みつば
2025-03-21 00:45:24
12648文字
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「ペク・ウナのやり取り」でのジフン氏インタビュー内容 後編(翻訳)

ペク・ウナさんのYouTubeチャンネル「ペク・ウナのやり取り」の第1回ゲストとして出演したジフン氏のインタビュー内容(後編)がすごくよかったので、記録用に翻訳したもの。




★オープニング

ジフン氏:最後をすごく急いで終わらせてしまいましたね、すいません。
ウナさん:シーズン2をやらないと。サインをしてもらえたらいいんですけど、どうしましょう。
ジフン氏:急いでやりますよ。今日喋り過ぎましたね。
ウナさん:すごくおもしろかったですよ。



ウナさん:「愛は一本橋で」や「ハイエナ」でもメロがありましたけど、痴情のメロ、すごく毒のあるメロを一度見てみたいという気持ちが私にはあるんですよ。

僕にもあります。笑い話なんですけど、「僕」という俳優は泣かせたい俳優ではないそうなんです。観客の立場からのカタルシスは、仔犬顔の人達は、「なんで僕のことを愛してくれないの」と泣いたら、それがすごく母性を刺激するんですけど、そうじゃなくて、がっしりした男が取りすがる、むしろそういうものを女性の観客の方達は見たいんだと分析した人がいたんですよ。

ウナさん:見たいですよ。

だから、合ってるんだと思います。

ウナさん:愛の前でダサくなって。

ええ、だから「愛は一本橋で」は、皆さんすごくよく観て下さってありがたいんですが

ウナさん:ソク・ジウォンはそんな感じでしたよね。

それが皆さんにとっては(チュ・ジフンという俳優の姿として)意外じゃないですか。完全な期待値はそっちじゃないみたいですが、時代と状況に合わせて僕はオープンでいます。

ウナさん:実は私は以前ネイバーウェブトゥーン(の広告)「ハーレムの男たち」(を見て)、(ジフンさんの)フィルモグラフィーに載せなきゃいけないと思ったんですよ。「愛嬌を振りまいて

「愛嬌を振りまいてみましょう」

ウナさん:すごく退廃的で、毒があって、強烈なメロを一度見てみたい気がします。

昔「カウンセラー(邦題:悪の法則)」(という映画)で、キャメロン・ディアスとハビエル・バルデムの二人が、すごく退廃的で変態的な愛を演じたじゃないですか。

ウナさん:私は「ファントム・スレッド」のような映画も好きで、色々なメロを見たい気持ちがあるんです。

★愛についてのチュ・ジフンのすべて

エディ・レッドメインの「愛についてのすべて(邦題:博士と彼女のセオリー)」がすごく好きなんです。エディ・レッドメインと女性主人公(フェリシティー・ジョーンズ)が初めて会って、恋に落ちるんだなという場面が、友達の家の階段でふたりがこんな風に座って高さの差をつけて向かい合って座る場面があるんですよ。(エディ・レッドメインが)これくらいの厚さの縁取り眼鏡をかけてるんですよ。だからこうやって(横から)撮ると瞳が見えないんですよ。でもすべての感情を感じるんですよ。それにその過程を上手に描いてくれたじゃないですか。だからタイトルが「愛についてのすべて」だということを、僕はこう受け取ったんですよ。これも愛で、これも愛なんだと。(多様な愛の形を)見せてくれる企画の意図で、だから最後にその二人があんな状況でもすごく温かいじゃないですか。すごく悲しいけど、温かいじゃないですか。

ウナさん:サッドエンディングに見える人もいるかもしれないけど

「結婚の話(邦題:マリッジ・ストーリー)」のような映画は、あれくらい熾烈な恋をした記憶のPTSDに襲われて。第三者の立場で映画を観るから分かるじゃないですか、「あの言葉は本心じゃないよ」って。

ウナさん:お互いを傷付け合うための言葉だと?

はい。なぜかというと、あらゆるストレスと、わざと傷付けたいわけじゃないけど、僕たちが誤解が生じ得る(状況になることがあるじゃないですか)。なぜなら(そうなると)人は興奮してしまうし、傷付いた獣のような状態になると、手を差し出したつもりで爪を立ててしまったんだと(いうこともある)。もうすでに痛いのに、また引っ掻かれて。こういうのを見ながら考えるようになるじゃないですか。「ブルーバレンタイン」や「クレイジーラブ」のような映画を観ると。

ウナさん:おかしいんじゃないかと思うような愛について。

韓国映画だと「ハピネス」「8月のクリスマス」「春の日は過ぎゆく」だとか、今でもしびれるじゃないですか。

ウナさん:私がジフンさんと長い時間お会いしたのは、2006年に「宮」のセットに行った時だったんです。

記者の方達が来られた時の。

ウナさん:はい、そうです。2012年の「私は王である」では慶熙宮(キョンヒグン)で現場公開もしたんですよ。

そうでしたね。

ウナさん:2014年の「コンフェッション 友の告白」、「神と共に」でインタビューをしながら、「暗数殺人」のために髪を隠さないといけないので帽子を被ってインタビューをしたのを思い出します。

僕も覚えてます。帽子を被って、あんな感じの机に座って。

ウナさん:そうです、そうです。そして2018年の「工作」と、2023年の「プロジェクト・サイレンス」でカンヌに行った時に、カンヌでインタビューをしたんですよ。「非公式作戦」の時も、GVを一緒にやったりもして、20年近くになりますね。

そうですよね。

ウナさん:休むことなくチュ・ジフンという俳優を見ながら、この人の過去がどうだったっけと思う暇もないくらい、新しいバージョンのチュ・ジフンに驚きながら見てきたように思います。
「暗数殺人」のテオのような極端なケースも演技をしなければいけないですから、そんな人達さえも、肯定的な人物ではないけれど自分の顔の中に入れなければいけない作業をすることにおいて、皮膚の厚みというか、そういう柔軟さのようなものを、更に柔軟にしなければならないという作業をずっとしなければいけない人たちのようにも思います。

そう思います。なぜなら、言葉遊びのようですけど、間接的な経験じゃないですか。僕たちがするのは演技ですから。でもその演技をするということは、直接的な経験じゃないですか。そういうダメージが残ったりはします。「暗数殺人」は色がすごく濃いじゃないですか。「暗数殺人」は僕の色は0.1も入っていません。少し大袈裟に表現すると、「か ん こ く ご は わ か り ま せ ん」と言うように、すべて練習するんですよ。ユンソク先輩を見つめる時には、監督はアングルまでもう僕たちとコンテをやっているので、(その通りにやると)実際にはすごくやりにくい角度なんですよ、話すのに。でも僕がそこまでやって、撮りたいアングルに映るんですよ。こういうことを一つひとつ合わせてやるんですよ。

ウナさん:私は釜山出身なので、「暗数殺人」を見ながら、カク・ギョンテク監督が本当に以前「友へ チング」の時から全てテープに録音して、一つひとつとても精巧に俳優たちに方言を教える姿を見ていたんですが、その誰よりも(ジフンさんの方言の)ニュアンスが良かったんですよ。

「暗数殺人」は3カ月ほど監督と毎日会って練習して、録音テープを聞きながら(やったんです)。今考えて見ると笑えます。島山大路(通りの名前)を行ったり来たり歩きながら、ブツブツ練習しながら歩いてたんですよ。とりあえずスタートは、撮影初日の前日から会って、高校3年生みたいに次の日に撮るものを二人で予習するんですよ。でもドライリハーサルじゃなくて、フルリハーサルをするんですよ。

ウナさん:でも本当に肉体的にもそうですが、言語的にも自由度が落ちる、言い換えればそこで要求されることを実行しなければならないその作業も、面白味があることじゃないですか。

自由という観点と視点をどこに置くかという話のような気がします。監督の言う通りにやるんですが、自分の意見も持ってるんです。監督は(首の角度を)ここまでやれと言ったけど、これじゃあ声が出ないんですよ。これよりは僕はこうやって楽にやりたいけど、対話をしながら、(一緒に)組んでやるということでしょう。

ウナさん:結局は刀群舞を踊るけれど、この振り付けの群舞をどう作るかについては、十分に意見を交わすということですよね。

はい、組んでやるということですよね。

ウナさん:役の中での年齢だとか、そういうものも変わるじゃないですか。私は「証明店の客人たち」を見ながら、最も慣れないけれどそうなんだなと思ったところが、「父親になったチュ・ジフン」だったんですよ。飴を食べさせてあげながら(大人になった娘と)向かい合っていたあの場面では、本当にすごく泣きました。

僕にとってもすごく不思議な経験でした。すごく心配したんですよ。父親をしたことがないじゃないですか。したことがないから、自分が感じることが合っているのか分からないじゃないですか。でも勿論間接的な経験はしましたよね。僕にも母と父がいますから。だからこんな言葉を実感しました。技術がすごいから上手いんじゃなくて、歳を取るからこそ分かるようになることがあるじゃないですか。例えば僕は今は本当に身に染みて感謝してるんです、母が毎朝新しいご飯を用意してくれたことを。

ウナさん:それって本当に大変なことですよね。面倒なことなのに、愛がないと出来ないことですよね。

本当にすごいことだと思います。お金をもらえる仕事でもないのに。本当に良心がなせる業です。朝にご飯を作るには自分は朝4時に起きないといけないのに、それをずっと。母は8人家族のご飯を準備してくれたんですよ。それがどれだけありがたいことなのか。(そういった)間接的な経験に集中してやるのはやったんですが、そして(監督である)ヒウォン兄さんとも沢山話をしたんですが、すごく不思議な経験でした。

現場に行ったら美術だとかがすごくよく出来てたんですよ。良いスタッフたちが、僕が演技をする時にすごく集中してコンディションを合わせてくれて、だから僕がこんな風だったんですよ。「もう知るか」って。ダメだったらもう一度やればいいんだと。フィルムカメラの時代でもないんだし、もう一度やればいいんだと、そういう気持ちだったんですけど、大きな結論からお話すると、僕の悲しみじゃないじゃなくて、あの子(娘)の悲しみじゃないですか。これまで生きてきて初めてでした。カットがかかったのに止められなくて。でも僕はそんなスタイルじゃないんですよ。ビシッと集中して、カットがかかったらすぐ切り替える、そういうスタイルなのに。だから実はあのシーンは(元々は)そんなに長くなかったんですよ。

これも呼吸ですよね。僕たちのカットのサインは、僕の感情がどうなるか分からないから、ここの後ろに背中をもたれかけたら「カット」という約束をしたんですよ。でも寄り掛かっても涙が止まらなくて、ヒウォン兄さん本人も俳優なので、そんな僕を見ながらカットをかけなかったんですよ。すごく長く撮った記憶が残ってます。

(瓦礫の中での)娘とのシーンはすごく大変でした。僕が娘の為に何とかしないといけなくて、倫理や道徳ではなくて本能的に涙が出そうになるのに、泣いちゃいけないじゃないですか。僕が泣いたら娘が不安になるから。だからあのシーンは本当に大変でした。

さっき間接的だけど直接的だと言ったじゃないですか。ここで僕がこんな風に悲し気に泣いたら、撮影が終わったら胸がすっきりするじゃないですか、どうであれ感情を発散したので。うわ、これはあり得ない(という感じでした)。

ウナさん:本当に見ている人をすごく泣かせる場面でしたよ。

その分岐について毎日会議があったように思います。直接的な方がよく伝わることもあるし、間接的な方がよく伝わることもあるし。

ウナさん:これだけ作業をしてきたのに、ずっと新しく迫りくる感情を演技しないといけないんですね。

ずっと新しいですよ。ちょっとオタクみたいに言うと、こうやって座ってるんですけど僕たちがもう少ししたら足がしびれるじゃないですか。長く足を組んでいるので。でも突然0から100にしびれますかね?

ウナさん:徐々にですね。

僕たちが感じない間に血流が止まって、ある瞬間から少し違和感を感じて(いきますよね)。この瞬間を広げておけば、ぱっと広がるじゃないですか。

似て見える役、似て見える状況を、僕が一生懸命やれば必ず違って見えるという確信はありません。でも、確かに違うんですよ。でもこれが似て見えるなら、最善を尽くしたけれど失敗であって、そう見えなければ確かに違いを伝えられたんだ、上手く撮れたんだと、結果を見て判断するんですよ。

★死と共に

ウナさん:(「コンフェッション 友の告白」で)私は、火の手の上がるゲームセンターを見つめていた(ジフンさんの演じた)顔が忘れられなかったんです。

それは実際にだったからだと思います。どうしてこんな馬鹿だったんだろうと。

ウナさん:(びっくり!)すごくリアルに撮られたんですね!

テストしたんですよ。火を点けて。

ウナさん:CGで

いえ、火を点けて、やっても大丈夫か。1階で馬鹿みたいに火の回りを囲んで、「うん、大丈夫だね」って。でも2階で撮ったじゃないですか。熱い空気は上に上がるんですよ。それでみんな「うわ、どうしよう!」って。

ウナさん:「神と共に」をその前に撮っていたら、皆に韓国のCGがどれだけ発展したか話してあげられたのに。

アハハハ。そうですね。でも違うんですよ。CGが発展しても普通は直接撮りたいんですよ。

ウナさん:俳優も現場で当然そうでしょうね。それが(直接)くれる力がありますよね。

CGにはCGがくれる力があって、実際には実際がくれる力がありますよね。

ウナさん:特に多くの映画でいつも生や死が登場するのは当然のことでもありますけど、生死の岐路に立たされた、そこを守る「証明店の客人たち」のような役もあるし、「神と共に」のようにこの後の人生を導いていく、そんなヘウォンメクのような役もあるし、空港で死にかけていた「コンフェッション 友の告白」のあの場面のお話もして下さいました。

「コンフェッション 友の告白」の時も、最後に僕が死を迎える時に、それでもヒョンテもいて、ヒョンテにこの姿を見せまいと(してましたよね)。でもそれはただヒョンテのためだけではなかったんですよ。ノワール映画のように僕の面子もあって、そして僕もここでこうしているんだけど、周囲に人も多くて、ヒョンテに見せたくなかったというのが90%以上だったんですが、イ・ドユン監督とそれについてたくさん話もしたんですよ。

ウナさん:「証明店の客人たち」もそうですが、実際には生きていて、劇中で自分が死ぬ演技をして、その成果物を見た時にはどんな気持ちになるんですか。

今名前を挙げて下さった作品たちは、個人的に僕は好きみたいです。見ながら「僕だ」という考えは出て来ないんですよ。ただその場面、そのシーンを見て、一緒に泣きそうになったり、泣いたりしました。

★僕の勝利?僕たちの勝利!


ウナさん:「コンフェッション 友の告白」でイ・ドユン監督が、この(チュ・ジフンという)俳優から、とても若くてトレンディーな、そんな顔の中にいたチュ・ジフンを完全に対して違う見方をしたので、俳優にとっては「自分」というのはどこかにあったと思いますが、その「自分」を見つけてくれるということを待ち続ける仕事でもあるじゃないですか。その発見をしてくれた人に対して持つ信頼はとても大きいんじゃないかと思うんですが。

その信頼と、そしてあの人が僕を見つけてくれたから、というのは

ウナさん:ああ、義理を守らなければというのは違うものですよね。

その時期はもう過ぎて、実際に(他のいくつかの作品で)作業をしてみて、成果物は出来ていなくて皆さんにはお見せすることは出来ませんでしたが、僕たちはその過程をすべて経験したので、僕には分かっていました。

ウナさん:イ・ドユン監督と準備したそれぞれの作品のジャンルはどんなものだったんですか?

色々でしたよ。ひとつは諜報系のものもありましたし、ひとつはノワールもありましたし、ひとつは商業的なゾンビ系のものもありましたし。話が出たからじゃないですけど、2~3個一緒に(やっていて)概要が出来たものもありますし。

ウナさん:何かジャンル的な特性があるんですか?それとも話や展開が強力なものなんですか?

1つはジャンル的な特性があるもので、シリーズ物で話をしているものもありますし、1つは映画で、すごく商業的な面白さを追求する、コメディー的な面白さではなく、興味深い面白さでアクションもあって、そういうものを追求する映画です。これまでに二人で話していたものがすごく多いんです。イ・ドユン監督はすごくマメなんです。そうやって話していたものを全部書いておくんですよ。

ウナさん:これだけアイディアが豊富な人の横に居たら、常にそれを記録して実現する人が必要ですよね。

そうやってお互いに相乗効果が出るんだと思います。「トラウマコード」もイ・ドユン監督の成功作じゃないですか。作品を見たら分かりますよね。すごくよく作ってるじゃないですか。よく「出来た」んじゃなく、よく「作った」なんですよ、本当に。

ウナさん:まるで息子がよくやった時みたいに笑ってらっしゃいますね笑

これは僕の勝利なんですよ、だって僕は知ってたんですから。本当にそういう気持ちなんです。こういう言葉があるじゃないですか。それがトラブルであれ、意見の違いであれ、在る結果が出た時に「ほら」「僕があってただろ?」と思う、そんな気分というか。「コンフェッション 友の告白」を見たら(監督が)上手く撮ることは自明のことなのに。

★歩いてアクティング

ウナさん:(ジフンさんは)現場で勘も鋭くて、センスがすごくある俳優だという話をたくさん聞きますし、多くの監督達がものすごくスマートだと仰います。(「非公式作戦」で車が)回転するシーンで、実際は全体的にオッケーが出ている状況で、でもリュックサックが少し顔を隠していて、これはそのまま流してしまってもいい状況だし、すごく集中力がいる瞬間だからもう一度俳優にやってくれと言うのは苛酷なんじゃないかと監督が悩んでいたら、ジフン氏が先にこれは監督が完全に納得した「オッケー」ではないと気付いて「もう一度やりましょう」と言ってくれたのが、ものすごくありがたかったと言っておられました。(ジフンさんの)それは生きる力(生存の領域)だという気もしました。大家族の中で育たれたじゃないですか。

はい、そうです。

ウナさん:お聞きしたところによると、すごく小さな空間にたくさん(の人が居られたと)

正確ではないんですが、12坪か14坪かのところに、8人家族で暮らしていたので。トイレは1つだけで。祖父、祖母、伯母2人、母、父、僕、そして妹。

ウナさん:その伯母さんが(「ジェントルマン」の)舞台挨拶の時にいらっしゃっていた……(※補足:「ジェントルマン」の舞台挨拶の時にファンの中から抽選でジフン氏がファンサをする人を座席番号で選んだら、それが来ているとは知らなかった伯母さんの番号で、伯母さんにファンサをしたことがあった)

そうです、そうです!3番目の伯母と、4番目の伯母(と住んでいたんですが)、選ばれたのが3番目の伯母です。

ウナさん:それだけ多くの人とひとつの空間の中で暮らすと、結果的に気が利くようにならないといけないじゃないですか。

そうですね。気が利かないとすぐ怒られるので。それに、朝起きてトイレに行く時も、もう少し自分は寝ていたいんだけど、寝てていいのか?ひとりがトイレに行くとこれくらい時間がかかるのに、タイミングが合わないと大変なことになるぞ、という感じで、気が利くようにならざるを得ないんですよ。

ウナさん:考えて見ると、そういった生い立ちの状況が肯定的に(働いて)、どんな現場でも自分が早くどのポジションニングをとらないといけないのか把握する上でも役に立つんじゃないかと思ったりもするんですが。

ケースバイケースですが、「僕」には役に立つと思います。他の俳優にはどうか分かりませんが。色々なことに気が利くことが没入することを妨害する、という俳優もいるかもしれませんし。それは僕には個人的には役に立ったと思います。

ウナさん:俳優のコ・ミンシさんを見て以前から思っていたことは、「気は利くけど、あえてそうしないようにする」俳優だということです。私はそういう人がすごく好きなんですが、ジフンさんについての多くの証言を聞くと、ジフンさんもそういう方なんじゃないかという気がします。問題を解決しないといけないというある瞬間に、素早く対処する気が利く人。「ストリート・スマート」と言ったりするじゃないですか。自分がストリートで学んだすべてのことを、自分が学びたいからより熱心に学んだ学生といった感じがします。

僕の周囲には特に、自分の仕事に最善を尽くして取り組む先輩たちが多かったんですよ。キム・ソンフン監督(「キングダム」「非公式作戦」)は話すとなんだか涙が出そうになります、悲しいわけでは全くなくて、感動的で。キム・ソンフン監督はいわゆる売れっ子の監督じゃないですか。韓国映画界ですごく力のある。

ウナさん:「キングダム」から

ええ、「最後まで行く」「トンネル 闇に鎖された男」、「非公式作戦」は興行的にはイマイチでしたが

ウナさん:私は「非公式作戦」すごく好きです

ええ、僕もです。「非公式作戦」の時、監督が少し体調が良くなかったんですよ。それで体重も20kgは減ったほど。いわゆる売れっ子の、力のある人になったら、穏やかさを追求することもできるじゃないですか。自分のコンディションに合わせて。そうすることも出来るのに、監督が求めるものは1つしかないんですよ。どこか地方の古びた宿に行っても、モロッコへ行って宿がないからテントを張らないといけなくても、「私の部屋に机をひとつ置いてください」と。(泣きそうになって上を向くジフン氏)

ウナさん:何でしょう、特別な話ではないのに私も涙が出そうです。お一人でその机の前に座られている時間(を思うと)

休むこともなく、調子の悪い体を引きずって、台本についてずっと悩まなければならないなら、机についていないといけないんですよ、修正もしないといけないし。僕の周囲はそういう人がほとんどなんです。
たくさんの逸話があるんですが、キム・ソンス監督は「アシュラ」を撮った時、朝にこうやって台本を変えたりして、すごく情熱的じゃないですか。それを見た人が感動して僕に話してくれたんですよ。監督は僕が知っていることをご存じないと思います。
現場に編集の方がいらっしゃるじゃないですか。撮影が4時ごろ終わったんですよ。本当はもっと(作業を)したいんだけど、スタッフ達を休ませてあげないといけないから、監督は手伝ってくれと言えなくて、(機械に)慣れてない方なのに、ノートに(編集に必要な)ショートカットキーをポストイットに書いて貼っておいて、人差し指で入力して、夜明けまで全部ひとりでされたんですよ。
キム・ソンス監督は撮影中に足を骨折されたんですよ。それも、スタッフの人たちがやる砂を(現場に)撒く仕事をご本人も一緒にされて骨折されたんですよ。車椅子に乗って撮影されたんですが、僕が現場で「監督、コーヒーどうぞ」と持って行ったら、監督は敬語とタメ口を混ぜて使われるんですが「いらない」「大丈夫です」と(断って、食事量を調節されていたんですよ)。僕が知っている大人たちは、(大変さを)表に出さないんですよ。監督がギプスを外した日に撮影後に一緒に食事をしたんですよ。監督は覚えてらっしゃらないかもしれませんが、僕が慣用句的に「たくさん食べて下さい」と言ったら、「もうトイレに行けるからたくさん食べるよ」と言われたんですよ。車椅子だとトイレに行くのにも時間がかかるから、それが勿体なかったんだと思います。

そういった瞬間たちが、素晴らしい先輩たちに(たくさんあって)、僕が取り上げない方々に感謝していないということではなくて、3泊4日徹夜しても(語り切れないほど)そういうエピソードがあるんですよ。

★<俳優白書> チュ・ジフンのページは?

ウナさん:<俳優白書>という100個のキーワードが詰まった本を準備しました。ページを選んで下さったらそのページを開けてみます。

数字で言えばいいですか?1から100まで? 24!

ウナさん:24ページは「サウンドトラック」です。ご自身が出演された映画でもいいですし、もしくはお好きな映画の中で、一番好きなOSTは何ですか。

「シカリオ(邦題:ボーダーライン)」です。感情がすごく伝わったのがよかったです。

ウナさん:緊張感だとか。

はい、その状況に合っているのが。「シカリオ」はすごく衝撃的で、あとは「貯水池の犬たち(邦題:レザボア・ドッグス)」で耳をそぎ落とす場面があるじゃないですか。そこでこうやって(Stuck In The Middle With Youという曲に合わせて)踊るじゃないですか。それが衝撃的でした。このシーンをこんな風に解釈できるのか?と。

ウナさん:こんなに残忍な場面で?

はい。気持ち悪くないんですよね、感情は伝わるけど。そういうものは、メディア媒体で演技をする者として、ものすごいインスピレーションになります。ありがたいことに、僕が住む近所に昔にありそうな小さな劇場があるんです。名前がなんだったかな。「オルフェオ」だったかな。

ウナさん:ああ、漢南洞(ハンナムドン)にある?

サウンズ・ハンナムの横にある

ウナさん:ええ、オルフェオですね。

インスタグラムで上映スケジュールが見れるんですよ。予約できるわけじゃなくて。

ウナさん:あそこは音がすごくいいですよね。

だからそこにDMを送って、予約をしたりするんですけど、そこで以前「ラブレター」も見ましたし。

ウナさん:目で見るものも大切ですけど、耳で聞くものにもすごく気を遣ってるんですよね?だからオルフェオのような劇場に行かれるんですね。

僕はサウンドが51%だと考えてるんですよ。韓国の朝ドラをミュートにしておいて「シカリオ」の音楽を聴くじゃないですか、(そうしたら)緊張感が半端ないんですよ。

ウナさん:アハハハ!

いや本当に、手汗をびっしょりかきますよ。

ウナさん:(朝ドラの)俳優さん達は表情もドラマチックだから

そこに出ておられる先輩方は超ベテランじゃないですか。

ウナさん:皆さんも一度ぜひそうやって見てみてください笑

現場でもすごくたくさん使うんですよ。監督と話しながら微妙なことがあったら、ここで使うとしたらどんな音楽を使うか、そんな話をお互いにしたりします。僕はこんな音楽にしますとか、現場で編集したものを流してみたりもします。良かったのは、「ジェントルマン」の台本が来たんですが、パッと見てもものすごく商業的に大きな予算じゃないじゃないですか。

ウナさん:撮影期間もすごく短かったですよね。

その予算とそれに見合った作品だと思ったんですよ。それに、観客の方達にはこういう趣向の映画も存在しなければならないと。キム・ギョンウォン監督がものすごく見事に変曲点(重要な場面)ごとにそこに合う曲名を書いておかれたんですよ。だから僕がそれを見た時に、すごく理解しやすかったんですよ。ムードが伝わるので。

ウナさん:音楽と言うのは文字だけでは説明できない雰囲気を俳優に最も早く伝えるところがありますよね。

ものすごくあります。音楽の方が強力だと思います。

ウナさん:(ジフンさんは楽器の)演奏もされるので、また音楽も

いや、それはギャグでやるんです。

ウナさん:ギャグでですか?本気に見えましたよ。

あの時は本気だったんですよ。

ウナさん:もうされないんですか?

やる時間がないんですよ。

ウナさん:いつかはやるという考えはありますか?バンドとか。

後になって年もとって今ほど仕事も忙しくなければ、(音楽は)僕にとって楽しみのひとつなんですよ。

ウナさん:「コンプリート・アンノウン(邦題:名もなき者)」(補足:ティモシー・シャラメ主演のボブ・ディランの伝記映画)のような最近の作品もありますけど、音楽映画をされるジフンさんを見てみたい気持ちもあります。

本当にほとんどのジャンルが好きで、たくさん見て、僕は何でも出演することに拒否感はないんですよ。ただ僕がそれをやりこなせるのか、やりこなせないのか、それが問題なんです。僕がやるこなせる役、一通りやればできると思うのは、僕が音楽家じゃないじゃないですか。科学者でもないじゃないですか。でも科学に関する話なら、僕が台本を見ながらちゃんと伝えられなければいけないと思うんですよ。

ウナさん:「支配種」もそうでしたよね。

そうしてこそ、観客が納得してくれるんです。

ウナさん:これからどんなものを与えて、どんなものを与えられる俳優になりたいですか?

僕はただ大衆文化の芸術人として、自分のすべきことを怠らないようにして、ある時はそっぽを向かれることもあるかもしれませんが、そうであっても怠らないようにして、誠心誠意をもって作品を作って、「皆さん、一度どんなものか見てみてください」と言う以外には出来ることがない人だと思います。

与えられたいものは、僕たちの話が、ドラマであれ映画であれ、媒介を通しておしゃべりをすることだと思っているんですよ。皆さんが僕とおしゃべりをしたい、感情を共有したいと思って下さること、与えられたいものというより、それが嬉しいなと思います。

ウナさん:誠意を与えて、相槌を与えられるという

わあ、流石です(拍手)。

ウナさん:お別れの前に、差し上げたいものがあるんです。この部屋の中にあるもので、本でも、DVDでもいいですし。

さっき水を飲んだんですけど、このグラスが気に入りました。ビールを飲むのに。

ウナさん:こういう小さなグラスでビールを飲んだらすごくいいですよね。

すごくいいです。

ウナさん:ではこれを持って行って頂いて、また次に来られた時にこういうグラスでビールを飲みましょう。

そうしましょう。

ウナさん:もうひとつプレゼントがあるんです。フレグランスがお好きでしたら、ルームフレグランスのセットです。

ありがとうございます。

ウナさん:それからこちらは私の本にサインをしたものを差し上げたいんですが。「俳優 ペク・ヘイル」という本なんですが。

ありがとうございます。

ウナさん:読んで頂きながら、いつかまた(ジフンさんについての)こんな本を私が書かせて頂ける光栄な機会をぜひ下さい。

もちろんです。