コット
2025-04-08 20:40:55
1010文字
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学パロ ネロ光♀

たぶん分岐のあるタイプの学園モノ乙女ゲーム

学園生活中に誰とも親密度を深めなかった場合、いくつかのフラグを経て、ゲーム進行のアドバイザー的キャラクター、ネロとのエンディングが見られる

かもしれない


「立派になったもンだ」

 座布団に座り、缶ビールを傾けながら、すでに顔を赤くしたネロがしみじみと呟いた。

「あんなに小さかったガキが、いっちょ前に大学を出て就職もして、初任給で酒まで奢ってくれるなンてな」
「おしゃれなバーが良かったけど、家飲みになっちゃって」
「ツマミと缶ビールで充分だぜ。まったく、親戚冥利に尽きるぜ」

 小さな頃から『父親』代わりに呼び出され、まだ若いなりに親戚の成人男性として何かと面倒を見てきたのだ。本当の父親ではないが、これは感涙ものだ。しょっちゅう来ていた気安い親戚の家でもあり、ついつい酒も進んでしまう。

「あのね、ネロさん。……今、ちょっと困っていることがあって」
「アァ? なンだ、今更だろ。オレ様がなンでも面倒みてやるぜ」

 正直、金で解決できることなら、ネロはなんでも解決できる。そのくらいの貯蓄はあるし、仕事だって順調だ。可愛い娘のためならば、使い道のない個人資産など、多少ならくれてやれる。
 そもそも真面目なコだ。借りっぱなしということは絶対にない。

 だが、ネロは安請け合いをしたことを、次の瞬間、後悔した。
 
「わたし、処女なの」
……ッはァ!?」

 口に含んでいたビールを、吹き出す前にかろうじて飲み込み、盛大に叫ぶ。じっと見つめるその視線に、自らの察しが良いことを、ネロは少々恨んだ。
 
……オイ、言っていい冗談と悪い冗談があるぞ」 
 
 低い声で唸ってみるが、お構いなしにジリ、と膝でにじり寄る彼女に、ネロは思わず、のけぞるように距離をとる。だが、狭いアパートだ。すぐに背中に壁があたり、行き場がなくなってしまう。
 真剣な、どこか思い詰めた瞳がネロを見上げた。

「もらってくれませんか」

 ネロは悲鳴のように叫ぶ。

「いいか!? オレ様は、オレ様の全てのプライドにかけて、今まで、金輪際、お前をそういう目で見たことは、ない!」
「うん。……知ってる」

 少し寂しげに、彼女がふんわり微笑んだ。
 
 ――彼女はいつから、その想いを抱いていたのか。
 いや。父親代わりの異性に想いを寄せるなど、一時の気の迷いだ。
 誰よりも幸せになってほしいと、心から願っているのに。

「だから、今、この瞬間から、“そういう”目で、見てほしいなって」

 ――……お願いしているの。ダメ?

 蕩ける甘露な囁きに、ネロは強く奥歯を噛んだ。