ぶんどき
2025-04-14 22:28:21
1090文字
Public TRPG
 

君のもの

レプ葬 現行未通過❌
シナリオ後の自陣の夏の話。

HO怪盗:黒曜(こくよう)
HO贋作師:皙(なつめ)

 これは、黒曜が皙の手によって新たに生み出されてから初めての夏のこと。
「いや〜、外は熱いねぇ」
 黒曜は長いボルドーの髪を上で一つに束ねるとシャツの襟をつまみ、ぱたぱたと自身に風を送った。外から帰ってきて冷房をつけたばかりだ、まだ部屋はちっとも涼しくない。
「そうですね」
 あとに続くようにリビングに入ってきた皙は黒曜のポニーテールの隙間から覗くうなじを見て、はたと何かに気づき「あれ、」と声を漏らした。
「皙、どうかした?」
……少し、じっとしててください」
「うん? わかった」
 皙は黒曜の髪をよけ、露わになったうなじをじっと見つめる。かと思うと眉をひそめ、様々な感情が入り交じったような複雑な表情をしてみせた。
……まさか、そんなことが……
「蚊でもとまってた?」
 振り返った黒曜は皙のなんとも言えない表情に首を傾げた。
「いえ……あなたのうなじに、小さな痣を見つけて……
「痣? そんなところ、いつの間につけたんだろ」
 黒曜は自分で首の後ろを擦ってみるが触ってもわからないし自分で確認する術もない。
「その、よく見たら、見覚えがあって……
「見覚え?」
「僕の……サインに似てるなって……
……サインってあの、絵に書くやつ?」
 皙はゆっくりと頷いた。まだ信じられないとでも言うように。
「あなたを描き終えたあと、確かにサインも書きましたが……
 そんなところに痣として残ってるなんて。少し気まずそうに目を逸らす皙とは対照的に黒曜は上機嫌だった。
……へぇ。それ、俺は皙のものだっていう証みたいですっごくイイ」
 黒曜は皙がつけている黒いチョーカーの真珠の部分を人差し指で撫でると、目を細めくちびるの端を上げた。
「これは皙は俺のものっていう証だけどね?」
「へ、変なこと言わないでください……っ」
「違うの?」
 そのチョーカーは以前黒曜が贈ったものだ。皙がなんだかんだ身につけていてくれるのを黒曜も知っていた。
「皙は俺が盗んだお宝で、俺は皙に描かれた作品だ。証拠なんてなくても事実は事実だけど、こうして目に見える形で存在してるのも嬉しいねぇ」
 黒曜は流れるような動作で皙を抱きすくめる。
「っ、汗、かいている、ので……
「じゃあ一緒にお風呂入る?」
 耳元でこっそり囁けば皙の頬がみるみるうちに紅潮する。それは暑さからなのか、それとも。
「入りませんっ」
「ちぇ〜」
 黒曜はパッと手を離し皙を解放する。風呂場へと足早に去っていく皙を見送りながら、ソファに横になり部屋が涼しくなるのを待った。もう一度、自身のうなじに手を当てて。