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たくとろ
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ワンライ 安心できる場所
※レクライ最終話後の妄想。
めっちゃ暗いです。
新章放送前に書いてます。
昨日の放送のことは忘れてお読みください。
学園で一年を過ごしたリコの心情をひたすらに捏造してます。
セリフはあんまりない。
「リコ、おはよう」
窓から差し込む光で目が覚めて体を起こすと、隣から声がした。顔を横に向けたら、アンが明るい顔で手を振っている。ああ、そうだ。私はセキエイ学園に戻ってきたんだ。あの戦いを終えて。
「アン、おはよう」
「うん。とりあえず顔洗いに行った方がいいよ。目の下すごいし、髪もぼさぼさ」
「えっ
…
あ、ほんとだ」
手鏡をとって見てみると、自分の目元は赤くて大きな隈もできている。髪はだいばくはつって感じだ。それもそのはずだ。昨日は、全然寝れなかったから。
布団の中からマスカーニャとテブリムも顔を出した。まだ少し眠たげだから寝てていいよと言うと、私のことを不安そうに見つめてくる。そっか
…
この子たちにも心配をかけちゃってるんだ。
「大丈夫だよ。今日からまた学園生活、頑張ろうね」
笑ってみせても二匹はあんまり顔が明るくならない。私
…
そんなに上手く笑えてなかったのかな。
「リコ、授業は明日からだよ」
「えっ!そうだっけ
…
」
「うん。だから今日はしっかりはねやすめしてね。その
…
色々あったんだしさ」
アンの笑顔に陰がついた。昨日、私はアンに何があったか全部話した。思い出したら辛くて、ちゃんと話せていたのか分からないけど
…
今、アンが気を遣ってくれているのは分かる。
「アン、ありがとう」
「別にお礼言われることしてないよ。ほら、さっさと顔洗いに行かないと綺麗な顔が台無しだよ!」
「あはは
…
アン、ほんとにありがとう」
「
…
うん」
部屋を出ると、廊下の窓からも太陽の光が入ってきている。ライジングボルテッカーズの冒険は、なにもかもがめちゃくちゃになって終わった。それでも、世界はいつも通り眩しくて、キラキラしている。当たり前のことだけど、私だけ取り残されてしまったような、そういう感覚がした。
学園に戻って一週間くらいが過ぎた。あっという間に終わった久々の授業が続く一週間。アンとバトルをして、ポケモンとは少し離れたことも学んで、クラスメイトの子たちにもたくさん声をかけられた。みんなは、私が今までどこで何をしていたかなんてほとんど知らない。初日は特に大変だった。
「なんで急にリモートになったの?」
「テブリムはどこで捕まえたの?」
「いつの間にマスカーニャまで進化したの?」
「テラスタル使えるんだよね?」
質問責めだ。まるで転校生になった気分。どこからなんて答えようって考えている間に、テブリムが飛び出した。きっとみんなの感情が昂っているのを感じてストレスだったんだろう。咄嗟にマスカーニャが止めてくれたので、どうにかみんな無事で済んだ。
「ごめん
…
テブリムのこと落ち着かせたいから、後でもいいかな」
私がそう言うと、みんなは少し申し訳なさげに離れていった。正直、少しほっとした。細かいことを聞かれたら、きっと私がライジングボルテッカーズなのもバレてしまう。本当なら、隠すことでもなかったのに。
ニュースではクムリ山のことが連日取り上げられている。世間の声はライジングボルテッカーズへの非難でいっぱいだ。いつの間にかエクスプローラーズと立場が入れ替わっていて、私たちの冒険は終わらざるを得なかった。幸い、メンバーが誰かまでは特定されていない。おかげで私はここに戻ってくることができた。「ここなら安心して過ごせる」。オリオか、モリーか、マードックか、ランドウか
…
大人の誰かが言った。アンも、何があっても味方だって言ってくれた。きっとここなら大丈夫。私もそう信じてる。でも、あの冒険の一瞬、一瞬がフラッシュバックする度、落ち着かない。
突然ペンダントを狙われて始まった冒険は、ロイといにしえのモンスターボール、黒いレックウザとの出会いで本当に始まった。辛いこともたくさんあったけど、それ以上に楽しいことがいっぱいで、その冒険にはいつも彼がいた。
「ロイ
…
」
ぽつりとその名前が溢れた。ロイは私に元気をくれた。ロイが頑張っているから私も頑張れた。そして一緒に戦って、なんだって乗り越えてきた。一番、背中を任せられる人。
今頃、どうしているだろう。これからどうするか、ドットは家に帰ると言っていたけどロイは何も教えてくれなかった。また、会いたい
…
なんて思うのは今となっては無理な願いなのかもしれない。私は、ライジングボルテッカーズを諦めたんだから。
あの日から一年が過ぎた。世間では相変わらずエクスプローラーズが正義の味方で、ライジングボルテッカーズは環境を破壊した悪の組織だ。ニュースを見れば、スピネルがエクシード社の社長として顔を見せている。二年生になってできた後輩たちからも、時々この話が出る。何も知らないみんなに合わせて話すのにもすっかり慣れてしまった。
今の私を見たら、ロイはどう思うかな。きっとロイは怒るだろう。自分の大切なものを否定されたら許せない、ロイはそういう子だ。「どうしてほんとのことを言わないの?」って聞かれてしまうかもしれない。
ここは、誰かが言った通り安心して過ごせる場所になった。でもその代わり、大切な人たちに向ける顔がなくなった。もし今ロイが来たら、ここはそういう場所じゃなくなってしまうかもしれない。保身と後ろめたさが、もうロイと会いたいなんて願いを呟くことを許さない。
でも、もしロイがこんな私を許して手を伸ばしてくれるなら
…
それでも、すぐには決断できないと思う。そんな簡単にはできない
…
でも、ここがもう安心できる場所じゃなくなるなら
…
楽しく過ごせるように、みんなに真実を知ってもらうために、私は彼の手を取って新たな一歩を踏み出せるのかもしれない。
我ながら、他力本願だな
…
そろそろ教室に戻ろう。そう思った時、あの高い空から、何かが羽ばたく音と声がした。
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