haruon1018
2025-04-14 13:12:56
3291文字
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某昭和初期舞台漫画パロディー 3

ちょこちょこ書いてます。
次回はバトルシーンがあるので頑張ります。
※二番隊長さんが八番隊長さん好きな描写があります
※イマジナリーtksgパパが息子溺愛してます。

「どうでしょうか、高杉様」
 稽古に付き合ってほしいと阿国に呼び出されたが天賦の才能を持つ彼女に指摘箇所はない。
「どうと云われても僕が阿国君に教えることは何もないよ」
 二週間ほど前、水劇に新しく人魚希望の少女が水劇の門を叩いた。
 明るい榛色の中に白毛の筋が特徴的な少女は阿国と名乗り、入団テストで舞を披露してみせろと云われると、団員全員から喝采を受けた。
 陸での舞なら淑女の教養として踊れる娘は多いが、水の抵抗がある水劇の舞を最初から完璧に踊れる娘はほとんどいない。
 しかし阿国は、たやすくそれをやったどころか誰にも負けない舞を披露した。
 大陸の飴細工のような髪をしているからもしや他所の国から来たのではと晋作が首を傾げていると、
「シークレット、昔取った杵柄というヤツです」
 と阿国は笑うだけだった。
 本来なら見習い期間を得て、デビューするのが水劇の習わしだが阿国は早々に舞台に立つことになった。
 たった二週間で春風と人気を二分するほどまで有名となった阿国だが、春風を蹴散らそうとはせず寧ろ、春風の正体である晋作にあれこれと理由を付けて話しかけてくる。
 機械に頼りがちな春風の舞を褒めてくれる阿国に晋作も阿国とのお喋りを楽しんでいるが、敬称を付けられるとむず痒い。
 せめて先輩くらいにして貰えないか頼んだが「高杉様は上座、大それた事は出来ません」と首を振られた。
 上座に座っていたのはたまたまだと口にしても、阿国は違うと繰り返すばかりで埒があかず、様付けを許した。
「そうでしょうか、高杉様のメカニックの腕は天才、阿国の舞とフューチャーすればお客様の皆様が感動することは必定だと思うのですが」
「菊舞を改造してみるよ、阿国君くらいだよ機械そのものに感動してくれたのは」
「森様はなんと」
「踊りは良かったって褒めてくれたよ、しかしびっくりだな君と森君が知り合いだなんて」
「昔、宴に呼ばれまして、高杉様」
「えッ、ああなんでもないよ、森君の薬がそろそろ切れてきたのかな最近妙に疲れるんだよね」
「それは……高杉様、渡した本はどこまで読みましたか」
「全部読んだけど、覇族が出てくる物語だよね、面白かったよ」
 阿国が是非に読んで欲しいと高杉に渡された幻想小説は、覇族という一族の歴史や能力、階級が書かれており、とても興味深い話だった。
「それは良かった、余計なお世話かもしれませんが知らずにあちらに行っても困るのは高杉様ですからね」
「阿国君?で、宴ってことはやはり森君の家は相当なお金持ちなのか」
「そうですね、どうして知りたいのですか」
「いやその……最近ご無沙汰しているけどしょっちゅう通ってくれたから」
 ここから連れ出してやると長可は口説いてくれたが、それ以来ぱったりと晋作の前に顔を出さない
役者を一人身請けするとなると相当な金が動く、女性ならまだしも男となれば噂も立つ。
 何か理由を付けられここには、もうこないのではないかと不安な日々を過ごす晋作に阿国が大きくため息を漏らす。
「焦らすのは結構ですが、ちゃんとアフターフォローもしないと、これだから殿方は」
「どういうこと?」
「高杉様、森様は間違いなく貴方にぞっこんラブというやつです、ここに来るときにどれほど惚気話を聞かされたか、」
「僕の身請け話知っているの」
「ええ、ここの座長には勿論、黙っていますよ」
 阿国は一旦気持ちを落ち着かせるように深く息を吸うと可愛らしい笑顔を晋作に振りまいた。
「待つだけというのは辛いでしょうが、それまで阿国が色々と教えて差し上げますからね」「う、うん、よろしく頼むよ」
 話が見えない高杉が頷くしかなかったが、阿国ははい、請求は森様に回しますのでと更に微笑んだ。
 *
「よう、お前とうとう弟分持つんだってな」
 高杉の親と話を付けてきた帰り道、顔見知りが声をかけてきた。
「あ、じじいか、どうしてここにいる」
 揃いのだんだら羽織を纏わず、袴姿でいる永倉は同じ南部の覇人だ。
「今は武田の大将に世話になってるんだよ、」
 組はそれぞれ縄張り意識が強いので、会議でもない限り上座といえども他所に出歩かない。「ほーん、よく許して貰えたな、勝手に局を抜けるべからずだっけか」
「正当な理由があれば良いんだよ、うちの斎藤も一回抜けてる……痛いところ突くな」
「そいつは悪かった、」
 血の気が多いので会えば挨拶代わりに殴り合いに発展するが今日はお互い気分ではないらしい。
 恐らく永倉が西部に身を置いているのは、南部の新撰組から抜け出した藤堂が気になるのだろう。
「なんだ揃ってるのか、丁度いい、付き合え」
「またジジイが出てきやがった」
「クソガキ、そんな口きいて良いと思ってるのか、お前の弟分はうちの親戚筋だぞ」
 派手な赤いスーツ姿で颯爽と登場したのは西部の座長、武田だ。
「だからどうした、あと晋作は弟分にするがオレの伴侶だ」
「知っている、俺もたまたまその家に用があったからな、聞こえていた」
「趣味悪いな……
 順番を踏んで挨拶したつもりだったが、ようやく見つかった我が子がすぐと嫁入りすると聞かされた晋作の父親は泡を吹いた後、色々と難癖を付けてきたがその度に長可は打ち返し、嫁にする承諾を貰えた。
 別に囲うつもりはない、晋作が実家に行きたいと云えば連れて行くつもりだ。
 だだ帰したりはしないだけだ。
「何とでも云え、仲人は務めてやる、」
 行くぞと武田は長可達を手招きすると、妓楼へ向かった。

「それで決行はいつだ」
 西部一の妓楼はさすが贅を尽くしている上に女の質も良い。
 武田は空いている部屋で良いと云ったが、座長相手に楼主が適当な部屋に案内するはずもなく一等いい部屋に案内された。
「うちの領分だ、手出しするな」
「そうカッカするな話が進まん、手出しはしない、本当に一人で攫うつもりか」
「雑魚が何人いようと関係ねぇ、阿国がいるから晋作の安全は保障されてる」
「その辺のフォローは出来るのな、なんだよ活劇みたく横抱きにして駆け落ちでもするかと思ったぜ」
 妓楼に女は付きものだが、最初の酒を注がせると席を外させた。
「そうするに決まってるだろ、あいつ身体が弱いからここまで来るまでへばるだろうし」
……大将、俺まだ馬に蹴られたくねぇ」
「新八は見かけによらずロマンがあるからな、」
「揶揄うなら表に出ろ、」
「そのつもりはなかった、水劇を襲うとなれば覇族の存在が外に漏れるとも限らん」
「殺すのは雑魚とその周りだ、女には手を出さねぇ。経営のツメも甘いからその辺を警察に吹き込めば動くだろう」
 元々前の経営者を騙して居座っている混じりが見様見真似で水劇の経営を回している。
 長可は、隙を見てこっそり帳簿を覗けば今の状況を維持するのにもって半年までに落ち込んでいた。
 さらに賭博にも手を出したので益々金がなくなっていく。
 晋作が身体が弱いのは本人の体質もあるだろうが、明らかに赤紗不足から来る体調不良だ。恐らく何処かに横流ししているのだろう。
 考えるだけで腹が立った長可はつい盃を持つ手に力が入る。
「酒は飲むもんだ、呷っておけ」
「っ……その後の運営も阿国に継がせるから問題はねぇはずだ」
 信長もそうだが覇族の女の一部には老いを知らない女が出てくる。
 阿国もその一人であの見た目だが長可より随分上で、ここ十年ほどは組で活動していたが、かつては外界の水劇や劇場で花形女優を務めていた。
 人の人気は移ろいやすく、当時は写真などなかったからもう外に出ても大丈夫だと快く話に乗ってくれた。
「それなら良い、うちの新八を貸そうかと思ったが心配なさそうだ」
「心配される覚えはないけどな、」
「老婆心ってやつだよ、お前の親父には世話になったからな」
「そうかよ、そろそろ大殿のところに戻らねぇと、じゃあな」
 話すことは全て話したと長可が立ち上がると、武田と永倉は引き留めたりせずに酒を呑みながら、手を振った。