昨日のいや、朝のあの温もりと安心感を思い出すと全く知らない世界で一人ぼっちは少し怖いと感じてしまった。それに王宮はそもそも論外としても結局ルイの傍に居ることになるのだから別室というのは面倒でもあると感じて断ってしまう。

「ふむ。ではここで僕の部屋を掃除してくれるということだね?」

「掃除は自分でしろ」

「まぁ、冗談はさておきツカサくん。君は何をして過ごしたい?」

「なに?」

「現状君を戻す方法はないんだ。であれば、この世界で、この国で生きていかねばならない。ツカサくんはどうしたいのかなと思って」

「ふむ

ルイの言いたいことはわかる。
このままこの塔に世話になるにしてもやはりやりたいことがなければ暇だ。
それこそルイの掃除係として生きたくなるほど暇だろう。

「といっても昨日の今日だしねそんなこと聞かれても困るだろう?」

「あぁ

「だからさ、ツカサくんの世界の事教えてよ」

「オレの世界?ここの世界をオレが教わるのではなく??」

「ここの話をしても理解できないだろう??なら、君の世界を聞いてこっちではこれだと示した方が分かりやすいんじゃないかと思ってね。で、どうして魔力がないんだい?どうやって生きてこられたの?」

「ま、魔力なんてそんなおとぎ話にしかないぞオレの世界でそんなの持ってるやつはいない」

「そうなのかい!?じゃあうーんと例えばこのランプどうやってつけているんだい?」

「それなら電気で

「デンキ??それはどんなものだい?」

「どんな??うーむ。目に見える訳では無いからな。雷はしっているか?」

「あぁ、わかるよ」

「それの似たやつが電気だ!!」

日本での生活、使っていたものをルイは興味津々に尋ねてくる。
司は特に好きだったショーについて話せばルイはそんな楽しいことがあるのかと益々目を光らせていた。

この国は今娯楽を楽しめるほどの余裕はないらしく、聖女による浄化が終わればそんな娯楽が流行るといいなとこうなったらいいな、ああなったらいいなと司の世界の技術をなんとか再現できないかと魔術式を書き連ねていた。

☆★☆★☆

少しずつ惹かれ合う2人。
お互いに何を言うでもないけれどルイの研究にそっと寄り添うように司は補助をしたり、世話をして過ごしていた。

結局のところ言葉が通じないのでルイから離れられないということも関係していた。
ルイ自身、自分に掛けている翻訳魔術を司にかければ話せるようにはなるのだけれど何となくそれをせずに過ごしていた。

(何故だろうツカサくんを誰かにとられたくないな。僕だけを見てて欲しいこの塔に2人きりで居たい)

そんなことを思っていても別にこの塔はルイの家でも私物でもないので部下である魔術師達は多くいるのだが。けれど最初はご飯を作ったものを持ってきてくれた部下も最近はおらず、全て司の手作りを2人であの部屋で食べていた。そこだけ切り取るとまるで新婚夫婦の生活にみえるだろう。

だからだろうか、ルイもこの生活がずっと続いて欲しい、司とずっと居たいと思ったのかもしれない。
元々人との関わりは煩わしいと思っていた。なのに他人と四六時中一緒でも苦痛を伴わない司は特別なんだと思ってしまった。


想いを伝えてみようか。今の自分の気持ちを。
なんでも言って試さないと許さない性格のルイがここまで何も伝えずグルグルと自分の中で反芻していることは滅多にない。もちろん禁術や国王からの直々の命令に関してはきちんと口は紡げるが自身の気持ちと言えば良くも悪くも素直なのだ。そのせいで変わり者のマッドソーサラーと呼ばれているため塔の中で働けるのはそんなことを気にしないタイプかそれすらもかっこいいと思ってる同じ変人くらいしかいない。まぁ、元々魔術師なんて変人しかなれないのだが。

心に決めた夜。
まだ起きてるかと司の顔を覗き込めば彼は健康優良児らしく既に眠っていた。

「一足遅かったか

……………さき……………

「え?」

寝言だろう司のポツリとこぼした言葉に思わず顔を再度覗き込む。
すると目尻からつぅーと涙が一筋零れていた。

(サキとは女性の名だよね??もしかして向こうの世界での想い人?)


ルイはさっきまでの決心を違う方向にしまい込むことに決めた。僕のわがままで司をこの世界に留めておくことは出来ない。彼は向こうの世界に置いてきてしまった想い人と幸せになるべきなのだから。

「ツカサくんを元の世界に戻さなくちゃ」

元々巻き込まれただけの司。
しかもルイの独占欲により言葉を封じられたまま誰とも話すことも出来ずにこの塔に閉じ込められている日々だ。そんなズルいルイのそばにいて好かれているなんて烏滸がましい。きっとこれは洗脳に近い何かだ。
そう思えば思うほど彼が向こうの世界を思って泣いてる姿がリフレインした。



★☆★☆★


朝、目が覚めると隣にルイはいなかった。

「ん?寝すぎてしまったか?」

いつもは司が起こすまで嫌だ〜と駄々を捏ねて起きないあのルイがいない。王様に呼び出されるとかそういったことは無かったはず。
ルイは中々寝ようとしないが、寝てしまえば今度は中々起きない。面倒臭いとか思いつつも司はその起こす朝が嫌いではなかった。

目が覚めた時に最初に目に映るのは自分であって欲しい。司を目にいれてふにゃりと笑っておはようと言うルイに司は朝からほっこりした気持ちになれるのだ。

「ルイ?」

隣の執務室を覗くと机にかじりついて何やら計算式を書き連ねている用だった。

「ルイ!もう起きたのか?ご飯はどうした??」

渋々起こされていつもなら食べさせておくれと言いながら書類片手の彼に食べさすのだが、今日はご飯を食べる素振りすらみせない。そもそも朝食だろうがなんだろうが全て司が用意をしているのだからルイが何かを1人で用意して食べるということはありえない。

「んー。今日はいいよ」

「朝を抜くとはなんということだ!食べなくてはいけないぞ!」

「うんんーうん」

生返事しか返ってこず仕方ないと片手で食べやすいサンドイッチを作るものの机の脇に放置されて全く手をつけられない。

「ルイ、ほら、食べさせてやるから口を開けろ」

一口サイズに切られたサンドイッチを司はルイの口へと運ぶ。

一、二個は黙って口に入れていたものの三個目からはふいっと顔を背けられる。

「なんだ?野菜はいれていないぞ?」

ハムと卵しか使っていないサンドイッチ。
それでもルイはもういいと邪険に扱う。

(なんで急に)

今までこんなことは無かった。司がここに来てからルイの機嫌が悪かったことなんて1度だって無かった。
作ったものを残されるのはなんて辛いんだろう

司はこれ以上食べさせようとするのはやめてそっとキッチンに戻り残った分を口に入れた。

「ルイうぅ

訳も分からなくなって涙がこぼれ落ちる。
この世界でルイに見放されたらどこに行けばいいんだろう。どうすればいいんだろう。
司自身の気持ちは純粋な好きという気持ちから来ているのかただ単に懐いた後の好きという錯覚なのかそれも分からなくなってきた。

一方ルイは、

「はぁ~あんな態度取るつもりじゃなかったのに」

自分の最低な態度に落ち込んでいた。
食べたくない訳ではない。むしろもっと食べたくて仕方なかった。けれど、絆されて行かないで僕を見てほしいと縋ってしまいそうになるのが嫌であんな態度を取ってしまった。
司の作ってくれる優しい味の料理、寝る時に抱きしめると心地よい体温と大きさ、そして一緒に話してる時の楽しそうなあの顔。
その全てがルイの中で失いたくないと思ってしまう。

気まずい雰囲気の中、司はどこにも行く宛てがないので部屋の隅で片付けをしたり座ってぼんやりと外を眺めていた。
言葉が通じなければもちろん書類や本なんかも読めない。だから暇を潰すものがないのだ。
最初は充電のあったスマホももう電源がはいらないので動くこともない。スクールバックに入っているのは教科書、見に行く予定だった舞台の原作本、電子辞書、飴などが入っていたポーチだけだった。

原作本だけあって英語な為、電子辞書で翻訳しながら読んでいたのにその電子辞書も充電が無いので読むことも叶わない。

司がこの世界で出来ることは料理と掃除とルイとのお喋り、手伝いだけだった。

そんな日が数日続いてとうとう魔法陣が完成する前に寝不足でルイが倒れた。

「ルイ!?!?」

本人はぐったりとしたまま机につっぷして意識を飛ばしている。
司は慌ててルイを引きずってベットへと連れていく。身長差はやや10cm程の大男を抱き上げることも出来ずなんとか肩を抱えて運び終えた。

「ん??」

「気がついたか!?」

「ツ、カサくん?」

「どこか苦しいとか痛いとかはないか!?」

「うん大丈夫

キョロキョロと辺りを見回してなんで寝室に?と疑問を零せば司に泣きながら馬鹿者!と怒られる。

「全く休むことなく机にかじりついてご飯もろくに食べずにお前は意識を失ったんだ!!!し、死んでしまうかと不安だった

泣きながらぎゅぅと抱きついて馬鹿、ルイの馬鹿と罵っていく。

「ごめんね心配かけて」

「ずっと機嫌も悪いしご飯も食べてくれないし、一緒にも寝てくれないオレ何かしたか?」

ズビズビと鼻をすすりながら尋ねる。

君を、元の世界に返すための魔法陣の調整をしていたんだ」

「は?」

「君はきっと元の世界に帰りたいと、想い人がいるんだろう?」

「待て待て。オレに想い人ってなんだ?恋人はいないぞ?」

「片思い相手かい?」

「話が見えんのだが」

「だってキミ、寝言で

ルイは珍しくハッキリ物を言わずしりすぼみにモゴモゴと口を動かすだけで聞き取れない。

「なんだ?勿体ぶらずに早く言え!」

「サキって呼んでたから」

司は思い当たる事があるのかハッとした顔になる。

「想い人じゃないのかい?」

「想い人なぁあながち間違ってもない所が

「ほらやっぱり!」

ガバッと起き上がったものの急な動きに体がついていけておらずふらっと目眩を起こして布団へと逆戻りする。

「あぁ、もう、無茶をするなあのな、咲希は妹だ」

「そんな嘘、信じない」

「んなぁ!?だったらオレの過去でもなんでも覗けばいいだろう!!」

ほら!と手を掴まれて頭に乗せられる。
そんなことをしなくても手が触れ合っていれば術を発動して相手の想像しているものは分かるのだが、司の行動が可愛かったのでルイはそのまま目を瞑った。

「ふむとてもそっくりな妹さんだね」

「そうだろう?オレの自慢の妹だ!きっと急にいなくなったオレを心配しているだろうなそれだけが心残りだ」

「なら、やっぱり元の世界に

「だぁ!!話は最後まで聞け!!!オレは!もう向こうへ戻りたいとは思わん。勿論戻れないと言われた時に諦めてしまったというのもあるんだが、何より、そのだな、ルイと居ると居心地がいいんだ。だからルイの傍に居たい」

「ツカサくん、それって

「好きだぞ、ルイ」

「本当に??嘘じゃない??僕まだ眠ってるとかじゃ?」

「起きてる、現実だ」

「そうそうなんだ僕も、ツカサくん、僕も好きだよ。離れたくない帰って欲しくなかったんだ。ごめん、冷たい態度とって。嫌だよ、行かないで」

「全く。それならそんなもの研究しなければ良かっただろう?」

「だって向こうの世界の恋人が待ってるんじゃないかと思ったら僕の事は選んでもらえないんだろうなって」


寝たままのルイに抱きついた司を更に抱き寄せてルイは自信なさげに零す。
そこからさらに抱きつき司はこう答えた。

「そんな居るかもわからん相手に嫉妬するな。オレはルイしか好きじゃないぞ??だからもうこの研究はおしまいだ。ずっと放置されてて寂しかったんだぞ!オレに構え!」

「そっかぁ〜僕もツカサくんと眠れないの辛かったなねぇ、入ってきてよ」

布団をそっと持ち上げて誘う。
司は少し目を見開いたあと嬉しそうにベットへと上がり込みルイが抱きしめやすいように抱きつき収まった。

「ツカサくん僕は君に謝らなくちゃならないんだ」

「元の世界に戻る研究のではなく?」

「うん僕は、君を独り占めしたくて、翻訳魔術を君にかけなかった」

「あれは本人にしかかけられないのではないんだな」

「僕しか扱えないけど他人にかけることも可能だよ」

「ふむ。そうだったのかでは1つだけお願いしてもいいか?」

「迷惑かけっぱなしだからね。いいよ」

「文字を読むのだけ翻訳魔術をかけてくれないか?」

「読むだけ?全てではなくて?」

「あぁ。オレはここで生きていくと決めたからな。言葉は自力で覚えようと思う。だからルイも翻訳魔術を使うんじゃなくてそっちの言葉で会話して欲しい。ちょっとズルだが読み書きくらいは魔術に頼ってもいいだろう?」

「フフっツカサくん君って人は

「ん?」

「益々好きになってしまったよ。分かった。僕が元気になったら翻訳魔術をかけるよ。言葉も僕が教える。ね?いいでしょう?」

2人は抱き合いながらこれからの話に花を咲かせた。
きっと2人なら乗り越えられる。

果たして司がどのくらいで言語を習得したかはまた別のお話で




☆★☆★☆

後日―――

あれから研究していた元の世界に戻る魔法陣は破棄されたと思いきやまさかの研究が続行されてなんと異世界と行き来できる魔法陣へと進化を遂げていた。

「じゃーん!ツカサくん!どうだい!?これなら元の世界に戻ってもこっちの世界に帰ってこられるよ!!」

「う、うむ確かに凄いが万が一ミスがあってオレがこっちに戻れなくなったらどうする?」

ルイの膝の上に座りぎゅぅと抱きしめている司は片時も離れたくないのか上目遣いで魔法陣について言及する。

「うーん。その可能性がゼロとは言いきれないんだよね。なにか向こうと連絡が取れればいいんだけれどそうだ!司くんが持ってたあの板!」

「スマホのことか?」

「あれは遠くにいる人と連絡が取れるものなんだろう?」

「ああ、そうだが?」

「今度はそれを開発するよ。それを向こう側の誰かに拾ってもらって会話出来れば万が一向こうの世界に行って何かあっても連絡は取れるだろう?」

「なるほどさすが天才魔術師だな!」

「お褒めに預かり光栄です。と言いたいんだけれどまだ出来てないからね」

そんなやり取りを行っていたはずなのに数日後にはそれを完成させてきたルイはやはり天才なのだと司は思った。


「きゃっ!急になにか降ってきた??」

「さき!」

「え?お兄ちゃん!?」

「さき!オレは無事だ!!」

「もしかしてこの板から声が聞こえてる?お兄ちゃん?」

「そうだぞ、咲希。もしかしたら会えるかもしれない。そっちに行くことも出来るかもしれん。それまでその板をもっていてくれ」

「ちょ、ちょっと!お兄ちゃん!今どこにいるの?行くことってどういうことなの?」

「お試しだから長くは話せないんだすまん。そっちに戻れたら話すから!オレはいつでも連絡が取れるように持っているからな!何かあったらそのボタンを押してくれ!じゃあまたな!」

司のは板ではなくハックマナイトという薄紫の宝石のネックレスを首からつけていた。
それを握るとルイの持っている板と咲希の持っている板に連絡をとることができる。
当然こめられる魔力量が少ないので長時間の連絡は難しいが製作者のルイにだけは位置情報が分かるようになっているため身につけていた。
これさえあればどこで迷子になっても連絡が取れて助けることが出来るだろう?と身につけられる物として手渡された。
通信しなくてもルイからの初めての贈り物に司は嬉しくて常に身につけるようになる。

「それじゃあもう少しツカサくんのそれ改良したら向こうに渡ってみようか」

「あぁ!よろしく頼むぞ!」