三毛田
2025-04-12 11:59:54
1102文字
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60 20. 好きなんて言えない

60日目
そう簡単には言えない。はずだった

60 20. 好きなんて言えない
〝好き〟
 その一言が、なかなか言えない。
 相手も同じ気持ちだったら嬉しいけれど、そうでなかったらショックで倒れてしまいそう。
 ある時分を境に、やたらと甘やかしてくれるし、優しくなった。
 纏う空気も柔らかく、慈愛に満ちている。晴霓を見ている時の、御空のように。
 誰の話かって? 我らが丹恒先生。
 俺の親友で、俺の一部。
〝全部お前のでいい〟とか、〝俺の一部だ〟とかさあ。
 ズルいじゃん。
 俺のことを好きです。って言ってるようなものじゃん? 別にそうでもないって?
 わかってないなぁ。
『丹恒ってさぁ、ウチらから色々貰うと同じだけ返すんじゃ飽き足らずそれにプラスして返そうとするよね』
 なのに言われ、ああ、やっぱり他ん人もそう思うんだっていう気持ちになったのが正直なところ。
『特に、穹に対しては顕著だよね』
『そ、そう?』
 誤魔化したけれど、そう言われるのはちょっとだけ嬉しかった。
 とか言ったら、そう思っているのが丹恒に知られたら。彼はどう思うのだろう。
 知りたいけれど、知るのが怖い。
 そんなだから、彼に好きだと伝えるのも怖いと言える。
「穹、どうした。元気がないな」
「そう? 元気だよ」
「そうか。それならいい」
 危ない危ない。
 色々考えすぎて、いつもより寝るのが遅かったのがバレるところだった。
 どうせ誤魔化しても、ゲームのしすぎで遅かったと思われるのがオチだけどね。
「腹が減ったら、好きにラウンジに食べに行け。俺のことは気にしなくていい」
 出た。
「頭を使うんだから、ちゃんと食べないと駄目だろ」
「だが」
 時間が惜しい。そう口にされる前に、唇にそっと指を当て言葉を封じる。
「一緒に食べよう。な?」
 そう告げると、小さく頷く。それに満足して、指を離す。
「お前は」
「ん?」
「いや、なんでもない。これを告げたら、お前を困らせてしまいそうだ」
 ちょっとだけ諦めるような表情を浮かべ、するっと俺の頬を指先で撫でて。
「っ」
 飛びついてキスしたり、キスしながら押し倒さなかったのを褒めて欲しい。
 丹恒、絶対俺のこと好きじゃん!
 その〝好き〟は、俺と同じ。
 キスしたいとか、その、エッチなこともしたいとか。
 俺を見つめる瞳には、俺と同じだけの熱量。
「丹恒」
 同じように頬を撫でると、ビクンと肩が跳ね。
「丹恒、いい?」
 頬を撫でた指を唇へと持っていくと、迷うように目を泳がせ。でも、期待に揺れる。
 好きなんじゃん、俺のこと。
 顔を近づけていくと、目を瞑って受け入れる体勢に。
 そっと口付けを。