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望月 鏡翠
2025-04-13 23:38:06
956文字
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日課
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#1688 「報午球」「バドミントン」「疾く」
#毎日最低800文字のSSを書く/三題話
規則的に音がなる。その度に、白い羽が宙を舞う。
行方を目で追うと、落下してきた羽はラケットに叩き上げられて、また宙を舞った。その音は時計のように一定していて、聞いていると眠気を催す。子守唄のように聞こえてくるのだ。
この男は去年から、外国から入ってきた新しいスポーツにのめり込んでいる。バドミントンというらしい。俺はしばらくそれを見つめていたが、やがて石の上に大の字になり、目を閉じた。
「眠るんなら、ラリーの相手をしてくれよ」
友人の言葉が聞こえないように寝返りを打った。羽付に興味はない。道具と名前が西洋風になったとしても、それは正月にしかしないものだ。
本当はそれは二人か四人で対戦するものらしい。対戦相手がいないから、こいつはひなが一日空に向かって、羽を打ち上げて落ちてきたところをまた弾き上げるという規則的な動きを繰り返しているのだ。
試合の相手は太陽。
今のところ、全敗。羽を取り逃がして落としたものが負けというのなら、空に勝てることはない。この世にある物事が、天に向かって落ちていくことなどあり得ないからだ。
港に立つ報午球も、重力に引っ張られて天辺から地面に落ちる。
あれの登場で、時報はその役割を終えた。電波とやらを受けて時間を測っているらしい。
世界は少しずつ変化しているのだ。もしかしたら、来年あたりには剣道よりも球を叩く遊びの方が人気になって、運動場でこんなふうにラケットを振る人間がたくさん出てくるのかもしれない。
頭が硬くて変化が苦手な俺は、きっとその流れについていけない。たぶん大人になる頃には爺さんたちのように、時代遅れの代物になって街で疎まれるようになるんだろう。
時代はどんどんと駆け足になる。疾く走れと、その時代に生きる人たちをせき立てる。
ゆっくりと起き上がる。
「やるか?」
「正午になるまでなら、付き合う」
ずっと一人でバドミントンをしていたから一本しか使われることがなかったラケットがようやく日の目を浴びたらしい。
「やり方、わからないんだから、教えてくれよ」
「任せてくれ。教えるのは得意なんだ」
空に上がったものは地面に落ちる。それがどうりだ。時代が走れと声を上げているのなら、俺も少しこの波に乗って走ってみることにしよう。
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