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ぐるさん
2025-04-12 23:35:07
2163文字
Public
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4.12 ふみりかワンドロ【アイドル】
ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2025.4.12お題をお借りしました。
「理解、俺アイドルになる」
「何を言っているんですか貴方」
休日の穏やかな昼下がり、突然ふみやさんが意味不明な宣言を始めた。
「そもそも何でアイドルに?」
「効率良く金が稼げるから」
あまりにも澄んだ瞳で最低な事を言う人間が、私の想い人で恋人な事実に思わず頭を抱える。
「何だよその態度」
しかしふみやさんは、依然として自分は何も間違っていないという表情をしている。
「いやだって、急にそんな事言われたら誰だってこうなりますよ
……
」
「そんなに?」
「ふみやさんがお金大好き人間なのは一旦認めますけど、何故アイドルなんですか?」
「だって、手振ったり笑ったりするだけでお金貰えるから」
これはひどい。そうした事柄に疎い私だって分かる。それはアイドルという職業に対する偏見だと。
「
……
ふみやさん。それは浅はかすぎません?」
「何が?」
「だって、所謂アイドルと呼ばれる方々が手を振ったり笑ったりしてお給料を頂けるのは、そもそもちゃんとお仕事してるからでしょう!」
「仕事?手振るだけじゃなくて?」
「そんな訳無いでしょう!ああいった方々は、歌ったり踊ったり、何かこう色々あるでしょう!」
「あー
……
」
ふみやさんは納得したような、してないような、曖昧な表情を浮かべている。
「でも、手振るのが仕事のアイドルもいると思う」
やっぱ納得してないなこの人。
「じゃあ百歩譲ってそういうアイドルも居るとして、ふみやさんはちゃんとできるんですか?」
「もちろん」
「じゃあやって見て下さいよ。この理解お兄さんがジャッジしてあげますから」
「えぇ
……
理解ちゃんとできる?」
不服そうな顔をしながらも、ふみやさんはゆるゆると私の前に立つ。
「それじゃあ
……
とりあえずこんな感じで」
ふみやさんは両手を顔の横に広げ、穏やかに微笑みながら軽く振る。
「何と言うか、アイドルというよりご機嫌にお見送りしてる人みたいですね
……
」
「えぇ
……
うーん、それなら
……
」
ふみやさんは少し考えた後、今度は両手を胸の前に持ってきて、綺麗なハートマークを作る。
「これならアイドルっぽくない?」
ふみやさんが言いたい事は何となく分かる。確かに、そうしたポーズをするアイドル?の方々をテレビなんかで見た記憶がある。あるけれど
……
。
「何か
……
物足りない?」
口からつい、思った事が出てしまった。
「物足りない?」
「言葉で説明しづらいのですが
……
これだと単にふみやさんがハートを作ってるだけというか、これがアイドルかと聞かれると説得力に欠けるというか
……
」
「アイドルとしての説得力
……
」
私の言葉を聞いたふみやさんが、また少し考えた後、何かを思いついた表情を浮かべる。
「理解、ちょっと見てて」
言われた通りふみやさんに視線を向けると、ふみやさんは目の前で華麗なターンを決める。
こんな事が出来るのかと感心したのもつかの間、ふみやさんは片手を口元に持っていくと、そのまま指を唇に当てて、軽やかなリップ音を立てる。
「
……
えっ?」
「どう?俺の投げキッス」
「は!?」
「感想は?」
PPPPPPPPPPPPPPP!!
「うわっ、うるさ」
「ななな何て事してるんですか!?」
「アイドルっぽいかなって」
「ど、どこがアイドルですかこんなふしだらな行為!!いけません破廉恥すぎる!!」
「でも、結構こういうアイドルいるよ?」
「世も末!!」
なんと言う事だろう。アイドルとは、歌や踊りで希望を与える職業だと思っていたが、こんな破廉恥行為が横行する業界だったなんて!
「でもさ、想像してみてよ。理解」
「何をですか?」
「大きなライブ会場、満員の席」
「
……
はい」
「煌びやかに光るサイリウム、観客達の熱気が最高潮に達する中、ステージに登場する俺」
「
……
まぁ良いでしょう」
「そこで俺が観客達に向かって投げキッス
……
するとどうなると思う?」
「分かりません」
「俺に向かって飛び交う、渋沢栄一と福沢諭吉達
——
」
PPPPPPPPPPPP!!
「コラァーー!!」
「え?」
「駄目に決まってるだろーー!!」
「駄目?何で?」
「何でって、私という者が居ながら不特定多数にそんな淫らな行為が許されると思うなーー!!」
想像上とは言え、ふみやさんの振る舞いがあまりにも酷くて思わず声を荒らげてしまった。
これはいけない。ここは一度呼吸を整えて、理解お兄さんから改めてビシッと
……
。
「ハハッ」
「ふみやさん?」
「ハハハハハハッ!!」
何で急に笑ってるのこの人!
「えっ、何、どうしちゃったのふみやさん
……
?」
「理解、俺やっぱアイドル辞めるよ」
「は?」
「今思い出したんだけど、アイドルって恋愛禁止じゃん」
「ん?」
「という訳で俺は俺のままだから、これからもよろしくね。理解」
「は、はい
……
?」
ふみやさんの謎の宣言から始まった会話と想像は、上機嫌のふみやさんの言葉で打ち切られる。
あまりにも浅はかで欲に塗れた夢を捨て去るのは良い事だけど、何か引っかかるような
……
?
——
怒るポイントを間違えた事に気がつくまで、後二十分。
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