なかみゑ
2025-04-08 20:49:45
777文字
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(雑伏)雉も鳴かずば(手のひらの真ん中に・ギャグバージョン)

雑伏。尊の受難。例の桜の絵があまりに可愛かったので。別途シリアス版もアップしています。(桜の絵…2025.4.7にアニメ公式アカウントより発信された春のイラスト。元は2016年カレンダーの絵だったようです。)

「組頭、それは?」

 諸泉尊奈門は不思議そうに首を傾げた。彼の上司である雑渡昆奈門が、己の手のひらを見つめていたからだ。

 昆奈門の大きな手のひらには、小さな花びらが一枚乗っていた。おそらくは桜。今の季節、行くところに行けばいくらでも風に舞っていそうな、なんの変哲もない小さなひとひらに見えるそれを、昆奈門は大切そうに手のひらの真ん中に乗せて眺めていた。

「花見でしたら、良い席をご用意しますが」
「んーん。これがいいんだよ」

 昆奈門は尊奈門に首をふって見せると、包帯だらけの頭から唯一出ている目をゆがめた。かなり機嫌がいい時の表情だ。

 しまった、そうか。

 尊奈門はようやく察することができたが、遅かった。

「これはね、伏木蔵くんの額についていたんだよ」

 ああ、やっぱり。ただの『惚気』だった。昆奈門は伏木蔵に惚れ込んでいる。あの子供にくっついていたというだけで、花びらも宝となるのだ。

 突っ込んでしまったことを後悔しつつ、尊奈門は今日の伏木蔵がどのように可愛らしく見えただの、どれほど聡い受け答えをしたのかだの、連れて帰りたくなるのを必死に我慢しただのといった話を、さんざんたっぷりこれでもかと聞かされたのであった。


 雉も鳴かずば撃たれまい。





おまけ 昆奈門さんの語りをちょっとだけ

今日は保健委員さん達が桜の木に登っていてね伏木蔵くんは足を滑らせて一瞬落ちそうになってしまったんだけどしっかり持ち直してそこで私に気づいてこなもんさんって呼んで目を細めてくれてねそのとき伏木蔵くんの額にこの花びらが落ちてきて花びらをつけたままほわっと笑っている伏木蔵くんがあまりに愛らしくて私は自分の名前を訂正するのが三秒も遅くなってしまったよそれから手土産の 団子を……



おまけのおまけ:後日談