限界馬鹿夢女
2025-04-13 20:35:19
3045文字
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ヤツユリのはじまり その2(まだ続く🫨)

キリがいいので取り急ぎ一旦‼️🫨🫨🫨🫨🫨
名前回です。
この後色々まだやりたいことあるのでまだ続きます🫨🫨🫨
今回はうちよそ要素無しだけど次回こそやるぞ

 ⚠️
 前回のつづき
 ヤツフサくん視点
 名前編



 前回までのあらすじ
 かつて自分(イイネイヌ)のことを「上比下貧(爆笑)」と煽ってきた『魔物』とようやく再会できたと思ったら、魔物は年不相応な色香を漂わせる『魔性』へと進化していた。






「お前に俺の『家族』になってほしくて来た」



……え?」

 かつての魔物は、魔性への進化していた。

……え?」

(な、何があった……?)

 いやいやおかしいおかしいおかしい!!!!
 俺の知っているこいつは、こんな顔をするような奴じゃない!!
 俺に向かって邪悪な笑みを浮かべて、惨たらしい言葉を俺に吐き捨てて、俺を完膚なきまで叩きのめして、それで、それで……
 ……ッは!もしかして“偽者”か!?
 あの魔物を騙る偽者か!?それか幻影を見せるポケモンが襲撃してきたのか!?

 混乱する頭を抑えながら、静かに鼻をくんとさせ、あの時の魔物の匂いと目の前の魔性の匂いが同じかどうかを確認する。
 例え幻影が魔物の足音を騙ることが出来ても、匂いだけは騙ることは出来ない。
 あの時、魔物が俺の顔を覗き込んだときに魔物の匂いは覚えた。
 だから、もしかしたら

……

(同じだ)

(あの時の魔物の匂いと目の前の魔性の匂い、同じだ……ッ!)

 つまり目の前の魔性は、あの時の魔物と同一人物。

 ……頭がおかしくなる。
 かつて、俺に向かって邪悪な笑みを向けて嘲笑ってきたあの魔物と、今現在俺に向かって「家族になってほしい」と色香を漂わせて優しく微笑んでいる魔性が、同一人物だって?
 
 言葉が出ない。

 俺は、あの時の魔物を完膚なきまで叩きのめしてリベンジを果たすために頑張ってきたのに、こんな、こんな『か弱いメス』みたいなやつを叩きのめすつもりで鍛えたわけじゃ

……へへ」

「〜〜……ッッッッ!!」

 おかしい、心臓が痛い。なんでだ?
 なんで、こんなに心が苦しいんだ。

 なんで、なんで

 目の前の“少年”から、目が離せないんだ。

……おーい?イイネイヌ?」
「ぁ……
「あのさ、俺お前と家族になりたくて、そんで会いにきたんだけど、家族になってくれる……?」
「ぁ、あぁ……?」
「!家族になってくれるってことか!?わ、えへへ……っ」
「ぇ……?」
「お前ならダークボールが似合うと思うんだけど……あっ!?こらドロバンコ!それ俺のダークボール!お前らのおもちゃじゃな!?あ"!?……野生のドロバンコたちに希少なダークボール踏み壊された……もう残ってない……
……
……モンスターボールしか残ってない……ごめんイイネイヌ、ちょっと出直してまた来る……ぐずっ」

(待て)

(待てよ)

(出直すってなんだよ)

(『また来る』ってなんだよ)

(せっかく)


(せっかくまた会えたのに!!!!!)


「待てよクソガキッッッッ!!!」
「え!?」

 ポン……

 ……
 ……
 ………

 カチッ!



 こうして、俺はクソガキさまの『家族』に加わった。



 ◽︎



「出ておいで、イイネイヌ」

 ぽんっ

……

 あの時、悲しそうな顔をして俺の元を去ろうとした少年に思わず手を伸ばしたときに、少年が持っていた赤い珠こと『モンスターボール』とやらに触れてしまい、どういう仕組みかはよくわからないが……どうやら俺は正式に少年の『家族』とやらになってしまったようだ。
(あの直後間髪入れずに“妹さま”がやってきて「ヨクナイヌの毒の鎖は物騒だからね♡」と俺の身体に色々何か細工をして、クソガキさまと碌に会話をする前に強制的にクソガキさまの『番犬』に生まれ変わったのは、それはまた別の話)

「えっと、その……
……
「驚いた、まさかお前の方からモンスターボールに入るだなんて。……俺、バッジの数がまだまだ少ないし、レベル70のお前はモンスターボールだと絶対に入ってくれないと思っていたから……
……
「それで、えっと、……あ!そうだ!名前!お前に名前つけなきゃ」
……は?」

 名前?何を言っているんだこの少年は。
 俺の名前は『イイネイヌ』、坊ちゃんから貰った名前の『イイネイヌ』だ。
 その名を捨てろって言うのか、こいつは。

 俺の顔が険しくなったのを察知したのか、少年は慌てたように俺に語りかける。

「あ!違う違う!別に『イイネイヌ』の名前を捨てろってわけじゃないんだ。ただ、俺の家族には本名とは別で俺が新しい名前をつけるのが習わし?だから、その……あ!そうだ!出ておいで『ぽにこ』!」

 そう言って少年は碧の珠を懐から取り出し、宙に向かって放り投げた。
 その碧の珠から現れたのは。

……がお」

……っ!?は、まじかよ……ッッ!?」

 オーガポンだった。

「あの後、オーガポンが俺の家族に加わってくれたんだ。俺は『ぽにこ』って呼んでる」
……がおっ」

 少年は“ぽにこ”の頭を愛おしそうに撫でる。
 一方、ぽにこと呼ばれたオーガポンは俺に対して警戒心を剥き出しにして、俺から少年を護るかのように少年の足に抱きついている。

「でも、ぽにこはオーガポンで、オーガポンはぽにこ、そしてぽにこにオーガポンの名前は絶対に捨てさせない……上手く言えないけど、だって『オーガポン』はオーガポンの“大切な人”からの呼び名だから」
「ぽに」

 ……は?何が言いたいんだ……?こいつは……
 それと俺になんの関係がある?

 俺の顔が更に険しくなり、それを見たオーガポンが棍棒を手にしたのをすぐさま察知したのか、少年は「ぽにこ、ありがとう」と言ってオーガポンを碧の球体に戻し、俺に歩み寄ってきて俺の目をまっすぐに見つめながらこう言った。

「だから、きっと、お前の、『イイネイヌ』の名前もそうなんだろ?誰かからの贈り物で、特別な名前。それを俺が軽率に使ってお前のことを呼ぶ訳にはいかないよ」

「あ……!」



 この少年、気がついている。
 俺の名前が、『イイネイヌ』が、特別なものだって。



「だから、その、『イイネイヌ』とは別に新しい名前を、俺からお前に贈りたくて、その、……駄目か?」

 少年はぎこちない笑顔で俺に問う。
 目の前の少年に、あの時の『魔物』の面影は一切無かった。

……はぁ」

……好きに呼べよ、俺のこと」
……!それって!」

 俺が言葉を発すると、途端に少年は花を咲かせたような笑顔を見せた。
 白い肌に、ほんのりと桃色の色を咲かせて。
 そう、まるで、百合の花のような。

 その笑顔を見た瞬間、なぜか心臓がどきっとしたので、思わず顔を背けて乱暴に言葉をつづけた。

「ただし、変な名前つけたら叩き潰すからな、クソガキ」
「わ……!へへっ……!それならさ、俺、故郷にいた頃に読んでいた物語があるんだけど……
「?」


 あの時、クソガキさまはこう語った。

「『ヒトのお姫様』に恋をした『いぬの家臣』が、お姫様を娶ってはじまる物語、俺だいすきなんだ」


 その『いぬの家臣』の名前が、今の俺の名前である



 “ヤツフサ”



 なんだってさ




 つづく






余談ですがぽにこのボールは『フレンドボール』です。
だから『碧の珠』