kurotera
2025-04-08 20:40:02
6745文字
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5/4 スパコミIB本新刊サンプル To what do you offer your hand Ⅱ

東京ビックサイト
5/4 SUPER COMIC CITY 32 -day2
超マジカル☆プロデュース 2025
スペースNo.東4 こ55b
サークル名:カノコソウ

【To what do you offer your hand Ⅱ】
イノセントブレス IB中心オムニバス本 CPなし
2022年に発行したイノブレ本と話が続いていますが読んで無くても大丈夫です。
メイン:IB 無銘 カマエル ミカエル 黒梟 
ちょっと出る:黒猫 黒兎 ケルベロス 無垢なる者 ブリザードクイーン 白髭 ラプラスの悪魔
小説 全年齢
文庫本 150頁
800円 (下巻セットの場合合わせて1500円)/通販の場合プラス送料

要素/注意
九割捏造。好き勝手書いています。
流血描写とある程度のグロテスク描写。
展開の都合上、名前があるモブが出てきます。
時代考証がガバい。
今回はカップリングは想定していませんが、書き手はBL勢(ライ麦、ラビさん関連)。

なんでも許せる方向け。
合い言葉は「ぼくのかんがえたさいきょうのイノセントブレス」
コンセプトは「IBちゃんを曇らせたい」
書き手の趣味が爆発しました。
5/4 SUPER COMIC CITY 32 -day2 超マジカル☆プロデュース 2025にて頒布予定。
通販も予定しています。よろしくおねがいします。

篝火


(略)

「いやしかし、驚きましたよ。てっきり国の運営に対して何か心をお痛めで、ただの定例会議を御前会議になさったものかと」
 どこか軽薄な調子で発言したのは帝の第二子だった。三位殿、と窘めるのをじろりと睨めば、声の主が黙るのを椿は表情を変えずに眺めている。
「例えば、ここに相応しくない身分の者がいて会議を引っかき回しているのではと心配されていらっしゃるのでしたら、杞憂にございますよ、御爺様、いや……陛下」
 続けて発言したのは第二子の息子である。彼は椿をちらりと見やり、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。こちらを挑発しているのは、明らかである。 
 一方、帝位継承権第一位と第二位の座を持っている長子とその息子は、この話題を関係のないこととして無表情で座している。帝の長子たる一位と、次子たる三位、彼らと椿はいはば腹違いの兄弟だった。しかし二人とは随分と歳が離れていて、兄弟であると思ったことはない。年齢でいえばどちらかというと、長子の息子である二位、次子の息子である四位のほうが近かった。
 彼らもまた庶子の母を持つ椿を同じものであるとは思っていないだろうし、三位に至っては憎しみさえ見えた。
 議長が焦りながら会議を締めようと、これ以上議題がなければと急き立てる。すると、御簾の向こうで衣擦れの音がし、議場は静まり帰った。
「さいのはて ふみたえしなお とものみに われがもつひぞ みちてゆけばと」
 御簾の向こうから厳かな声で歌が詠まれ、俄(にわか)に議場はざわついた。帝の歌は、勅ど同義である。しかしその歌が何を意味するのか、皆、理解出来ないようであった。
 ――思ったより早く、時がやってきたな。
 御簾の向こうを睨み、椿が口を開く。この時を日々、待っていたのだ。
「ひさかたの ひをせにゆくは けものみち ふみつづけねば よもこえらねど」
 低く、しかしはっきりとした意志を持つ返歌に、議場中の目は椿に釘付けになった。驚いた顔の議長や三位、四位の顔を鼻で笑いたくなるのをこらえつつ、椿はもう一度歌を詠む。
 あなたの望みはこれだろう、と。
「おお、そなたは――
「五位、竜胆家の長子にございます」
「竜胆の子か。母は、息災であるか?」
「帝の恩寵により、平穏無事に。――その恩返しをしたく」
「五位ッ! 貴様、陛下の許可も得ずに返歌とは、不敬極まりない!」
 椿の言葉を遮り、四位が叱責する。椿は口を閉じ、しかし臆することなく御簾の向こうを見つめていた。瞬く間にその場の空気が張り詰め、四位と椿の二人に視線は注がれる。
 皆、帝の言葉を待っているのだ。
「竜胆の子よ」
「はっ」
「そなたは我が心のうちを詠み解いたうえで、返歌を詠ったのか。朕が許す、申してみせよ」
 御簾の向こうからの問いかけに、椿は立ち上がった。四位がまた何かを言おうとしたが、一位に視線を向けられれば、ぐ、と押し黙ったようだった。
「西の国との国交が絶えて久しく、陛下はお心を痛めておられるのではありませんか。この数年、使節を送っても、間者を放っても、成果は芳しくなかったと聞いております。……我が国の発展のためにも、かの国との国交回復は避けては通れぬ議題。ゆえに、私に一任をお願いしたく、恐れ多くも、返歌を」
 末席の身ながらと頭を下げれば、一瞬、息を飲む音がした。
「そなたは、この国を出でて、険しき道を歩み、この国のともしびをかの国に届けると申すか」
「はっ、必ずや――身命を賭して」

(中略)

「この先に村が?」
 車から降りて看板の向こうを見れば、狭くとも真新しく整備された山道は蜘蛛の巣が張り巡らされている。
「元、な。さてお前ら……迎えがきてるぜ」
 桜花が腰に佩いた刀を抜けば、張り巡らされた蜘蛛の巣の向こう、無数の光がこちらを睨んでいる。闇の中から這い出してきたそれは、馬車ほどの大きさの蜘蛛で、それが数匹、招かれざる客に憤り足を蠢かせていた。ここから一歩でも踏み出せば、瞬時に襲いかかってくるだろう。
「随分歓迎されているようだ。……お前ら、鬼とやりあったことは?」
……はじめて、だ」
 桜花の問いに陽風が答え、季蝶も頷いた。二人とも顔を強ばらせている。月香は答えず、静かにランタンを持って蜘蛛を見据えていた。
「奇遇だな、俺もだ!」
 桜花が叫んだと同時、大蜘蛛が飛びかかってきた。その巨体を武器に桜花を押し潰そうとしてくる。迫り来る敵を見据え、刀を構えた。
「〝剣太刀(ツルギタチ)〟」
 桜花が真句を唱え、地を蹴る。襲いかかる大蜘蛛へ一閃を振るえば、その身は真っ二つに割れた。己の身が両断されたことに脳が追いつかなかったのか、大蜘蛛は地に伏してなお、その脚をばたつかせ、やがて動かなくなった。
「〝白真弓(シラマユミ)〟」
 季蝶の唇が真句を紡げば、澄んだ鈴の音と共に不可視の矢が敵の頭部を貫く。地を吹き出してどう、と倒れた仲間の姿を見て狼狽した別の蜘蛛に、陽風は抜いた刀で斬りかかった。月香は音もなく、蜘蛛の脚を手持ちの暗器で落としている。
 先陣をきった仲間が人間たちに屠られるのを見た生き残りたちは、形勢の不利を悟ったのか奥の道へと消えていく。刃についた血を払い、刀を鞘に戻す。物言わぬ骸となった大蜘蛛をちらりと見、仲間が逃げ去った道へと視線を向けた。
「なんだ、拍子抜けだな。さしずめ、門番といったところか……行くぞ、お前ら」
 桜花の言葉に三人が頷き、村の道へと足を踏み入れる。
 やはり木々のそこかしこには白い蜘蛛の巣が張り巡らされ、それを払いつつ暗い山道を進んでいった。しばらくすれば集落らしき影が見えた。誰かが暮らしているような、気配は無い。
「ここも蜘蛛の巣だらけだね」
 集落に足を踏み入れ、周囲を探索する。家屋や街頭にも蜘蛛の巣が張り巡らされ、つい最近再開発されたばかりの温泉街とは思えない。これは、と季蝶が何かを言おうとして口を噤む。住人はどこへ消えたのかと考えたが、よぎるのは最悪の結末ばかりだ。陽風もランタンを手に周囲を見渡してはいるが、鼠一匹の影すらない。
「この先が禁足地のようですね」
 月香が奥を指し示す。
 想像していたものとは違い、禁足地への道は石畳で整備されていた。そこに立ち並ぶ店も、本来ならば今頃温泉客を迎え入れ、賑わっていただろう。
「空気が変わった。たしかに、これは手を出してはいけない土地だ」
 何かを感じ取ったのか、季蝶がぽつりと呟く。張り詰めた空気の中、四人が進んでいけばその先に立派な建物が見えた。――くだんの旅館のようだ。
「見ろ、さっきの蜘蛛どもがいやがるぜ。ここに奴らの親玉がいるってわけか」
 桜花が顎で指し示せば、旅館の屋根や外壁に村の入り口で見たような蜘蛛たちが張り付いている。しかし襲いかかってくるような気配は無く、こちらの出方を窺っているようだった。
「どうしますか、桜花」
「入るぞ。腹を括れ、お前ら」

救済


 いつも傷だらけで帰ってくる男を、女は嘆いた。
 どうして貴方がこんなにも傷つかなければならないのでしょう。寂しさを告げきれない哀れな女を、男は慈しみをもって眺めたのだった。
 私が神に叛く者たちと戦っているのは、この神の愛された世界をよくする為なのだから、そんな顔をしてはいけない。男の言葉にそれでも、と女は顔を曇らせたまま、愛しい人にしか聞こえぬような小さな声を囁いた。
 もし貴方に何か良くないことがあれば、私はそれが恐ろしいのです。
 貴方がいない世界に、なんの意味がありましょう。
 男は女の艶やかな黒髪を撫でて、優しく諭した。
 そんなことを言ってはいけない。私は神と、お前と、お前の腹の中で眠る子の為に、この世界をよりよくするのだ。悪魔が悲しみを生まぬよう、悪意が連鎖せぬように。
 わかってくれ、我が愛しき妻よ。
 男は傷の治らないうちに、再び戦いへと赴いた。そしてついに、帰ってこなかった。女の知らぬ場所で、悪魔に殺されたのだ。
 誰にも知られることなく、弔われることなく。
 いくら待てど帰ってこない夫の末路を思い、女は悲しみに沈み、心に決めた。

 神は私から愛しい人を取り上げられた。
 この子まで取り上げられぬよう、隠れてしまおう。

 木漏れ日を浴びながら、少年は遊んでいた。
 褐色の肌に黒く艶やかな髪、金色の瞳は利発さを宿している。
 木の枝にとまり、恋い焦がれ囀る小鳥を眺めながら少年は思案に耽る。
 ――どうして母様は、森から出てはいけないと言いつけるのだろう。――
 物心ついた時より、母子で暮らすこの森から決して出てはならないと厳しく言いつけられていた。どうして、と訊ねても母はお前を守るためですと言うばかりで、それは少年を納得させるにはほど遠い言葉であった。
 母は暮らしのために、朝早くから森を出て近くの村へ行き、日が暮れる頃に帰ってくる。その間、少年は火のための枯れ枝を集めたり、木の実を摘んだり、兎を追って、過ごしていた。
 ある日、少年は母に訪ねた。
「母様、神様とはいったい、どのような御方なのでしょうか」
 聡い我が子の問いかけに、母は微笑みながら我が子のかわいらしい手を握った。
「かわいい坊や。神様という御方は、太陽の光をよりも明るく輝き、皆に救いの手を差し伸べてくださる方。お前が困った時は、天上にいらっしゃるかの方に、救いを求めなさい」
 お前のお父様は、今もあの御方に仕えていらっしゃるのだから、私たちを見捨てはしないわ。母は我が子の艶やかな黒髪を優しく撫で、言い聞かせた。
 しかし少年の目には、母の微笑みの中に深い悲しみが沈んでいるように見えて、仕方が無かった。
 不思議そうに己を見つめる子に、母は続けた。 
「私の、なによりも大切な坊や。一方で、地獄のあるじというべき黒き者、悪魔に気をつけるのです。不誠実な者たちに惑わされ、疑いの心に取り憑かれぬようにするのですよ」
「はい、母様」
 父は己が生まれる前に死んでしまったという。母はそれを、肉体を捨てあの御方に仕えにいったと語った。父を語る母の表情は言葉とは裏腹に悲しげで、またそれ以上、何も語らなかった。
 森の中で慎ましく暮らす母子二人の元に、時々、父の弟である叔父が来た。彼が来ると母は暗い顔をする。にやにやと笑いながら扉を開け、しばらくのあいだ母をどこかへと連れて行く叔父のことを少年はあまり好きではなかった。しかし彼が、自分たち母子の幾ばくかの面倒を見てくれている事を知っていたので、少年は母のためを思い、表には出さなかった。

彷徨


(略)

……入れ、と?」
 顔を強ばらせて剣の柄を握る。意を決して扉に手をかけ、ゆっくりと押せば中は薄暗く、燭台の灯火が調度品の輪郭を照らすのみで、悪魔がこちらを狙っているような気配も無い。一歩、二歩と奥へ進む。客人を迎え入れるための、吹き抜けのエントランスは広く、正面には両階段があった。踊り場の壁には大きな絵画が飾られていて、それはサンダルフォンの視線を釘付けにした。
 あまり見たことのない筆致の絵だ。『教会』が推奨する伝統的な画風とは違い、自由に描いている。それでいて、惹かれるものがあった。
……地獄?」
 絵画には燃え盛る大地と苦しみあえぐ人々の姿が描かれている。その大地を囲むように赤い蛇がとぐろを巻き、哀れむように人々を睥睨していた。
 地獄で永遠の苦痛を与えられる亡者たち。そんな絵だった。
「迷い人か」
 思わず見とれていれば耳に届いた声に、しまった、と剣を引き抜く。バルコニーから黒髪の男がサンダルフォンをじっと見つめていた。
 すぐに危害を加えるような意志はないらしく、静かに佇み若者を観察しているようである。サンダルフォンも彼を見据え、やがて訊ねた。
「あなたは?」
「この館、仮のあるじよ。この森はいにしえより、迷いを抱く者を迎え入れる、癒やしの森。近くに住まう人間たちは呪いの森、とのたまうがな。その最奥に辿り着いたのは、貴様が迷い人であることの証左よ」
「迷い人? 違う、オレは……
「ほう、己が迷っていることすら分からぬほどに、貴様の眼は暗くなっているのか。いや、違うな。迷っていることに目をそらしているように見受けられる。……なに、どのような身分であろうとも、我は等しく、この館を預かる者として貴様を迎え入れよう。ついてくるがよい、食事の準備は出来ている」
 案内されたのはダイニングルームだった。彼の言うとおり、既に円卓には料理が並び、食事の準備がされている。それを躊躇うサンダルフォンを見るや、男は笑った。
「座るがよい。なに、大切な客人に毒など盛らぬ」
……あなたは、いったい何者なのですか? 何故、このような場所に?」
 席に着きながら問えば、男の左右で違う色の瞳がすっと細められた。
「我が何者であるのか、か。貴様が疑いの目を向けるのも無理はない。貴様らにとって、この館はかつて魔女の住んでいた館であるからな。そこに潜む者が同じく魔女の同胞であると考えるのは至極当然のことよ」
 手に届く範囲で立てかけた剣をちらりと見る。男は、サンダルフォンの警戒した態度を受け入れているようだった。
「名を、黒梟という」
「へい、しゃお……貴方は東洋のかたなのですか?」
「この国が閉じる前は、東の国々との交流も盛んであった。我は、その名残よ……最も、この身に流れる血の源流たる地を見ることは叶わぬ身分だが」
 メードが円卓中央の鶏の丸焼きを切り分け、互いの皿に置く。よい、と黒梟が言えば一礼し、あるじの目障りにならない壁際へと彼女は退いた。
「貴方はオレを、迷い人と呼びました。それはどういう意味でしょうか」
「言葉の通りよ。先ほども伝えたが、この森はその身に迷いを抱く者を癒やす森。だが少々、強引でな。足を踏み入れた人間の意志に関わらず、取り込んでしまう事がある。故に、外の住民は呪いの森だと恐れるのだろう」
「迷いを、抱く者」
「この館を預かる者として、暫くの滞在を許す。貴様への害意が無いことの証として、ある程度の自由を認めよう。書庫の本を読み、礼拝堂で祈りを捧げるも我は咎めぬ。好きにするがよい」

(中略)

サンダルフォンは四人の仲間の無事を確認すべく振り向いた。ラジエルは、血を流しながら倒れている。剣を持ったままの左手は殆ど炭のようになっていた。その傍らに伏しているのはサマエル――悪魔を屠るための赤い蛇が炎に包まれながら、彼の身に巻き付いている。ザドギエルは、ハニエルをとっさに庇ったのだろう。仲間を守ったまま、ほとんど襤(ぼ)褸(ろ)切(ぎ)れのようになっていて、それを抱きしめながらハニエルはサンダルフォンをじっと見つめていた。
「どうして……
 琥珀色の眼差しは失望に染まっている。
 唇から血を溢れさせながら、ハニエルは頬を引きつらせ、声を震わせた。
「どうして、守ってくれなかったんですか?」

(中略)

「その大切な人が、ここにいるんだ!」

新刊概要


東京ビックサイト
5/4 SUPER COMIC CITY 32 -day2
超マジカル☆プロデュース 2025
スペースNo.東4 こ55b
サークル名:カノコソウ

【To what do you offer your hand Ⅰ】
イノセントブレス IB中心オムニバス本 CPなし
2022年に発行したイノブレ本と話が続いていますが読んで無くても大丈夫です。
メイン:IB 無銘 カマエル ミカエル 黒梟 ラプラスの悪魔
ちょっと出る:黒猫 黒兎 ケルベロス 無垢なる者  ブリザードクイーン 白髭
小説 全年齢
文庫本 150頁
800円 (下巻セットの場合合わせて1500円)/通販の場合プラス送料

要素/注意
九割捏造。好き勝手書いています。
流血描写とある程度のグロテスク描写。
展開の都合上、名前があるモブが出てきます。
時代考証がガバい。
今回はカップリングは想定していませんが、書き手はBL勢(ライ麦、ラビさん関連)。

なんでも許せる方向け。
合い言葉は「ぼくのかんがえたさいきょうのイノセントブレス」
コンセプトは「IBちゃんを曇らせたい」
書き手の趣味が爆発しました。
5/4 SUPER COMIC CITY 32 -day2 超マジカル☆プロデュース 2025にて頒布予定。
通販も予定しています。よろしくおねがいします。