三毛田
2025-04-11 22:05:24
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59 19. 意地っ張りは生まれつき

59日目
そう言えたらどんなによかったか

 意地を張って、素直になれないのは。生まれつき。
 そんな事を、笑って言えたらここまで拗れることはなかったはずだ。
「あんたが落ち込んでるなんて、珍しいわね」
「姫子さんも、一連の流れは見ていたはずだ」
「そうね。あんたたち、どっちも悪い。としか言いようがないわ」
 俺に護衛という役割を与えてくれた、列車のナビゲーターは苦笑して彼が駆け抜けていった方へ目を向け。
「あっちはヴェルトに任せておきなさい」
「わかりました」
「やんちゃな子って、こっちが心配してる素振りを少しでも見せると、すぐ意地を張るの。幼い頃から、そういう友人の姿をいっぱい見てきたもの」
「そう、ですか」
「男の子は少しくらい元気な方が、こっちも心配しないで済むわ。三月ちゃんはなんとか私がなだめておくから、早く仲直りしなさい」
……わかりました」
 ためらいの残る返事に苦笑して、それから客室車両へと戻っていく。
「丹恒、元気出して」
「元気だ。と答えても、お前は納得しないだろうな」
「当たり前じゃん。ずっと二人のやりとるずっと見てたもん」
 俺の言葉に、三月は唇を曲げ。
「さっさと仲直りしてきなよ」
「言われなくても」
「穹用に甘いもの。丹恒用には、甘くないのをパムに用意してもらうから」
「お前が用意するわけじゃないのか」
「ジュースしか用意できません」
「それでいい。頼んだ」
 そう告げると、目を丸くして、でも、すぐにいつもの笑顔を浮かべ。
「うん! 任せて!」
 とんっと俺の背中を軽く押して。
〝頑張れ〟と背中を押された気がした。
 パーティー車両の階段を上ると、ヴェルトさんが扉の前にいて。
 俺を見ると一つ頷き。それから、肩を叩いてから階段を下りていく。
 扉をノックする。でも、いつもなら聞こえるはずの返事はなくて。
 不安になって、心の中が重くなっていく。
「穹」
 口から出た己の声は震えていて。らしくないと、知ったしようと唇に力を込めたところで扉が開いた。
「きゅ」
 名前を呼ぶ前に抱きしめられ。恐る恐る背中に腕を回したら、さらに強く抱きしめられ。
「ごめん」
「俺も悪かった。穹、仲直りして欲しい」
「俺もそれを言おうと思ってた」
 体が離れたかと思うと、両手で頬を包まれ。それから額をこつんとくっつけられ。
「丹恒、好き」
「ああ。俺もお前が好きだ」
 好きだと口にすると、嬉しそうに笑い。
 軽く唇が触れ合う。
「三月がジュースを。パムが、おやつを用意してくれている」
「みんなにも心配かけた」
「二人で謝ろう」