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モノクロ
2025-04-08 20:42:59
3964文字
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【4/12-14 レカペ展示】いつか999本の花束を
ウルデプ+ロラ
ローラとローガンがウェイドにおりがみで作った花を渡す話です。
Xにネタ出しした話を加筆修正しました。
「なんだ、それ」
珍しくテーブルでなにやら作業をしているローラに話しかける。ちらりとテーブルに視線を向けると色とりどりの紙が置いてあった。
「これのこと?」
赤色の紙を指差しながらこちらを見上げるローラに頷く。
「"おりがみ"って言うんだって、ユキオに教えてもらった。色々作れるんだよ、ほらこれ」
ローラの手には白と黒が折り込まれたどこかで見覚えのある形がのっていた。
「
…………
手裏剣ってやつか?」
「そうだよ、知ってたんだね」
「見たことがあっただけだ」
キラキラと目を輝かせるローラに自然と目尻がさがる。彼女の顔はまるで幼い子どものようにあどけなかった。
おりがみとやらをしているローラの邪魔にならないように立ち去ろうとしたがそれを阻止したのはローラ本人だった。なにか用事でもあるのかと再び彼女の方へ身体を向けると
――
「今ね、作ってるものがあるの一緒に作らない?」
にっこりと満面の笑みを浮かべたローラと目が合った。彼女の手はしっかりと俺のシャツの裾を掴んでいる。
……
これじゃあ断りようがない。
「ねぇ、ローガン」
断るなと言わんばかりにシャツを掴んでいる手からギチリと布が悲鳴を上げた。少し圧が強いんじゃないか? と言おうとしたがローラの変わらない笑顔を見て早々に諦めることにした。
「
……
なにを作るんだ?」
俺の言葉に嬉しそうに「花だよ」と答えたローラの表情はやはりあどけない子どものようだった。
「で、なんの花を作るんだ」
そうローラにたずねると彼女は普段、学園に行くときに使っているカバンに両手を突っ込んだ。
「ちょっと待って、ユキオに折り方の書いてある本を借りたから。
……
あった! このページのチューリップってやつにしようと思ってて、初めてでも簡単に作れるって言ってたし、色の種類が多い花みたいだから
……
ウェイドが好きそうじゃない?」
「いいんじゃないか」
少し不安げにこちらへ本を見せてきたローラの頭を軽く撫でる。初めは驚いていたが段々とむず痒そうに口をもごつかせる姿にまるでウェイドみたいだな、と内心ひとりごちた。
「ローガンはどうする?」
照れているのかさっきよりもぶっきらぼうな言葉と共にローラから本を押し付けられた。
ウェイド曰く、こういう時はこれ以上なにも言わない、しないが正しい対処法らしい。お年頃の女の子は難しいんだぞパパクズリちゃん、と言われたことをうっすらと思い出してきゅっと眉間に力が入る。ローラよりもお前の方が扱い難いと言いたかったのは俺だけじゃないはずだ。
「ローガン? なにかあった?」
「
……
いや、大丈夫だ」
さっきまで思い出していた光景を消すためにゆるく頭を振る。気を取り直してローラから手渡された本をめくっていくとあるページに描いてある花に目が止まった。
「それにするの?」
こちらを伺いながら本を覗き込んだローラがその花を指差す。
「
……
あぁ」
「難しそうだけど」
「なんとかなるだろ」
「無理そうならユキオ呼ぶ?」
「
……
その時は頼む」
「わかった、頑張ろうね」
心配そうな顔をしているローラの頭をもう一度撫でる。そして一緒におりがみをするために彼女の隣にある椅子に手を伸ばした。
刻々と時間が過ぎていく。
ローラの手元にはすでにいくつかの完成したチューリップが並べられていた。それに比べて自分の手元には
――
「やっぱりそれ、難しいんじゃない?」
何度も折って戻してを繰り返したせいで皺くちゃになったおりがみだったものが握られていた。何度試しても上手くいかない自分に苛立ち、喉奥で唸り声を上げる。
「違うのにする?」
「これじゃないと意味がない」
ローラの提案にすぐさま首を横に振る。たとえ本物でなくともウェイドに花を渡すのならばこれがよかった。
「そうかもしれないけど
……
」
ちらりと俺の手元をみたローラは器用に片眉だけを上げて大きく息を吐き出した。
「それから変える気はないんだよね?」
「ない」
互いに譲らずじっと見つめ合う。
――
さきに折れたのはローラだった。
「
……
ユキオを呼ぼう」
「
……
頼む」
「上手くできると良いね」
「あぁ、どうにかする」
――
ローラに呼んでもらったユキオに教えを請うたのだが
……
あんなに厳しいとは思わなかった。普段の柔らかな印象とはまるで正反対で笑顔はひとつもなかった。だが真剣に、親身になって教えてくれた。
なぜそこまでしてくれるのかと聞いたら「ローガンにもウェイドにも喜んで欲しいから」とくすぐったくなるくらい優しい声で言われて思わず顔をそらした。
……
ウェイド、どうやらお前の世界はワーストと呼ばれた俺にも優しくしてくれるらしい。
「
……
ありがとう」
自然と俺の口から出た言葉にユキオはやっと見慣れた笑顔をこちらに向けてくれた。
「できた!」
様々な色のおりがみで作ったチューリップの花束をローラは満足気な表情でそっと撫でた。
「ウェイド喜んでくれるかな?」
「お前からもらえるんだぞ、喜ばないはずがない」
なに当たり前のことを言ってるんだとローラの額を軽く小突く。
「そうかな」
「そうだ」
「そっかぁ
……
だったら嬉しいな」
「安心しろ、もしアイツが喜ばなかったらぶん殴ってやる」
「ふふっ、そうなったらお願いしようかな」
「まかせろ」
クスクスと二人で笑いながらウェイドの帰りを待つ。妙に身体がそわついてチラチラとドアに何度も視線を向けた。
「ローガンは結局それひとつにしたの?」
ローラが俺の作った花を指差す。
「あぁ、"今は"ひとつでいい」
「きっと喜んでくれるよ」
「だといいが」
「安心して、もしウェイドが喜ばなかったらぶん殴ってあげる」
ローラの言葉に目を見開き、ゆっくりと息を吐き出して肩の力を抜いた。
「
……
そうだな、そうなったら頼む」
「まかせて!」
ローラが胸を張って返事をする姿に目を細めた。
階段を上ってくる音が聞こえ、ローラと顔を見合わせる。互いに無言のまま玄関へと急いだ。
「ただいま〜二人ともいい子にしてた? 俺ちゃんはバッチリキッカリお仕事終わらせて来たよぉお
……
っ!? え、な、なぁに? なんで二人して仁王立ちしてんの? 俺、なんかやっちゃった感じ? 心当たりがあるような無いような
……
」
ドアを開けてすぐ狼狽えだしたウェイドにローラが話しかける。
「ウェイド、素直に答えて欲しいんだけど
……
花は好き?」
「はな?
……
えっとローラが言ってるのは植物の話、だよな? ん~どっちかと言うと好きかな。カラフルで可愛いし匂いもいいよね
……
って急にどうしたの?」
「よかった、これウェイドのために作ったの」
ウェイドの返事に安心したような顔をしたローラがおりがみで作った花束を差し出した。
「えっ!? お、俺に
……
?」
差し出された花束とローラの顔を何度も見るウェイドの表情は驚きと、嬉しさがにじんでいた。ウェイドがローラからなにかもらって喜ばないはずがない。
ちらりとこちらに振り向いたローラに「言った通りになっただろ」と小声で囁いた。
「気に入った?」
「もちろん! とっても嬉しいよローラ。ありがとう」
嬉しそうに頬をじんわりと赤く染めるウェイドにローラは満足気に鼻を鳴らした。
「これチューリップだよね? 上手に出来てる。青に緑にオレンジ、これは紫かな? おっと黄色もある
……
あれ? でも
――
」
「これは俺からだ」
ローラが作ったチューリップの色をひとつひとつ指差して言っていくウェイドの目の前に俺が作った花を差し出す。
ウェイドはその花を見てピタリと動きを止め、一瞬黙ってからおそるおそる俺を見た。その顔はさっきよりも赤くなっていて、まるで熟れた苺のようだった。
「
……
ローガンが作ったの?」
「あぁ」
「本当に? 嘘じゃない?」
「嘘なんかついてなんの意味がある」
「で、でもっ」
俺が差し出したのは赤色の花だった。端に多少皺が寄っちまったが今までの中で一番まともな形になっている。ウェイドがちゃんと気付いてくれてなによりだ。
今は一輪だけだがいつか不器用で構って欲しがりな男の腕の中を俺が作った花でいっぱいにしてもいいかもしれない。
「俺の気持ちだ。受け取ってくれるか?」
「
……
うん」
震える指先で受け取って大切そうに花を眺めるウェイドの健気な姿に我慢ができず抱き寄せる。
「ろ、ローガン!? 花がつぶれちゃう! ローガンってば!」
触れている場所から互いの熱が混ざり合って心地良い。体温が上がったせいか濃くなったウェイドの匂いに鼻をひくつかせた。
「今はおとなしくしてろ」
俺はきっとまたすぐに花を作るだろう。
ウェイドの言葉を借りるなら、告白のド定番で愛を伝えるのにピッタリな真っ赤で派手なこの花を。
【おまけ会話文(ウェイド+ローラ)】
「ねぇ、ウェイド」
「どったのローラ?」
「まだひとつでいいんだって」
「なんの話?」
「ローガンが言ってた」
「え? ローガン? なんの話?」
「おりがみの話。作るの難しいんじゃないかって言ったんだけどこれじゃなきゃ意味がないって聞かなくて
……
だからユキオにも手伝ってもらったの」
「え!? ユキオ!? は!? 待って、じゃあ皆これ知って
……
?」
「ローガン、次はいくつ作るつもりなんだろうね」
「つ、次!?」
「楽しみだね、ウェいド」
「〜〜っ!?」
「案外すぐだったりして」
「もうっ! ローラ!」
「顔真っ赤だよ?」
「ローラ! お口チャックして!」
「あははっ、ウェイド嬉しそう」
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