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望月 鏡翠
2025-04-18 22:31:40
851文字
Public
日課
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#1695 「異土」「化三人七」「手料理」
#毎日最低800文字のSSを書く/三題話
容貌が醜いと人の世では生きにくくなるらしい。
人は群れで生きることを前提とする、弱い種族だ。その群れを中身に異物が混ざることを嫌い、同じ属性で揃えようとする。種族として環境変化に適応することを考えれば、同じ要素で揃えるよりも様々な種類がいた方がいいはずだ。人にもその知識があるはずなのだが、自分たちが作る共同体の中に、それを適応できるのかどうかは別だ。
かくして、他と違う外見特徴を持って生まれた彼女は生まれたときから忌み子として嫌われてきた。皮膚の一部が硬くなり鱗のように見えたから、爬虫類の血を引いているのだと囁かれた。毛が生えていないから隠すこともできず、頭巾を被って頭を隠す姿はどこにいても、遠目で彼女と知れた。
化三人七とは彼女のためにあるような言葉であった。その外見はまさに、化け物の要素が三割、人が七割であった。街を歩けば石を投げられる。奴隷のように働かされる。そして、誰にも微笑まれることがない。
趣味で人の生活を覗き見ることがあった私にはそれがあまりに哀れに見えた。私は彼女を拾って、自分の家に引き取ることにした。人の世界で、家族でさえもその行方を気にしなかった。
異土に置いて、彼女の外見の違いなど些細なことだった。ここは人ならざるものが住まう領域である。体の一部を人に変えるなどは、流行り廃りのあるおしゃれの一部でしかなかった。むしろ彼女の外見は、人に化けるのがうまいなぁという周りからの羨望を集める存在だった。
最初は、どうせ化け物だから化け物に食べられたって構いやしないという卑屈から、外に出ていた。しかし出かけるために住民に褒められることで自信を取り戻し、表情の明るい前向きな性格に変化していった。
今ではすっかり街の人気者である。人という新たな住人を加えて、私たちの群れは更に良くなった。
彼女は今人里にいたときに身につけた技能を生かして、小料理屋を営んでいる。体つきが自由気ままだから、店作りに苦労しているが人の世界の手料理は皆を楽しませている。
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