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熾月
2025-04-14 16:21:46
1283文字
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サンプル
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【サンプル】宇宙から見た二人
2025年5月4日超REC.ingON! 2025で頒布予定の帝→ひかを見守るコスモとRe:Flyのとある一日を詰め込んだ短編集です。
「あの二人はいったいいつになったら自分たちの気持ちに気付くんですかね」
暦の上では春だというのに、まだそんな気配なんてどこにもないとある日の午後。
久しぶりにユニットメンバーで晩御飯でもという話になり、立夏とそしてちょうどこちらの寮に用事があったという特待生さんがやってきたのはつい先ほどのこと。
独り言にも似た私の問いかけに、隣の立夏は「あの二人?」と首を傾げる。
どうやらこちらの意図が上手いこと伝わっていないらしい。名前も出さずにいきなりあの二人、ではそれはそうかと思う。
「あの二人ですよ」
視線を立夏から件の二人
――
なにやら仲良く話している帝と特待生さんへ移す。
立夏も視線の先を追えば、ああと納得した声が聞こえる。
「帝は無意識だし特待生はそこらへん鈍そうだよな。恋愛経験がなさそうというか、恋愛ごとを自分のこととして捉えられないというか」
「そうですね。特待生さんの以前の学校生活を知りませんが、ここに来てからの彼女はずっと声優になるための道のりを駆けているわけですから、そもそもそちらの方面へアンテナを張っていないようですし今はその余裕もなさそうですしね。それにもし帝が好意を意識して特待生さんへアプローチしたとしてもアンテナを張っていない彼女はそれを演技の練習としか捉えない可能性もあります」
「そこなんだよな。帝の場合本気でそう言っているのかそれとも演技なのかという線引きが難しいし、特待生に演技ですか? なんて言われたら最悪、あいつはそうだと言いそうな気配すらある」
「そうなると始末が悪いですね。そうなる前に私たちがどうにかすべきだと思うのですよ」
にこりと微笑むと立夏は苦みを混ぜた笑みを浮かべる。
「そういうのは当人同士でどうにかすべきところだと思うけどな」
「でも立夏だって帝がフラれて泣くところは見たくないでしょう?」
「帝がフラれて泣くとは思えないが、まあ、あまり見たいとは思わないな」
「でしょう? それに私の勘では帝はおそらく恋愛レベル0です」
「なんだそのレベル」
立夏の呆れたため息を聞きながら続ける。
「言った通りですよ。そして付け加えるなら童貞です」
「ユニットメンバーのそんな超プライベートな情報はいらない」
今度はもっと大きなため息を吐き出して、それでも立夏は話を切り上げようとはしない。
こういう面倒見がいいところが立夏のいいところでもあり苦労するところなんでしょうね。
「恋愛経験が殆どない帝とそもそも恋愛に対してアンテナを張っていない特待生さん。どう考えても誰かが背中を押さなければ一生平行線のままだと思いませんか?」
「お節介だと思うのは俺だけか?」
「じれったいと思うのは私だけですか?」
質問に質問で返すのはよくないのはわかっていても、それでもあえて投げかける。
きっと立夏もそう思っているだろう、と感じて。
今日三度目のため息を吐き出して、立夏はようやく答える。
「背中を押すのもほどほどにしておけよ」
「ふふ、わかってますよ」
本当にわかってるのか? と呆れた声を出して立夏の視線は途切れた。
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