はな
2025-04-13 08:46:50
1170文字
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夜半の愛し子

狼ウルが狼ジミーの愚痴を寝しなに聞く話(デウ、ウェジミ前提)

【お話を読む前に】
 狼ジミーは赤ずきんデと狼ウルの子どもという設定です。
























「俺は狼なのに」

 ぴるっ、と不機嫌そうにジェームズの片耳が動いた。寝しなの不機嫌な我が子の声に、ローガンはベッドの中でわずかに肩をすくめた。
 最近、ウェイドがいない日を狙って己のベッドに潜り込んでくるかと思えば、これである。
 そうして二言目には、あの名前が出るのだ。

「ウィルソンが子猫子猫ってうるさい……

 やっぱりな──今度はローガンの三角の耳がぴるる、と動く番だった。
 ウィルソンというのは、最近ジェームズの周りをうろつく猟師である。猟師ではあるが、狩猟目的でうろついているのではない。しかし彼にとってジェームズは獲物に違いなかった。
 子猫か──ローガンは小さく息を吐いた。
 有り体にいえば、ジェームズはウィルソンに口説かれているのだ。
 けれど悲しいかな、ジェームズは成人しているというのに、そういった色恋沙汰にはてんで疎かった。これに関しては、今なお子離れできないウェイドが過保護に育ててしまったので仕方がない。
 今夜も口を開けばウィルソンが、ウィルソンが、ウィルソンが──と彼の秋波を悪意と受け取っているジェームズの文句は止まらない。
 幼い頃は体が弱く、折れっぱなしだった柔い耳が、今は怒りで膨張してボワボワと逆立っている。きっと尻尾もとんでもないほど膨らんでいるだろう。
 ローガンは宥めるようにジェームズの耳を舐めてやりながら、あと何回、こうして毛繕いしてやれるのかとぼんやり思った。
 ジェームズがこんなにも誰かのことを話すのは、初めてのことだった。ほとんど文句ばかりだが、出会ったばかりの頃なんてそんなものだろう。事実、自分もウェイドに対してそうだった。思い返して肩をすくめる。
 たぶん、おそらく。遠くないうちにジェームズは家を出るという予感がローガンにはあった。そしてそのとき、こうして毛繕いしてやるのは、己ではない。
 ジェームズの隣には、きっと──。

「──も…………、」

 ジェームズの回らぬ口調でローガンは我に返った。どうやら長い間毛繕いしていたらしい。耳はしっとりしており、ジェームズは半分眠った状態だ。
 もう舐めなくていい、と力の入らぬ手で胸を押してくる我が子に目を細める。幼い頃から、耳を舐めるとむずがるところは変わらない。

「──まだ、もう少し舐めさせてくれ」

 まるで赤ん坊に話しかけるような柔らかい声が出て、内心苦笑した。ウェイドに子離れしろ、とさんざん言っているくせに、自分がこれとは。
 ローガンはジェームズの鼻先にキスを落とし、力なく伏せられた耳をさり、と優しく舐めた。

 ──まだ、もう少し。お前につがいができるまでは。