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青
2025-04-19 16:51:44
1401文字
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射干玉の
現パロライシュロ。
短髪シュ。
きみの髪はきれいだ、と言われた。
彼の家は古い家系だとかで、男子であっても髪をなるべく伸ばすよう育てられてきた。弟たちも皆、肩より下までは長い。縁起が良いとか、霊力が宿るとか言われているし、あえて反抗して短くするという発想は無かった。彼はもう大人になったが、今もそれで何となく伸ばしたままにしている。普段は縛っているが、解けば腰のあたりまである。
これは変わったものが好きだから、その髪も珍しがられた一因であろう。大学生になったある日、向こうから声をかけてきた相手は、全く彼の人生の中には今まで存在し得なかったタイプの男だった。
金色のきらきらした瞳が彼を見つめ、髪に触れる。俺は好きだよ、と言うその笑顔に、彼はふと心の何処かが冴え冴えと冷えてゆくのを感じていた。珍しいものだから、見た事がない外国のものだから。きっと自分にはそれだけの価値しかない。今でこそ何処へ行くにもついて行きたがるが、興味を失ったらもう目もくれなくなるだろう。今まで、父親と比べられては、跡取り息子として周囲にあれこれ難癖をつけられてきた。彼には自分の価値が何処にあるか解らない。この男にとって美しいと思うものがそれなら、きっとそれだけの事だ。
過度な期待はしたくない。いつか自分は、珍しいものではなくなってしまう。それならいっそ、早く終わらせた方がいい。鬱陶しいほど自分を好きだという男。最初から居なかったと思って、変わらない日々を暮らせばいい。
「ど、どうしたの?」
予想通りショックを受けていた。
長かった髪をばっさりと切り落とし、うなじが少し寒いくらいだ。自分でも違和感がある。
「別に
……
暑いからな」
「そうなんだ
……
失恋したとかじゃなくて?」
「なんでそうなる」
「違うんだ? なら良かった、きみにまた新しく好きな人でも出来たのかと思って」
失恋した事はあるし、この男が知っているのは癪ではあるが、相手が他ならぬこの男の実妹なので仕方がない。しかしそれもかなり前の事で、確かに失恋がきっかけの断髪ならもうとっくに切っている。
「
……
お前の好みじゃなくなって悪かったな」
「え?」
自分で決めた事とはいえ、彼も流石に心が痛まないではない。しかしこれで愛想が尽きたというのなら、所詮はそれまでの縁だったに違いない。
これで己が傷ついたりはしない。がっかりされる事や、期待外れだという顔をされる事には、子供の頃から慣れている。
男は暫くぽかんとしていたが、やがて首を捻って言った。
「うーん
……
そりゃ長い髪はきれいだったけど。でも、そっちも似合うよ」
「
……
」
「何か嫌な事があって切ったんじゃなくて良かった。首のところ触っていい?」
「や、めろ、ぅわっ」
許可を得ないまま触られた。くすぐったくて身を竦める。
「ふふ。猫みたいな手触りだ。涼しい?」
「
……
」
頬に血が上る。
どうやら彼は、恐らく、思い違いをしていたらしい。
頭は随分軽くなったが、まだひどく熱い、とは言えなかった。
「もうずっとその感じにするの?」
「いや
……
また伸ばす
……
」
「そう! じゃ、一カ月ごとくらいで写真撮らせてくれないかい? 伸びてくところも見たい」
「多分、年単位かかるぞ」
「え、うん、だから観察したいんだけど
……
」
「
……
っ」
「俺なにか変な事言った? あ、待って、もう一回触らせて」
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